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「ファンシー絵みやげ」研究家の山下メロが、山形の人面魚を追う。バブル期に造られた「みやげ」はどんな姿だったのか?
ここ数年、山形県の北西部、鶴岡や酒田のある庄内エリアに何度も足を運んでいますが、いまだに「その土地固有のイラストが描かれた」ファンシー絵みやげに出会えていません。さくらんぼや花笠娘のキャラクターは見つかっても、それは山形県全体で売られているものです。
山形県は平成の大合併前からすべての市町村に温泉が存在するほど温泉の多い県ですが、温泉のファンシー絵みやげは全国どこでも使えるタイプのイラストばかり。庄内エリアのファンシー絵みやげは存在しないのでしょうか。
そう考えていた時期に、手元のアイテムで庄内エリアのものが見つかりました。それがこちらです。
これを見て、山形の何のキャラか分かりますでしょうか。さくらんぼみたいにも見えますね。裏側を見てみましょう。
うっすら読めますでしょうか。
ここには「人面魚 IN KAIBAMI NO IKE」と書かれています。
なんと、こちらは「人面魚」のキーホルダーなのです。
「KAIBAMI NO IKE」は山形県鶴岡市善宝寺にある貝喰(かいばみ)の池のこと。
つまり、あの人面魚ブームによって人が殺到した場所のオリジナルみやげ品なのです。
2018年の正月番組にこのキーホルダーを提供しました。
店主の方は、とにかく人が殺到し、商品が売れて売れて仕方なかったとおっしゃっていました。私もこのあとで実際にこちらの土産店を訪問しましたが、すでに写真を使ったテレホンカードや絵ハガキといった商品ばかりで、デフォルメしたイラストというものは見つけられませんでした。
しかし、すでに失われたファンシー絵みやげをちゃんと紹介することができたので、それを報告し、店主の方と記念撮影しました。
ファンシー絵みやげは見つかりませんでしたが、現地まで来ていますので本物の人面魚を見つけたいと思いました。
雪深い善宝寺。貝喰の池は少し奥のほうにあり、アップダウンのある道を徒歩10分ほどはかかります。降雪のため大変な状況でしたが、行くしかありません。そして貝喰の池に到着しました。
誰もいません。
人面魚を探そうと思いましたが、冬だったので氷が貼っており、そもそも水面が一切見えない状態でした。
東京から山形の北西部まで移動してきて、何も見つけられず、ただ立ち尽くす私。しかし、池を管理されている方と話すことができ「今も人面魚はこの池にいる」ということを知りました。そして、また暖かい季節に再会することを誓いました。
しかし、このイラストまったく人面魚感がありませんね。これでも売れたということに、ギョギョ!!ですよ。人面魚だけに。
まさに平成元年。バブル絶頂期ですね! イケイケ! 池だけに。
(2020年2月25日記事を再編集)
山下メロ
平成レトロの提唱者。ファンシー絵みやげなどバブル時代周辺の懐かし文化を紹介する。著書に「平成レトロの世界 山下メロ・コレクション」(東京キララ社)など。
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