「国学者平田篤胤の思想」ムー2023年12月号のカバーアート/zalartworks
「ムー」2023年12月号カバーアート解説
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復古神道の巨人・平田篤胤。四国を拠点とするある霊媒が篤胤霊との交信を開始して、次々に衝撃的なメッセージがもたらされているらしい。三上編集長がMUTubeで解説。
世界間の緊張が高まり、危機的状況が顕在化すると、その動きに先行し、あるいは連動して、霊界の動きが活発化することは、過去幾度となくくりかえされてきた。
近いところでは第2次世界大戦前後の状況がまさしくそれにあたる。連合国側を後押しする神霊たちと、枢軸国側、とりわけ日本を後押しする神霊たちによる霊界通信が各地にくだり、霊界と現界の勢力圏が入り乱れて激しく覇を競い合う混沌状況が世界各地に出来したことは記憶に新しい。
日本の場合、皇道大本が、地上における最も感度の高いアンテナのひとつとして、混沌の渦の中心に置かれた。大本を動かす神霊団は、現界をふくむ地球霊界の現況をもっとも端的に写し出す鏡としての役割を大本に課し、無二の役者である出口王仁三郎を介して過激なメッセージを降ろしつづけたが、このとき活動を活性化していたのは、もちろん大本だけではない。
天理にせよ、天行居にせよ、また各種道教団体や先鋭的なカルト仏教団体にせよ、それぞれの紐付きの霊界勢力が現界への働きかけを強め、さまざまな霊界通信を伝えてきた。
そうした動きの中で、しばしば召喚された霊に、平田篤胤がいる。
平田霊を召喚した人々は、国際社会のなかで行き詰まっている“皇国”救済のための打開法の教導を、平田霊に期待した。
生前、篤胤は、皇国日本こそが世界万国の親国・宗主国であり、万国の開発も日本から各地に渡っていった神々などによって成し遂げられたのだと主張していた。真の古伝は日本にのみ伝えられており、諸外国の神話・伝承は、日本の真伝が歪んだかたちで伝えられたものにすぎないと主張し、たとえばアダムとイヴの神話などは、イザナギ・イザナミ両神の活動の訛伝なのだとまでいい切っていた。
日本の神々の御名は、世界各地でさまざまに変化し、その地方の言語で表現されている。
けれどもキリスト教のヤハウェにせよ、中国の元始天尊にせよ、至高の神とされている存在は、いずれも『古事記』に伝えられている天之御中主神の、いわば残影にほかならない。
中国の古代文明圏を開発したのは大国主神と少彦名神の両神であり、大国主神の分霊である大物主神は古代中国では太昊伏羲と呼ばれて神人交通の秘儀である易を伝え、中国神仙界は少彦名神が開発・主宰して今日に至っていると唱えた。
このような主張は、いうまでもなく天皇絶対論を背景としていた。天皇は高天原の至高神の直系子孫であり、天皇によってしか世界はひとつにまとめあげられない。天皇が世界を統治することは、この世界が宇宙に現れたときからの神定めなのだと唱えた篤胤の召喚に、神道家たちや周辺の人々が何を期待したのかは、あえて説明するまでもないだろう。
けれども、大正末から昭和初期にかけて神道家らの交霊の場に現れた篤胤霊を名乗る神霊は、生前の篤胤とは多くの点で主張を変えていた。
中でも九鬼盛隆の交霊の場に降りた篤胤霊の霊言は、多くの点で生前の篤胤説と異なっていた。また、明道会に降りた篤胤を称する霊は、国津神の断固たる排除を訴え、高天原系の神々による日本の立て直しを提唱した。
ユニークな霊言もあった。
浅野和三郎に降りた篤胤霊は、生前、仙童寅吉を通して探求した天狗界や山人界の実相をより具体的に開示したし、やや時代は上がるが、神仙道家の宮地水位と神仙界の一部である神集岳で面会した篤胤霊は、現在自身が働いている場所を明かした。
また戦後においても、本田親徳の鎮魂帰神法を継承した佐藤卿彦の交霊の場に降りた霊が、死後の平田篤胤情報をもたらしている。
これらさまざまな局面で霊言を降ろし、神霊界の情報の一端を漏らしてもきた篤胤を名乗る霊は、はたして本物の篤胤霊なのか。また、下ろされた霊言には、真実がふくまれているのか。
これは筆者の長年にわたる疑問のひとつだった。
そんななかの本年8月、筆者は霊媒・梨岡京美を介して、現に神霊界で働いている篤胤霊と首尾よくコンタクトする機会を得、貴重な情報の数々を授かることができた。
これまでの経験、霊と交わした会話、梨岡京美が霊視によって伝えてきた風貌その他の数々の特徴など、さまざまな角度からの検証から、筆者はそれが篤胤霊だと考えるに至っているが、もちろん、真正の平田霊だと断定するつもりはない。いわゆる審神の作業は、いまも続けられている。けれども、われわれの交霊の場に現れた篤胤霊を、巷に満ちあふれている“騙り霊”の仲間だとする材料は、いまのところ見いだしえない。
ここに至るまでの間、われわれは膨大数の交霊と、常識ではとうてい説明のつかない数々の神秘体験を積み重ねてきた。篤胤霊との交霊も、その延長線上にある。以下内容の一部を開示していくが、まず前段の一、二章でこれまでもたらされてきた篤胤霊の霊言を紹介し、その上でわれわれの交霊について書いていくことにしたい。
続きは本誌(電子版)で。
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