クレムリンが空っぽになる!? 「中東のノストラダムス」ミシェル・ハーイクの2023年大予言/羽仁礼
毎年の大晦日に、世界情勢や自然災害、事件、事故など、翌年に起こる出来事を予言するレバノンの予言者、ミシェル・ハーイク。「中東のノストラダムス」と呼ばれるハーイクは、2023年の世界をどのように予言した
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豊かな自然に囲まれた、セルビアの小さな村。19世紀、その村にふたりの予言者が現れた。彼らは自国の未来を正確に語り、ついには国家から危険人物視される。その彼らが残した予言に、現代社会を的確にいい表したものがあった。はたしてそれは、どのような内容なのか? (初出:月刊『ムー』2023年9月号)
★ 第1回:国家がタブー視する「タラビッチのクレムナ予言」の概要はこちら
クレムナは、ズラティボール山とタラ山という風光明媚な山の間に位置し、周辺は観光地としても人気がある。
この地域は古くから「予言文化」とでも呼ぶべき独特の風土を持ち、「予言者」と呼ばれる者を何人も輩出してきた。
その代表ともいえるのが、ミロシュとミタールである。
村の公園には「予言者の家」という、彼らの生家を模した観光施設が建てられており、魔除けのお守や本も販売されている。
そのなかでもひときわ目をひくのが、「コズミック・オーブ」という直径1メートルほどの石で、この石に手をかざすと、必ず願いごとが叶うといわれている。
このコズミック・オーブは、太古に宇宙からクレムナの地に降りそそいだ、数多くの火球のひとつだという。そしてクレムナで予言者が生まれるのは、この隕石に秘められた力によるものだ、というのである。
この手の「観光資源」の真偽は置いておくとして、ミロシュとミタールによる「クレムナの予言」の多くは、周囲の人々の将来、そしてセルビアを含む周辺諸国の近未来に関したことだった。しかし、それが次々に的中していったことで、タラビッチ家の名前は広く知れわたるようになっていったのである。
その予言が後世に残されたのは、次のような理由による。
ミロシュとミタールは読み書きができなかったが、彼らの代父(セルビア正教会における親代わりの後見人)であるザハリヘ・ザハリッチ司祭(1834〜1918年)が、ミタールの予言をノートに書き留めていたのだ。
残念ながらその原本は、1943年にブルガリアの占領軍によって燃やされてしまった。
タラビッチ家の子孫の手によっていくつかの写本が存在しているともいうが、今のところ確認はできていないので断言はできない。そしてこのことが、予言全体の信用性に大きな疑義を与えることにもなっている。
一方で「クレムナの予言」に関する書籍は、セルビア国内ではまるで『聖書』のように「一家に一冊はある」そうだ。しかも『聖書』同様、構成などによっていくつかの異なるバージョンに分かれている。
そのなかでもっとも信頼度が高いとされているのが、1939年にベオグラードで発行された『わが国の神秘的な現象──クレムナの予言』だ。著者はラドヴァン・カジミロビッチ博士(1882〜1958年)である。
カジミロビッチ博士は1915年、第1次世界大戦の最中にセルビア軍の部隊副官としてクレムナに駐留していた。そのとき晩年を迎えていたザハリッチ司祭に直接会って話を聴いている。同書は、そのときの忠実な記録とされている。
というのもカジミロビッチ博士は本を書くにあたって、「聞いたとおりに記す」という原則にこだわった。本のタイトルや予言の呼称を「クレムナの予言」としたのも、それがふたりのタラビッチのうち、どちらが語ったものなのか、あるいは別の予言者のものなのかよくわからない部分があるからだった。
実際、本にはミロシュとミタール以外の「第三の男」的な予言者が突然出てきたり、タラビッチ家の子孫から聴いた話が混在しているので、とてもわかりにくい。
それを承知のうえで筆者が筆を執ったのは、「クレムナの予言」を読みこむほどに、当たった外れたという占いレベルのエンターテインメントを超えた、まるで哲学とでもいえる深みを随所に感じ取ったからだ。
いい換えれば、筆者はふたりのタラビッチが透視した未来(予言)そのものよりも、彼らが限られた
知識と語彙力で表現したものから感じ取れる世界観、宇宙観のようなものに自然と共鳴していたので
ある。
「人は本当の自分を知らない、本当の力を知らない、真実はきわめて単純なことなのに……」
彼らは予言のなかで、こう告げる。クレムナの予言の根底には、こうした思想というか「信仰」が
ある。
それを再確認するためにも、改めて彼らの予言を検証することが必要なのだ。
~つづく~
★ 第1回:国家がタブー視する「タラビッチのクレムナ予言」の概要はこちら
★ 全編は、月刊『ムー』(2023年9月号)をご覧ください。
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19世紀、セルビアの小さな農村クレムナ村から発信された「クレムナの予言」を読み直し、新たな解釈と未来への警鐘を見出した一冊。本稿では伝えきれなかった「クレムナの予言」の詳細がここにある。
たくきよしみつ
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