特撮と郷土愛、そしてムー登場!?「ヒバゴン劇場映画」の真相を関係者が暴露した!
伝説の類人猿型UMA「ヒバゴン」の映画化プロジェクトが始動中! それは特撮になるのか、それとも? ヒバゴン映画のキーマンたちに構想を直撃取材。 なんと「ムー:も登場する!?
記事を読む

宇宙は映画でして―。2026年6月19日(金)から公開がスタートした「君は映画」。下北沢を舞台にした“超次元映画”とも呼ぶべきこの奇妙な一作は、いかにして生まれたのか? 上田誠監督ご本人を直撃し、その脳内に潜むSF・オカルト的宇宙に迫った。
目次
「サマータイムマシン・ブルース」「リバー、流れないでよ」など、数々の舞台・映画で「時間」をトリッキーに操り、観る者を唸らせてきた劇団ヨーロッパ企画の主宰・上田誠氏。彼が満を持して放つ初監督映画が、この「君は映画」だ。
本作で描かれるのは、下北沢の映画館を舞台に巻き起こる「多次元世界の相互干渉」という謎の現象。本来、過去の収録物である映像を映すスクリーンに、現在進行形の別次元が「映画」となってリアルタイムで映し出されるという怪異が発生する。
まずは、映画公式のあらすじをご覧いただきたい。
〜あらすじ〜
東京・下北沢で劇作家をしているマドカと、隣町・三軒茶屋でバンドをしているカズマ。二人はそれぞれ映画を観にいくと、スクリーンにお互いが映し出されて混乱。
どうやら、マドカにとってはカズマが、カズマにとってはマドカが「映画」らしい。
そんなあり得ない構造の中、まるで映画のように、互いの物語の中で事件が起きていく。カズマとマドカはスクリーンごしに会話しつつ解決に奔走するが…。
本作の根底にあるのは、上田監督が提唱する「シネマティックマルチバース」という新概念。本来別々であるはずの2つの現実(映画)が、メビウスの輪のように表裏一体で繋がり、互いにとっての「映画(虚構)」となって干渉し合うというものだ。
観客は、その“映画的ギミックの爆発感”に唸るだろう。本編で刑事役を演じた高佐一慈氏(ザ・ギース)のコメントをお借りすれば「まだこんな仕組み残ってたんだ!」である。
単なるパラレルワールドを超え、ネタバレ厳禁の構造美が張り巡らされるメタフィジカル(形而上学的)な一作。果たしてこの「世界のバグ」を、構造の魔術師・上田監督はどう構築したのか? 以下、ご本人へのインタビューをお届けする。

―― 本作はネタバレなしで語るのが非常に難しい映画ですが、まずは「まだこんな表現があったのか」という驚き、そして後半40分からのいきなりのSF展開など、上田監督らしさが満載です。このストーリー・構造は、どこから生まれたのでしょうか?
上田監督: 僕はいつも、ストーリーより先に「ロケ地」ありきで作品を作っているんです。例えば前作の「リバー、流れないでよ」は、京都・貴船の老舗料理旅館を使うことが決まっていて、そのシチュエーションにあてがきしたものでした。
今回も同じで、映画館「下北沢トリウッド」が撮影に使えるというお話が先にあったんです。そこで、映画館が舞台なら、現地のスクリーンを通じて2つの世界が互いに干渉し合う構造が良いかも……というアイデアから広げていきました。
さらに両隣の居酒屋とパブ、下の階にある古着屋も含め、建物丸ごと使えることになったので、じゃあそれも物語の要素として全部入れ込んでいこうと。
―― なるほど。前作も今作もその「場所」からほとんど外に出ず、建物内だけで物語が展開するという、かなり限定された世界の出来事なのが特徴的ですね。
上田監督: むしろ、世の映画監督のみなさんは、なんであんなにたくさん外に出て撮影するんだろう? って思っています。外に出ない方が映画作りのハードルが低いので(笑)。映画って、撮影するロケ地、つまり「現実の場所」という物理的な制約に縛られる創造物じゃないですか。
一方、舞台(演劇)の方はゼロからイチを作りやすいんですよね。「スタッフや俳優の縛り」はあっても、そのほかは舞台装置ごと設定を自分の都合のいいように作れますから。
でも、実在する物理的空間で撮影する映画は大変。だからこそ、僕は元々ある「場所」にあてがきするんです。自分の映画作品は、元々存在する「場所」の拡張=ARみたいなものだと思って作っていますね。
―― 現実の空間に、監督の中にある時間の概念やSF的なレイヤーを重ねる感覚ですね。本作では「エレベーター」も非常に良い味を出した演出に使われていましたが、つまりこれも……?
上田監督: そうです。なぜああいう展開と演出になったかといえば、答えはシンプルで「そこにエレベーターがあったから」です。


―― 作中の「シネマティックマルチバース」という概念は一体どこから湧いてきたのでしょうか?
上田監督: 映画館が撮影場所に使えるとなったことから「映画と映画が入れ子構造になる」というアイデアを思いついたわけですが、これって現代のオカルト・SFでもよく言われる「シミュレーション仮説(この世界は高次元の存在が作ったシミュレーションではないかという説)」と通じる話でもあると思ったんです。
つまり、シミュレーション仮説っぽいのを、「映画館で鑑賞している」という構造に落とし込んだものと考えると面白いなと。そうやって自分の中から出てきた新しい概念に、「シネマティックマルチバース」という名称をつけてみたのです。
―― 新概念を生み出し、それが後世に定着した事例になりそうですね。ムー界隈でもありますよ、エーリッヒ・フォン・デニケンの「宇宙考古学」とか。
上田監督: ああ「宇宙考古学」良いですねえ。僕もそれ系の発明をしたいんですよ。「UFO」「ネッシー」みたいなUMAも、「古代の宇宙神アヌンナキ」のような説も、それまでに発見されていなかった存在や概念を表現するために、誰かが名前をつけたわけですよね。先人たちが行った“その手の新発明”を、今やりたいんです。
一応、すでに取り組んではいまして、これまでの作品で「未来人」の反対語となる「過去人」というワードを作って登場させたりしています。もしこの言葉が未来の日常で普通に使われるようになったら、「過去人を最初に考案したのは僕ですよ」って周囲にアピールしたいですね。
―― 未来人・過去人に合わせてお聞きしたいのですが、上田監督の作品はタイムパラドックスを逆手に取った演出が多く、ムー的にも親和性を感じます。こういった「時間」や「次元」を手がける監督のルーツを知りたいです。
上田監督: もともと僕は、ゲームを作ったりプログラミングをやっていた時期があって、それでかパラドックスの辻褄を合わせる計算が得意なんです。そんな自分が脚本を書く上で、この「辻褄合わせの能力」を最大限に発揮できるのが「時間もの(タイムパラドックス系ストーリー)」なんですね。
あと、SFジャンルの中でもロボットものとかに比べると、時間ものは圧倒的にお金がかからないという実利的な理由もあります(笑)。さらに、時間の壁を跨ぐことで青春のエモさも載せやすい……これは映画「時をかける少女」の存在も大きいのですが。
まあ、僕の場合は物語がエモい展開になりすぎると、照れ隠しでついタイムパトロールを出しちゃうクセもあるんですけどね。映画「ドラえもん」とかの最後にタイムパトロールが出てきて、全部をシュッと綺麗に解決して終わるみたいな、あの流れをやりたくなっちゃう。
―― なんと、タイムパトロールが照れ隠しだったとは……。
上田監督: そうです。なので僕の作品は、プロデューサーさえ許してくれれば、基本的にはいつもタイムパトロールが出ます。もう劇団(ヨーロッパ企画)のみんなもタイムパトロール耐性がついていて、毎回すんなり受け入れてくれてありがたいですね。


―― ちなみに、上田監督ご自身は、もともとオカルト的なものはお好きなのですか?
上田監督: もちろんです。僕は一人っ子なんですが、ものづくりのルーツになったのは、いとこのお兄ちゃんでした。そのお兄ちゃんが、平たく言うとかなりの「オタク」で。パソコンでゲームを自作している人で、それに感化されて僕もゲームを作り始めたんです。
そのお兄ちゃんの家の「はなれ部屋」によく遊びに行っていたんですが、そこにいつも「月刊ムー」が置いてあったんですよ。それが僕とムーとの最初の出会いです。
―― あ、すでに早い段階でムーに出会っていたのですね。

上田監督: はい。つい先日も、ヨーロッパ企画で「インターネ島エクスプローラー」という演劇をやったんですが、その脚本を書くときも「地球の歩き方 ムー ~異世界の歩き方~」をがっつり参考にさせていただきました。
それに、僕は普段からファンタジーとかフィクショナルな物語を作る人間なので、おのずとオカルト的なものに惹かれるのは必然とも思います。僕がそういう劇作ばかり書くものだから、一緒にやっている劇団のメンバーも、最近みんなオカルト的な知識にやたらと詳しくなってきています。ひと昔前に比べて、都市伝説的なものが世間に受け入れられやすい時代になっている空気もありますしね。
―― 都市伝説といえば、近年ネットを中心に「下北沢タイムリープ都市伝説(下北沢の街が時空の歪みによってループしているという噂)」が盛り上がっています。本作はまさに下北沢が舞台ですが、そのあたりは意識されたのでしょうか?
上田監督: ちょっと前から盛り上がっていますよね「下北沢タイムリープ都市伝説」。今回は……入れ忘れたなあ〜(笑) 。でもそういうネタが下北沢にあることで、それをフックにまたもう一本、新しい映画が作れそうです。新作のタイトルは「下北沢タイムリーパー」とかね。リアルに企画書が出てきそうじゃないですか。
個人的にも、そういう「土地と怪異が結びつく」というのはすごく面白いと思っています。現実と異空間の“はざま”みたいな場所を、僕はいつも探しているので。映画だと映像のトリックを使って異界を表現しやすいですし。しかも自分の引き出しの中で、そういう「異界の扉」はまだ完全には開いていない気もしているんですよね。

―― 今回の「君は映画」は、監督の中にある「異界の扉」の片鱗が見える一作ですね。では最後に、ムーの読者に向けてメッセージをお願いします。
上田監督:「君は映画」は、ムー読者のみなさんが観て、十分に歯応えを感じてもらえる“超次元映画”になっていると自負しています。いやむしろ、ムーの読者に刺さらないと困る。劇場で率先して、その構造の怪しさに笑ってほしい。
なので、普段はあまりこういう言葉は使わないようにしているんですが……、今回はあえて言わせてください。ムー読者の皆さんには、この映画を観る「責任」があります!!
都市伝説好きのあなた、聞こえますか? 今、あなたに直接語りかけています……!

<作品概要>
タイトル:「君は映画」
公開日: 2026年6月19日(金)全国ロードショー
キャスト: 伊藤万理華、井之脇海、藤谷理子 金丸慎太郎
前田旺志郎、菊池日菜子、金子鈴幸、三河悠冴、今井隆文
尾関高文(ザ・ギース)、高佐一慈(ザ・ギース)
石田剛太 酒井善史、土佐和成、角田貴志、諏訪雅、永野宗典
監督・脚本: 上田誠
公式サイト: https://www.europe-kikaku.com/kimiei/
配給:TOHO NEXT、トリウッド
©ヨーロッパ企画/トリウッド 2026

杉浦みな子
オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。
音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀…と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハー。
https://foriio.com/minako-sugiura
ランキング
RANKING
おすすめ記事
PICK UP
関連記事
特撮と郷土愛、そしてムー登場!?「ヒバゴン劇場映画」の真相を関係者が暴露した!
伝説の類人猿型UMA「ヒバゴン」の映画化プロジェクトが始動中! それは特撮になるのか、それとも? ヒバゴン映画のキーマンたちに構想を直撃取材。 なんと「ムー:も登場する!?
記事を読む
妖怪“スネコスリ”が令和に生きているーー映画「脛擦りの森」監督インタビュー
あなたにとって“スネコスリ”の姿は犬? それとも猫? かねてより、オカルト民の間で犬派か猫派かと意見がわかれるこの妖怪が、令和の姿にアップデートされた。映画「脛擦りの森」渡辺一貴監督インタビューをお届
記事を読む
俳優・香川照之が“超自然の因果”を具現化! 映画「災 劇場版」に宿る理由なき災難の正体
ある日、何の前触れもなく、日常に亀裂が走る……。気づいたときにはすでに起きてしまっている、理不尽な災難を描く映画「災 劇場版」。果たして、“災い”に理由はあるのか? 本作で主演を務めた俳優・香川照之氏
記事を読む
「ソーダ村」は「そうじゃない」? みんなが知っているのに微妙に違うあの歌の正体/妖怪補遺々々
インターネットもなかった時代に、各地の子供たちの間に広まった謎の歌がある! その起源とは!? 歌にはどんなバージョンがあるのか? そんな妖怪とは異なる怪異的現象を調査! ホラー小説家にして屈指の妖怪研
記事を読む
おすすめ記事