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発見された場所や時代とそぐわない、存在自体が“ありえない”古代の産物、オーパーツ。来月より地上波放送が開始となる人気アニメ『スプリガン』でも物語の軸に据えられるなど、常に多くの人を魅了してやまない古代のミステリーだ。これまで洋の東西を問わず数多く発見されているが、日本であまり知られていないオーパーツの一つに「南京ベルト」がある。
1952年、中国江蘇省宜興市で中学校の運動場を建設中、3世紀(三国時代〜西晋時代)に活躍した将軍・周処の墳墓が発見される。すぐに工事は中断され調査が始まったが、遺体の腰部分にあった金属製ベルトバックル(帯留め)の残骸を中国科学院と南京大学が詳しく分析したところ、驚愕の事実が明らかになる。
なんと、銀や銅だと思われていたバックルは、アルミニウム合金で作られていたのだ(最大10%の銅と5%のマンガンを含む)。アルミニウムは製錬が難しく、人類がその生産技術を手にしたのは19世紀のこと。周処が生きた時代に、アルミニウムの工業製品や加工技術が存在するはずがない。学者たちはただ困惑するばかりだったという。
アルミニウム合金であることが判明したのはバックルを構成するパーツ(全17個)の一部であり、それ以外は銀合金だったが、常識を覆す発見は大きな衝撃を引き起こし、分析のミスを疑う声も多かった。しかし、1958〜59年に精華大学で行われた再分析でも結果は同じだったとされる。
その後、「南京ベルト」(発見場所である江蘇省の省都である南京市の名前から、海外ではこのように呼ばれるようになったと考えられる)の謎に多くの学者が挑み、さまざまな説が登場した。そもそもアルミニウム製だった部品は17個のパーツのうちの一つではなく、何らかのタイミングで混入した別の金属片だったとする説。実は墳墓は19世紀以降に盗掘されており、その時に残された異物だったという説。もともとアルミニウムが銀合金に混ざっており、偶然の産物だったとする説などもあるが、いずれも証拠があるわけではなく仮説の域を出ない。
なお、1960年代〜70年代にかけて17個のパーツを再鑑定したところ、どれも銀で作られていることが判明したという話もあるが、当時の中国は1976年まで続く文化大革命の混乱期にあり、今に伝わるのは(実物の所在も含め)曖昧な情報が多い。現在では、限られた学術コミュニティで静かに議論が続いている程度のようだ。
ちなみに、古代宇宙飛行士説を唱える著名SF作家のエーリッヒ・フォン・デニケンは、代表作『未来の記憶』(角川書店)の中でこのオーパーツについて言及しており、「アルミニウム合金は古代の地球に飛来した異星人が人類に高度な技術を授けた証拠である」と主張している。果たして今後、「南京ベルト」の謎が解き明かされる日はやってくるのだろうか。
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webムー編集部
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