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『東日流外三郡誌』と銘打たれた古史古伝がある。
同書の真偽は不明だが、通説では江戸時代後期に秋田孝季、和田長三郎という学者が、津軽藩(現・青森県)によって抹消された津軽の古代史を後世に語り伝えるために書いたものという。
ふたりが諸国を巡脚して調べた古文書や伝説、覚え語りなどが収録された、約300巻から成る大冊である。
同書によれば、津軽の歴史は古く紀元前約6000年まで遡る。山間部に住む穏やかな阿曾部族と海岸部に住む気性の荒い津保化族という、ふたつの部族がいたとされ、阿曾部族は大地震や津保化族の侵略などで滅びた。紀元前1000年ごろ、九州に降臨した天孫族が神武天皇に率いられ、現在の奈良県にあった大和国を征服した。このときの大和族の長・ナガスネヒコは大和族を率いて津軽に落ちのびた。
そして、先住民族であった津保化族と交わり、東北一円を支配するアラハバキ王国を築いたのである。
同王国は、古代において東北は畿内や九州よりも先進地帯で、独自の文字をもち、大陸とも交易し、非常に栄えていた。一時は畿内まで攻めのぼり、皇位を奪ったこともあったらしい。だが、岩木山の噴火などで衰退し、滅びたという。
なお、アラハバキとは同書に登場する神の名であり、現在では民間伝承の神として伝わっている。今なお、全国各地にその名を冠した神社も存在する。
『東日流外三郡誌』にはアラハバキの図も掲示されているが、それがまさしく、青森県・亀ヶ岡などの縄文遺跡で発掘されたことで知られる遮光器土偶なのである。その姿は、NASA(アメリカ航空宇宙局)が参考にしたといわれるほど、宇宙服そっくりの衣服を着てゴーグルをかけた人のようだ。そのため、太古に地球を訪れた異星人ではないか、との説が取りざたされている。
アラハバキ――異星人を神に据えたアラハバキ王国は、本当に東北地方に実在したのだろうか?


並木伸一郎
「ムー」創刊当初から寄稿するベテランライター。UFO研究団体ICER日本代表、日本宇宙現象研究会(JSPS)会長などを兼任。ロズウェルやエリア51をはじめ現地調査を重ねて考察し、独自の仮説を「ムー」や自身のYouTubeなどで発表している。
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