ポーランドの大聖堂”チャクラスポット”で瞑想する人々/遠野そら
ポーランドのカトリック教会大聖堂に、なぜか”チャクラ”のパワーを求める人が集まっているというが、そこには何が?
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メキシコのディープスポット巡りも終盤。今回は「生まれ変わり」を体験させる占い師、そして超人的な作品を生み出す日本人画家に会いにいく。そこで得た「超人化」の手がかりとは?
死者の国に誘われて、メキシコに向かったタニシの超人化計画。メキシコ人のガイコツ愛、日本とはぜんぜん違った「死」との向き合い方に驚かされまくったところで、今回はいよいよメキシコの超人に遭遇する!
メキシコの異次元リサイクルショップ「幽霊の村」をでて、また別の公園にやってきた。ここでは公園の一部が植物園になっていて、鉢植えを買うこともできるのだが……。
なぜか置いてある謎の石仏。これ絶対にアジアのやつや。メキシコなのに。
こっちには合掌してるのまでいる。そしてなんでこういうのが鉢に入れられてるんだろう。
これは「ブッダの手のレモン」という品種。配信でのコメント欄で「仏手柑(ブッシュカン)」と教えてもらった。ブッダ流行ってんの?
トドメの仏頭植木鉢。メキシコ、本当になんなんだ??
またも驚かされっぱなしのメキシコだが、ここからが今回のメイン。タニシはここに「生まれ変わりの儀式」を体験しにきたのだ。
なんでも、セラピストみたいなマダムがカウンセリングをしてくれるらしいと聞き、訪ねてみる。マダムは、昨年のムーライブで占い芸人・ますかた一真さんがやってくれたホロスコープにそっくりな占術でタニシを占ってくれた。
で、その結果は「あなたはお父さんとうまくいっていない、日本に帰ったらお父さんを抱きしめなさい」というもの。そうなんかな……。ホロスコープのあとにはこんなタロットカードもひいたのだが……。
「TAROT OSHO ZEN」? 和尚と禅? ここほんとにメキシコだよな?
ひいたカードの意味は「日常の行いをしっかりしなさい、掃除とか仕事を真面目にやりなさい」という当たり前のことらしいのだけど、「それがジャパニーズ・ゼンだよ」といわれる。わざわざメキシコまで飛んで、もらったアドバイスが「あなたに必要なのはニホンのゼンですよ」って。やっぱり仏教はいまメキシコでかなり流行ってるらしい。
ホロスコープとタロットのあと、最後はヨガみたいな呼吸法の実践。
BGMが流され、おばちゃんがなんか不思議な踊りをしてるなかでヨガの呼吸をするのだが、その間も「お父さんのことを考えながら呼吸しなさい」という指示がある。
まあ言われた通りにしていると、なんと、実践の途中で突然、金縛りのように全身がパキン!と硬直してしまったのだ。
同時に、なぜだか心の底からお父さんへの思いがあふれてとまらなくなる。そしてその瞬間、ぶわーっと涙がふきだしてきて「おとうさーーん!」と心のなかで絶叫してしまったのだ! こんなにひねて、事故物件とか住んでる人間が……!?
そんなタニシをみるや否や、占い師のおばさんが
「ハッピーバースデー! ベイビー!」
といってあつく抱擁してくる。あなたは今生まれ変わったんだ、と。
自分でもなにが起こったかわからず、でも心からわいてくる「これが愛か……愛って、いいな」って感情。タニシ、メキシコで生まれ変わってしまった!
次に訪ねたのは、メキシコのサン・ミゲル・デ・アジェンデ在住の日本人画家、サカモトユイさんのアトリエだ。
これがサカモトさんの作品だが、めちゃくちゃいい! 雰囲気もムー的なところがあるし、世界観がすごい。
こっちは北斎のような波に、ムーの表紙にあるような目。もうすごすぎてわけわからない。
こんなすごい絵を描きながら、サカモトさんは無宗教なんだそうだ。だからこそこういうモチーフを自由に描けるのかもしれない。
また、もっとすごいのが、サカモトさん、メキシコで奇跡を体験したことがあるんだそうだ。
メキシコには、ウイチョール族という先住民族がいる。ウイチョール族は美しいビーズアートなどをつくることで有名なのだが、もうひとつこの部族を有名にしているのが、ペヨーテというサボテンを使った儀式だ。
ペヨーテはメキシコだけに自生するサボテンの一種で、別名「幻覚サボテン」。ウイチョール族には昔から、ペヨーテを食べて宇宙や自然と一体化するという儀式が伝えられているのだ。
サカモトさんもはるばる長旅をしてウイチョール族を訪ね、その儀式に参加させてもらったことがあり、ペヨーテの作用によるヴィジョンをみたのだそうだ。
ヴィジョンは人それぞれ、さまざまなのだが、サカモトさんがみたのは「体がペラペラの紙でできた小人が、寝ているところにわんさかやってきて、自分のベッドの脚をペラペラのノコギリで切り取ろうとしている」というものだったそうだ。
サカモトさんは「やめろ、やめろ!」と叫びながら一晩過ごしたそうだが、ペヨーテの作用、すごい。
儀式に参加したとき、サカモトさんはウイチョール族の人に「人間がペヨーテを求めるのではなく、ペヨーテがあなたをみつけるのです」といわれたそうだ。
宇宙と一体化できる感覚を得る人もいれば、サカモトさんのようなヴィジョンを見る人もいる。
一応断っておくと、サカモトさんの絵はペヨーテの幻覚とは関係ない。お子さんが好き勝手に描いた落書きを下絵にして、そこからインスピレーションを得て描いたりしているそうだ。
サカモトさんのペヨーテ体験談を聞いて、タニシは思った。
悟りを開くために座禅をくんだり、断食をしたり、厳しい修行をする。これまで、この「超人化計画」で足跡を追ったり、実際に体験してきたそういうものって、つまりは人間が体を限界に追い込むことによって何か「みえる」ということなんじゃないだろうか。
それと「聖なる儀式で特別なものをたべて幻覚をみる」というウイチョール族の体験は、すごく似てるんじゃないだろうか。さらにはこのメキシコ旅で経験した生まれ変わり体験も、実は同じことなんじゃないか。
超人になる、悟りをひらくということは、「意図的な脳みそいじり」なんじゃないだろうか。そのプロセスは、苦行だったりサボテンだったり呼吸だったりさまざまだが、そこには共通するものがある。
それが、今回のメキシコ旅でタニシがわかったことだ。
それから、愛はいいぞ。愛だろ愛! みんな、もっと愛を持てよ!
松原タニシ
心理的瑕疵のある物件に住み、その生活をレポートする“事故物件住みます芸人”。死と生活が隣接しつづけることで死生観がバグっている。著書『恐い間取り』『恐い旅』『死る旅』で累計33万部突破している。
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