古代の毒物や微生物が“呪い”となって襲いかかる! ミイラ取引の急増がもたらす深刻なリスク

文=webムー編集部

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    世界的に広がるミイラ取引が、収集家や配送に関わる従業員を危険に晒している。古代の有毒物質や休眠微生物が“ミイラの呪い”として現代に蘇る――!

    闇ミイラ市場が社会にもたらすリスク

     ミイラの一部(手・足・頭部など)が、世界各地のウェブストア、ECサイト、オークションハウスやSNSを通じて密かに売買され、その規模が年々拡大しているという。研究者らによると、生物学的劣化の兆候が見られる遺体(ミイラ)がネットを介して多数売買されているが、多くの場合、販売者は安全に関するガイダンスを示しておらず、購入者への発送には通常の郵便サービスが利用されている。

     査読を経た学術論文『The Real Mummy’s Curse: Health Risks Associated With the Sale and Trade of Mummified Remains(真のミイラの呪い:ミイラ化遺体の販売と取引に伴う健康リスク)』によると、ミイラの取引で最も多いのは、手や足などの身体部位だ。また、サンプルの半数以上にあたる51.6%がミイラ化した頭部――軟組織や毛髪が残る頭蓋骨であり、ペルー北部やエクアドル東部のシュアル族が作る「干し首」が特に多く見られると言及している。

    ロンドンのサイエンス・ミュージアムに展示されている干し首 画像は「Wikipedia」より引用

     このようなミイラの取引には当然ながら倫理的問題がつきまとうが、それ以上に懸念されるのは、関係者に深刻な健康被害を引き起こす可能性もある点だという。

     ミイラ化の過程では、古代からヒ素・水銀・鉛などの重金属を含む有毒物質が使用されてきた。また、ミイラは乾燥状態でも多種多様な休眠状態の微生物を宿しており、移動や撹乱によって真菌の胞子が空気中に飛散する可能性もあるのだ。研究者らは「生者にとって重大な健康リスクとなる」と警告している。

     実際、1970年代にはクラクフ(現在のポーランド)にあるカジミェシュ4世の墓を発掘した科学者12人のうち、なんと10人が亡くなるという事件が起きた。その死因はアスペルギルス属の胞子の吸入だとされている。また、ツタンカーメン王の墓の調査資金提供者であったカーナヴォン卿の死についても、重度のアスペルギルス症が一因だった可能性があるという。これらの事例は、墓を暴いた者が呪いに遭うという、いわゆる“ミイラの呪い”の実態だと考えられているのだ。

    各国が手を組み“本物の呪い”に対峙せよ

    バチカン美術館が所蔵する古代エジプトのミイラ 画像は「Wikipedia」より引用

     今回の研究が特に強調するのは、危険に晒されるのは取引に関わる人間だけに限らないという点だ。ほとんどの場合、ミイラは通常の運送網を利用して発送されている。そのため、倉庫作業員、運送ドライバー、輸送拠点の従業員、税関職員といった荷物に触れる多くの人々が、無防備なまま危険物に接触している可能性が高い。

     英スタッフォードシャー大学の人体生物考古学教授、カースティ・スクワイアーズ氏は「ミイラの異様な臭いについて言及されることもあるが、それは生物学的劣化の兆候である」と指摘する。また、保護ケースなしでミイラが保管されているケースもあり、「温度管理もされておらず、適切な保管条件を満たしていない」と大いに問題視している。

     研究者らが“真のミイラの呪い”だと警告するこの状況は、文化財保護の観点だけでなく、現代社会の安全性に対する新たな脅威ともいえる。取引の規制を始め、その輸送から保管方法に至るまで、世界各国が足並みを揃えた対策が急務であると言えそうだ。

    【参考】
    https://www.theguardian.com/science/2026/aug/11/mummified-human-remains-trade-health-warning-curse

    webムー編集部

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