霊人ケイティを召喚! フローレンス・クック/世界の霊媒師
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交霊会の歴史と物質化した幽霊の正体の検証を三上編集長がMUTubeで解説。
エクトプラズムとは霊媒の口や耳、その他の体腔から出てくる、見えなかったり、モヤのように見えたりする物質だ。エクトプラズムはときにさまざまな物質の形になり、故人の姿になって話しだしたりもする。
ノーベル生理学・医学賞を受賞したシャルル・ロベール・リシェ博士によって命名されたこの不思議な物質は、いったい何なのか。本稿ではその秘密の一端に迫ってみたいと思う。
1848年、アメリカのニューヨーク州にあるハイズヴィル村において、ラップ音(霊が発する音)を利用して目に見えない存在と対話するという出来事が起きた。有名なフォックス姉妹による事件だ。これをきっかけに、欧米では空前の心霊時代が到来する。霊界が存在すること、そことの交信が可能であること、この二点を信じる人たちは「スピリチュアリスト」という言葉で呼ばれ、そうした主義は「スピリチュアリズム」と呼ばれた。
スピリチュアリズムにおける交霊手段として、ラップ音とともによく用いられていたのがテーブルターニングだ。
テーブルを囲んで何人かがその上に手を置く。そして霊に来てくれるようにお願いし質問する。するとテーブルが傾いたり浮いたりして、その問いに答えてくれるというものだ。
1853年、ニューヨークで始まったテーブルターニングはイギリスにまで広まり、科学者ディヴィッド・ブルースター卿は、「ロンドンでは毎晩何千ものテーブルが傾いているのが間違いないと思う」と「スピリチュアリスト」誌で述べている。
左ページで紹介している4枚の写真は、そういったテーブルターニングにおいてテーブルが浮いている様子を撮影したものだ。
左上はテーブルの上部が単に載っているだけで、上から引っぱってもテーブルは持ち上がらないことを示している。その他の3枚はテーブルの状態を三方向から同時に写したものだ。こうした現象がまさに家庭レベルでも起きていたのだ。
そしてそれらの謎に挑み、エクトプラズムこそ、この現象を起こす原因だと提唱した人がいる。
北アイルランドのゴライヤー一家は、労働階級の普通の家族だった。スピリチュアリストだった彼らがテーブルターニングを行いはじめると、すぐに物理心霊現象が起きだした。
このサークル活動はゴライヤー氏と3人の娘、ひとりの息子と甥おいによって毎週行われ、メンバーを替えて試すことにより、当時14歳だったキャスリーンが一番大きな力を提供していることがわかった。彼らはしばしばゲストを呼び、どんな屈強な人が押さえつけてもテーブルが浮かび上がるのを見て楽しんでいたという。
ゴライヤーサークルの評判は広がり、それはやがてアイルランドのクイーンズ大学機械工学講師ウィリアム・ジャクソン・クロフォードの興味を引いた。
彼は2年半ほどの間に計87回の実験を行い、その研究結果1921年に『The Psychic Structures at the Goligher Circle(ゴライヤーサークルにおける心霊構造)』として書き著した。
ゴライヤーサークルにおけるテーブル浮揚はたいてい約15分以内に起き、その後テーブルは高く浮かび上がって現象が安定するという。
クロフォードは浮き上がったテーブルの下に入って動きまわり、列席者とテーブルとの間につながりがないことを確認し、さらにゴライヤー家の人々の素性も調べている。また彼らを自宅から引き離し、自身の自宅でも同様な実験を繰り返した。こうして現象の真実性に納得すると、その原理を探りはじめたのだ。
彼は霊媒を重量計に載せて実験してみた。その結果、テーブルが浮揚している間、重量計の目盛りがほぼテーブルの重量だけ増加することがわかった。となれば、霊媒とテーブルとの間に何らかのつながりがあるはずだ。
クロフォードは自身の手を霊媒とテーブルの間でいろいろと動かしてみた。すると、あるところに手が達したとき、テーブルが床に落ちることに気がついた。そこにはきっと、見えない何かがあるはずだ。
その「何か」を捜して、クロフォードは実験を続けた。
それは冷たく、柔らかい、ねばねばしたもので、あまり気持ちのよいものではなかった。手袋をはめていると、テーブルの落下が比較的遅い。手の代わりにガラスの棒だと、どんなにかきまわしてもテーブルは落下しないと、彼は書いている。
この何か、すなわちエクトプラズムは目には見えなかったが、カメラでなら撮影することができた。クロフォードの本にはフラッシュライトを焚たいて写した写真がいくつか載っている。ただ残念なことに、テーブルが完全に浮いているときの写真はない。
交霊会に強い光は厳禁で、フラッシュライトは霊媒に衝撃を与えてしまう。そのショックが、エクトプラズムが緊張している状態だとさらに強くなる。そのため、無緊張状態か、テーブルを少し傾けている状態しか写真に撮れなかったのだ。
しかし修練を積めば、はっきりと目にも見えるほど「緊張した」エクトプラズムでも、フラッシュライトに耐えられるようになるという話もある。次はフローレンス・クックが見せた、故人の物質化を紹介しよう。
(文=冨山詩曜)
続きは本誌(電子版)で。
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