葬式に現れる怪異と故人の霊/都市伝説タイムトリップ
都市伝説には元ネタがあった。今回は、初七日にまつわる怪異を紹介。
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フリーレン 東京都中央区
義兄、つまり夫のお兄さんが亡くなった。享年71歳。まさかこんなに若くして見送ることになるなんて、露ほども想像していなかった……。
ある朝、義兄が心筋梗塞で倒れた。救急車で運ばれ、しばらく入院していたが、ついに意識は戻ることはなかった。
入院中、義兄の体には胃ろうがつけられ、栄養は摂ることができたが、終始、苦しそうにしていた。その姿が目に焼きついてしまい、今も忘れることができない。
義兄と夫は仲のよい兄弟で、かつて教鞭を執っていた厳格な父親と、明るく優しい母親から愛情を受けて育った。
夫が25歳のときに義父が亡くなり、49歳のときに義母も亡くなっている。
義父が早くに亡くなったこともあって、義兄も夫も生前の義母をとても大切にしていた。
不思議な出来事は義兄の通夜を終えたあとに起きた。
その夜、夫は葬儀場の控室に泊まることになった。私は翌日の葬儀に備え、早目に帰宅。
夫の話によると、22時ごろ葬儀場の担当者が布団を2組運んできたという。
「布団など頼んでいない」
そう断ったところ、葬儀社が葬儀の最終確認のために20時ごろ控室に電話をした際、
「布団を2組と翌日の朝食をふたり分、追加してほしい」
と、依頼されたというのだ。どうやら女性の声だったらしい。
「だれも布団など頼んでいないし、この控室に女性などいない」
と、何度、いっても、
「確かにこの控室の電話で注文を受けた」
と、葬儀社の担当者も譲らず、しばらく押し問答になったらしい。
この話を私が聞いたのは葬儀が終ってからだ。
「それってきっとお義母さんよ。お義父さんとふたり分の布団を頼んだんだと思う。その日、親子4人で過ごしたかったんじゃないかしら」
私が感じたことを素直に夫に話してみた。
スピリチュアルな話にはあまり関心のない夫も、
「そうか! お袋の性格ならやりかねないな」
と、興奮気味に話し、
「そういうことか!」
と、何度もつぶやき、だんだんと表情が明るくなっていった。
さらにこう続けた。
「じゃあ、もしかするとあの日本酒も……」
夫はあの日の夜、布団に横になったもののどうにも眠れなかったらしい。そこでめずらしく苦手な日本酒を口にしたという。
「そのことも不思議でならなかったんだ。今、思えば、日本酒が大好きだった父親にまんまと飲まされたに違いない」
ミステリアスな通夜後の出来事は、私たちの中で腑に落ちた。両親は苦しんでいた兄を楽にし、迎えにきてくれたのだろう。
そのように考えると、家族を思う義父と義母のふたりの愛情に触れたような気がして、温かい気持ちになれた。
「お父さん、お母さん、本当にどうもありがとう」
そういって私たちは義兄をあの世へ見送った。

(本投稿は月刊『ムー』2026年06月号より転載したものです)
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webムー編集部
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