千葉の「金山ダム」はなぜ心霊スポットなのか? 房総の古代王伝承から「山の声」を考察/BEPPANコラボ

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    YouTubeナナフシギ【公式】の検証シリーズ「BEPPAN」とのコラボ企画。心霊スポット「金山ダム」について、ムー的に考察した。

    有名心霊スポット「金山ダム」

     千葉県鴨川市の北西部に有名心霊スポットがある。昭和41(1966)年に作られた「金山ダム」だ。
     付近はゴルフ場やリゾート施設もあり、昭和に房総丘陵の開発がすすめられたことがうかがえる。

     こういった自然に手を入れた場所(ダム、トンネルなど)は心霊スポットになりやすい。
     自然の地形が変わる、磁場がおかしくなる……というとあいまいな表現だが、実際、トンネルやバイパスを通した場所で心霊現象が多発し、その手のスポットになった事例は多い。

     金山ダムで噂になっている「心霊」は、赤い女、心中したカップルの女の霊、女性の声(泣き声)
    ……など、心霊現象としては定番のものだ。実際の事件や事故があったうえでの話題なのか、だれかの体験談が膨らんだのか、心霊スポットの現象としては普通すぎる。こう言ってはいけないが、ユニークさを感じない。

    写真=ナナフシギ。

     東京からアクセスしやすい山奥のダムに女の霊が出るーーだれかの体験が「心霊スポットあるある」として共有され、有名になっただけではないか。

     ただ気になるのは「声」のほうだ。子守歌や泣き声が聞こえるという。
     その言葉としては聞き取りにくい、なにか訴えかける音のようなものではないか。

     YouTube「ナナフシギ【公式】」の心霊ロケ&検証企画BEPPANでは、現地の様子や周辺での聞き込み、そして霊媒師による鑑定などを踏まえて、心霊現象そのものへのリサーチが進められている。

    写真=ナナフシギ。

     それとは別方向に視点を広げてみよう。

     房総丘陵は天狗伝説が多いエリアである。南房総市では、「天狗の飛ぶ道」という伝承がある。

    「風の吹く日は、天狗にさらわれるといけないから夜は通るな」という言い伝えが今も残っていますが、少しでも風のある日にそのところを通ると、なぜか不思議なことにそのところだけが、ヒュウヒュウと鳴る大風が吹いており、大きな木と木の枝が揺れ動いてぶつかり、ザザーっと恐ろしい音を立てているのです。ですからそれを、天狗のしわざだとみんなが本当に信じてしまう」
    https://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000004271.html

    また、嶺岡浅間には「天狗の石面」が祀られている。破邪、魔除けのものではあるが、やはりここでも天狗だ。

    嶺岡浅間の石祠(「山と渓谷オンライン」https://www.yamakei-online.com/yamanavi/yama.php?yama_id=20153 より)。

     これら天狗の山と金山ダムは川をはさんだ位置関係で、同じ房総丘陵にある。

     天狗はもともと「あまつきつね」で、流星や隕石落下をきっかけ、象徴とする天の異変だ。房総エリアでは山の怪音、怪異を天狗のしわざとしてきたのではないか。その伝説の記憶、イメージが、金山ダムの「声」の怪奇を生んだのではないか?

     鴨川の「星が畑」はきれいな棚田になっているが、この地名は「大量の星が降ってきた」ことに由来する。(https://www.facebook.com/groups/minamiboso/posts/27554699350844150

     千葉は北極星を信仰する妙見信仰の地でもあるが、流星や隕石にちなんだ伝説からの信仰文化も強いのだろう。

    古代の製鉄民と「アクル王」

     また、もうひとつ。
     金山ダムの「金山」とは、金山城に由来し、「金」の地名から古代の製鉄民とのかかわりもうかがえる。

     以前に「ムー」でも紹介したが、君津市の鹿野山(かのうざん)は古代の英雄「アクル王」の拠点だった。アクル王はいわゆるまつろわぬ民、朝廷に従属しない古代豪族で、つまり鬼である。

     鹿野山は金生山が語源で、金属を生む山の意味。製鉄に関係する山というわけだ。
     そして、千葉県安房郡鋸南町と富津市との境に位置する鋸山山麓の鉄尊(てっそん)神社は、鉄の円盤がご神体なのだ。(https://toki.moo.jp/cd-mihon/flkam-zok/contents/000kahitu/03kijin/03-02aklu/03-02aklu.html

     となると「金山ダム」も製鉄民の王、アクル王の勢力下にあったと考えられる。

     隕石、隕鉄は人類が最初に出会った鉄器だ。製鉄民にとって隕石は「天から得た超高度な技術」そのものであり、千葉の房総全域、とくに鴨川に、「天からの驚異(天狗)」と「製鉄民の古代王・鬼」が重なっていることになる。

     推察を進める。

    写真=ナナフシギ。

     金山は、君津の鹿野山から落ち延びたアクル王の末裔の拠点だったのではないか。その古代王を支えてきたのが、のちに天狗と呼ばれる山岳集団だったのかもしれない。房総丘陵全体が隠れ里として機能していた……?

      金山ダムは歴史的にそんなに注目されてきた場所ではない。逆にいえば、討たれた古代王が隠れ潜んだと考えると、ちょうどいいように思えるのだ。

     しかし、その隠れ里は、ダムやゴルフ場などの開発で、人が入りこむ地となってしまった。もちろん、現在の鴨川・金山の地にアクル王の末裔が住んでいるとは考えられない。ただ、この地に霊的な縁を結んできた歴史が重ねられてきたとしたら?

     この地を守る何かしらの存在、エネルギー、磁場が、怪奇現象を起こし、心霊スポットとしての噂を広げることで、余計な干渉をさせないように働いているのかもしれない。

     この地への訪問者が聞くという声は、アクル王の霊を守る天狗からの警告であるーー。定番すぎる心霊現象を隠れ蓑に、古代からのメッセージを読みとれてしまうのだ。

    写真=ナナフシギ。

    webムー編集部

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