蛇神トウビョウ探訪記 古代出雲の龍蛇様を継ぐ憑き物/高橋御山人
独特な形状と生態から、忌避されつつも神聖視され「神」と崇められさえした、蛇。そんな蛇神の一種であるトウビョウは、ある地域では恐怖の対象とされたが、本来はまったく異なる性質のものだった可能性がみえてきた
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20世紀初頭、タクラマカン砂漠で発見された都市遺跡は四大文明に匹敵する年代のものだった……。幻の古都はどこへ消えたのか?
時代を超え語り継がれる失われた古代都市の伝説がある。中国タリム盆地に広がる中国最大の砂漠「タクラマカン」もまた、そんな謎めいた伝説の現場である。
東西約1000km、南北約400kmにもおよぶタクラマカン砂漠は、古より「一度入ったら最後、生きては出られない死の砂漠」として恐れられてきた。
そんな死の秘境で、初めて古代都市らしき遺構が発見されたのは20世紀はじめのこと。スウェーデンの探検家スヴェン・ヘディンが、砂漠に眠る古代都市「タクラ・マカン」や古文献に記された幻の湖「ロプノール」を探検中に、偶然にも発見したのである。
20世紀はじめといえば、世界各地の探検家が次々と秘境を訪れては、地理学的偉業を成し遂げていた大探検時代。ヘディンもまたタクラマカン砂漠を横断しながら精力的にロプノールを探検していた。そしてロプヌールの湖跡を辿る中で、砂に埋れた古代都市を2か所も発見したのだ。
これが後に幻の王国と呼ばれる「楼蘭」であり、シルクロード最古の仏教都市とされる「ダンダン・ウィリク」であったのだ。
「楼蘭」とは紀元前3000年から前4000年頃、古代シルクロードの交易拠点として栄えていたが、約4世紀頃に忽然と姿を消した幻の王国である。遺跡から発見された数百体ものミイラは全てコーカソイド(白人種)で、彫りの深い顔立ちに、亜麻色の髪に白い肌、という黒海もしくは地中海沿岸のヨーロッパ人種が祖であることが明らかになった。
そして「ダンダン・ウィリク」もまた楼蘭同様、交易拠点として栄えていたが約8世紀頃に突如消滅した都市で、何百もの木造住宅が寺院や仏塔を取り囲む都市構造や、出土した絵画や遺物から仏教都市であったことが推測されている。
いずれも都市の由来や衰退の理由については明らかになっていないものの、ダンダン・ウィリクについて今ある説が注目を集めているようだ。
それは中国の古い伝承「鬼の目」の落ちた場所がダンダン・ウィリクであり、地下は湖と繋がっている——というものである。
「鬼の目」とは、はるか遠い昔、タクラマカン砂漠に落下した巨大隕石にまつわる伝承だ。
——ある日、空から巨大な鬼の目が降りてきた。地上は大きくえぐり取られ、“くぼみ”となった。くぼみはあまりにも深く大きく、いつしかそこは巨大な湖となり、その畔では多くの都市が栄華を極めていた——と伝えられている。
この伝承とダンダン・ウィリクの関係ついては、都市に水源があったことを示唆する遺物や地学的な条件の一致から浮かび上がったもので、地下で繋がっている湖をロプノール湖とするのが有力のようだ。
ロプノール湖とは、約4世紀頃に干上がったとも、年月とともに移ろう「さまよえる湖」とも伝えられる幻の湖である。ロプノール湖には、砂漠に眠る黄金都市や、金鉱にまつわる伝承が存在していることから、トレジャーハンターや研究者がこぞって調査に訪れているが、行方不明となる者や謎の死を遂げる者が多く、今では「呪いの湖」とも呼ばれているという。
ロプノール湖についてはその存在を含め、今なお様々な説が飛び交っているが、古い文献や、伝説の帝国「タルタリア」の地図にも痕跡がはっきりと記されており、実在した湖で間違いなさそうだ。
中国に古くから伝わる「鬼の目」の伝承が史実だとすれば、ダンダン・ウィリクの摩訶不思議な構造は、この「鬼の目」を祀る聖域として作られた都市なのかもしれない。
現在は厳しい環境下でも、LiDARやドローンで空中調査可能になっているが、ダンダン・ウィリクにいたっては歴史文化遺産として周囲の立ち入りはおろか、大部分が未調査のままである。その理由については推測の域を出ないが、掘り起こしては都合の悪い何かが隠されているのだろうか。
タルタリア帝国を巡っては、マッドフラッド(世界規模の泥の洪水)で沈んだという都市伝説からまた多様な話題が派生している。それらの真偽はともかく、タクラマカン砂漠の砂の下には人類史を変える謎が眠っている気がしてならない。
遠野そら
UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。
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