古代メキシコ・オルメカ文化のオーパーツ「次元の扉」が祖国に返還！／遠野そら

チャルカツィンゴ遺跡の祭祀遺構

　ムーとメキシコ観光のコラボによる「ムー旅メキシコ・ツアー」催行が迫る中、現地からホットな情報が届いた。モノレス州チャルカツィンゴ遺跡から盗掘され、その行方がわからなくなっていた国宝級の遺物「次元の扉」が、ついにメキシコに返還されたというのだ。

　モンストルオ・デ・ラ・ティエラ――通称「次元の扉」は、紀元前800〜600年前の初期メソアメリカ文化・オルメカ文明に属する、古代の一枚岩彫刻である。その大きさは約1.8メートル×1.5メートル、重さは1トン以上と大型で、チャルカツィンゴ記念碑9号と呼ばれるものだ。

　ここに彫刻されているのは、太い眉に大きな目をした怪物の顔だ。
　これはオルメカ神話の”宇宙の起源”を神格化したものであり、大きく開いた十字形の口は地上世界と冥界を隔てた「境目」を意味しているのだという。また口を囲うように刻まれた幾重もの線や文様は、豊穣などの意味が込められており、今から2500年以上も前に造られたとは思えないほどの精巧さである。一枚岩に穴を開ける技術といい、当時の人々が有していた高度な技術を垣間見ることができる作品だ。

　そして気になるのが、その用途、製造の目的である。古代オルメカでは洞窟の先は冥界へ繋がっていると信じられていた。このことから、次元の扉は洞窟の入口に祀られ、そこで聖なる儀式を執り行っていた説が有力のようだ。

　次元の扉は、地球の怪物、冥界への口、などとも呼ばれているが、チャルカツィンゴ遺跡には他にも数多くの宗教的遺物があるという。
　実際にこの地を訪れたメキシコ観光の現地スタッフ・酒井美樹（UFO酒井という異名もある）さんによると、「チャルカツィンゴ」という名前の由来はナワ語で、『チャルカス（部族）に最も重要だった場所』『聖なる水が祀られる場所』『美しいヒスイが祀られる場所』という意味なのだという。

盗難されていた遺物の帰還

　今回無事返還された「次元の扉」についてメキシコ政府は、「国家的遺産に値する貴重な作品」と発表、他にも世界各地に散らばった文化財の保護・回収プロジェクト「Mi Patrimonio No Se Vende（私の遺物は売り物ではない）」を声高に進めている最中だ。

　メキシコ国立人類学研究所（INAH）プリエト所長によると「この作品を取り戻すのは、何十年にもわたる闘いだった」と語っており、盗まれた背景や密売ルートは不明としながらも、1960年代当時、中南米で暗躍していたアメリカの盗賊団に持ち去られたことを明かしている。

　”宇宙の起源”に飲み込まれるようにして冥界へと入るーー。
　生と死の境目を古代の人々はどのような気持ちでくぐっていたのだろうか。そこには現代を生きる我々には計り知れないほどの恐怖や苦しみが刻み込まれているかもしれない。

　次元の扉は、旧コルテス宮殿に約1年間展示された後、チャルカツィンゴ遺跡の考古学地帯へ移されるという。
　おりしも、2023年の「UFO公聴会」では異星人と人類のリンクを示唆するミイラが公開されたが、それはナスカからの不法な持ち込みによるものという指摘がある。約半世紀の時を超え、メキシコに「別世界との接触」を意味する遺物が集められている事実。これは、メキシコに新たな「次元の扉」が開くことを意味するのだろうか。

参考
https://www.inah.gob.mx/boletines/autoridades-de-mexico-repatriaran-el-monumento-9-de-chalcatzingo
http://edozo.web.fc2.com/chalcatzingoJ.html
https://latinus.us/2023/05/25/entregan-morelos-portal-inframundo-pieza-mas-buscada-mexico/