異界からの訪問者をどう迎えるべきか?「怪異の出る家」/朝里樹・都市伝説タイムトリップ
都市伝説には元ネタがあった。化け物を退治した実在とされるあの稲生平太郎が登場。
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事故物件住みます芸人・松原タニシと、オカルトコレクター田中俊行、そして高松で活動する怪談バンドマンの恐怖新聞健太郎——3人の異色ユニットが、行く先々での怪奇体験を公開する。 今回は、健太郎による根来寺の怪事件・別視点バージョン、田中が生首に祟られる話、事故物件不動産王・タニシの受難の3本です!
2020年10月26日記事を再編集
タニシ 事故物件住みます芸人・松原タニシです。
田中 どうも、オカルトコレクター・ペガサス田中です。
健太郎 四国の怪談は俺が守る、恐怖新聞健太郎です。
タニシ 実は今月、引っ越しをしましてね。
田中 え、タニシくん何軒目なん?
タニシ 12軒目。
田中 多!
健太郎 2冊目の本(『事故物件怪談 恐い間取り2』)が出た時点では10軒目じゃなかったですか?
タニシ そうなんですけど、実はその前にすでに東京に新しい物件を借りてまして。芸人のハニートラップ梅木さんとルームシェアなんですけど、そこはおじいさんが30年間住んでて、5年ほど前から行方不明になってて東北で亡くなってたということで、厳密には事故物件ではないんですが、神社の境内の中にあって完全に御神体の真裏にあるっていうのがいいなあと思って借りました。ただ、そこがちょっと汚すぎて住むのは無理だなあと。4畳半の風呂なしトイレ共同で、天井に穴空いてて畳にネズミの糞が挟まってる状態。
田中 うわぁ、きついなぁ。部屋は綺麗にしてもらえんかったん?
タニシ 急遽借りたから残置物を処理したあとの状態でそのまま借りました。
健太郎 でも神社の中にあるってのはいいですね。絶対なんか起こりそう。
タニシ それが11軒目になりますね。で、大阪の方は8軒目の物件に住んでたんですけど一年契約だったのでもう出て行かないといけなくて。それでつい先日、12軒目の部屋に無事引っ越しを済ませたわけです。
田中 もう話ついていけんくなってきたわ。
タニシ で、その12軒目なんですが、僕史上最も高級マンションで、1K8畳半トイレ風呂別の浴室乾燥機付きでめちゃ綺麗。ただ、クローゼットの前のフローリングが一部剥がされた状態になってます。
健太郎 絶対そこでなんかなってますやん!
タニシ そう、あえてそこだけは残してくださいって僕から頼みました。クローゼット周辺以外はめちゃくちゃ綺麗。
田中 それで家賃はいくらなん?
タニシ 3万円台。
田中・健太郎 やすっ!!!
タニシ ただ、結構特別な条件で借りてまして、僕が住んでることが他の住人にバレたら即解約、っていう契約なんです。
健太郎 そっか、タニシさんが住んでるってことはそのマンションのどこかが事故物件っていうことですもんね。
タニシ 自分の住んでるマンションに事故物件の部屋があるってことを知らない人も多いでしょうからね。だから家に帰る時は変装しないといけないです。
田中 知られれば知られるほど隠さないとあかんのも大変やな……。え、ちょっと待って? 今現在で何軒借りてる状態なん?
タニシ 6軒目の東京、9軒目の沖縄、10軒目の沖縄、11軒目の東京、12軒目の大阪、全部で5軒ですね。今月退去の大阪8軒目も含めたら全部で6軒。
健太郎 そうか、沖縄も借りてるんですね!
タニシ このコロナ禍のせいで沖縄に半年以上行けてなくて、ただただ家賃だけ払ってる状態やけど。早く解約したいんですけどね……。
田中 やばいな、もうタニシ君ひとりで事故物件不動産できるやん。
タニシ ということで夏も終わって、我々怪談を語る身としましてはここからはネタを集める時期に入ると思うんですが、お二人は最近何かありましたか?
健太郎 僕はこの前、高松TOONICE (3人が香川で怪談ライブをする会場。健太郎のホームグラウンド)の近くのお店で飲んでる時に、店員の若い男の子から結構怖い話を聞きました。
以前話した、根来寺へ行った若者4人の車が大破した事故があったじゃないですか。車体真っ二つになった。
タニシ はいはい。
健太郎 その子の友達がその現場に居合わせたそうで、間近でその事故を見ていたそうです。
田中 え!
健太郎 ノーブレーキでおそらく140キロくらいで突っ込んできたらしくて、中に乗ってた人間ももう肉塊というか、現場はどえらい状態だったそうで。ただ、その友達はそれよりゾッとするものを見たそうです。
タニシ え……
健太郎 バラバラになった車体やら肉片やらの中に、多分乗ってた内の一人の女の子が“立ってた”そうなんです。
タニシ・田中 えええ!!!
健太郎 両腕両脚は完全にぐちゃぐちゃで立てるはずもないのに、その惨状のなか、立ってたんです。マリオネットの人形みたいにただ佇んで、暫くするとパタっと倒れたそうです。
後でわかったんですが車に乗っていた者は“全員即死”だったそうです。
その中のたった一人も“立ち上がることなんて出来るはずがなかった”そうです。
田中 めっちゃ怖いやん!
タニシ じゃあ健太郎さんが実家で見た”バキバキの女”も、やっぱりその女の子の可能性が……
健太郎 そうかもしれないですね。
タニシ 田中さん近況はどうですか? なんかニコニコ生放送で『田中俊行のオカルト旅』ってのをやっているみたいですが。
田中 あ、それな。月に一度、ニコ生の「モノガタリ」chのディレクター木村さんと、二人で全国をオカルト旅する企画が始まって。
健太郎 いいですねー。
田中 それが先月からゆるーく始まって、一年間は続けれたらなと思ってます。
タニシ モノガタリchは僕も大島てるさんと『大島てると松原タニシの事故物件ラボ』という番組を月一回やってますので、是非観て欲しいですね。で、どこ行って来たんですか?
田中 先月の記念すべき第一回は滋賀県に行って来ました。目的としては最近手に入れた500年前の呪詛人形が滋賀県の琵琶湖にある竹生島にまつわるものと聞いたので調査に行ったのですが、そちらはいまいち情報がつかめずで。
タニシ 田中さん、自分のことを話す時は急に敬語になるんですね。
田中 それはええやんか別に。さて『オカルト旅』は三日以上はその土地に滞在してノンストップ72時間配信をするってのが一応自分らで決めたルールなので、残りの時間、滋賀県の他のオカルト探索もしていました。
滋賀県は歴史の転換点となった大きな合戦場跡がいくつもあり、織田信長や豊臣秀吉、明智光秀、石田三成、蒲生氏郷、藤堂高虎といった名だたる戦国武将がいて、とても歴史がある土地。そういった歴史がある土地はオカルトもやはり盛んでした。
妖怪もたくさんいますし、伝説・伝承も多い。
その中で気になったのが「堅田源兵衛の首」という話です。
タニシ ほう。
田中 今から540年ほど前の話——。
浄土真宗中興の祖・蓮如上人が、預けておいた「親鸞の御影」を引き取りに、三井寺に出かけた。しかし、三井寺側は「親鸞の御影」を返したくないと言い出して、かわりに生首二つと交換するという難題をふっかけた。
そこへ、門徒で漁師の堅田源兵衛が進み出て自害し、その首を差し出した。しかも源兵衛の首は父の源右衛門が切ったもの。息子の首を切った父は自分の首も差し出すと告げ、「これで生首二つになるから『親鸞の御影』を返してくれ」……と言った。
結果、三井寺は「親鸞の御影」を返し、父の首を切るには至らず、源右衛門の首も受け取らなかった。その後、源兵衛の父親は巡礼の旅に出て、旅先の広島県福山市で亡くなっている。
以来この話は真宗の誇りとして漁師親子の殉教物語と語り継がれてるのですが……。
タニシ が……?
田中 凄いのはこの源右衛門の首がミイラになって「小関町の等正寺」という場所に残ってるという。
健太郎 おお!
田中 僕は「その生首が見たい!」と思い、小関町の等正寺に向かった。拝観予約を取り、等正寺に行き「源右衛門の首」を見せてもらった。お寺自体も立派でしたし、金色の逗子の中に真っ黒な生首のミイラが入ってた。
タニシ 生首のミイラを見たんですね。
田中 そう。源右衛門の首、とても迫力がありました。
しかしここでとんでもない情報が入ります。今行って来た「小関町の等正寺」の他に「本堅田の光徳寺」「三井寺町の両願寺」にも源右衛門の首が祀られているという。
健太郎 ええ? どういうことですか?
田中 わからへん。同じ人間の首がなぜ3つもあるのかは謎。でも、早速残りの首も調べに行きました。
「三井寺町の両願寺」は廃寺になっていて首の在り処は不明。
次に行ったところは「本堅田の光徳寺」。こちらも立派な真宗大谷派の寺院で創建は1361年とあり。本堂前には「堅田源兵衛父子殉教之像」とお墓もあった。拝観予約を取り「源右衛門の首」を見せてもらう。こちらは「小関町の等正寺」の真っ黒な首とは対照的な真っ白な頭蓋骨でした。光徳寺のほうが比較的近くで見れて写真などもOKでした。ポストカードも売ってました。
タニシ ポストカード! 生首商売!
田中 二つの首を見終わって、「これはすべてが作り話で話題集めにやってるのかもしれない」とか「俺は源兵衛に騙されないぞ」などと配信をしながら、冗談交じりに言っていると……。
配信を見てくれている人たちが「田中さんの顔が溶けてる」や「田中の顔がドクロみたいになってる」とコメントしてきた。怖くなって画面を木村さんと確認すると、僕のバストアップで配信の画面は静止して、本当に顔が溶けてドクロのようになってました。
タニシ・健太郎 おお! 気持ち悪い!
田中 すぐに「源兵衛さん冗談ながらも不謹慎な事言ってすみませんでした」と謝りました。
タニシ そっか、だから途中から敬語だったんですね。
松原タニシ
心理的瑕疵のある物件に住み、その生活をレポートする“事故物件住みます芸人”。死と生活が隣接しつづけることで死生観がバグっている。著書『恐い間取り』『恐い旅』『死る旅』で累計33万部突破している。
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