退廃の町ソドムは隕石の空中爆発によって滅亡した!「旧約聖書」の史実カタストロフィー/宇佐和通
これまでフィクションとされてきた『聖書』に登場する背徳の都市、 ソドム。だが、神から下された怒りの鉄槌は、まぎれもない歴史的事実だった! 考古学によって明らかとなった、古代の要塞都市消滅の実態とは──
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全知全能の神は不老不死であるほうがしっくりくるが、神に近い人々もまた驚くほど長生きであったことが聖書に記されている。しかし、なぜか年を経るごとに登場人物の寿命が短くなっていくのだ――。
どのような組織であれ発足時の創設メンバーは重要であるが、それは聖書の世界でも同じだ。
聖書における創設メンバーは大洪水以前の王たちである。彼らは神の啓示と約束において重要な役割を果たしている。これらの王たちの物語は旧約聖書の「創世記」に記録されているのだが、彼らの一番の特徴は寿命が異様に長いことだ。
「創世記」によれば、アダムが930歳、セツ(セト)が912歳、エノスが905歳と驚くべき長寿である。さらにケナン910歳、マハラレル895年、ヤレド962歳、エノク365歳(死ぬ前に神に連れ去られた)と続き、メトシェラは969歳と聖書全体において最も長寿であった人物となっている。
そしてレメク777歳で、ノアは大洪水の350年後に950歳で亡くなった。
しかし、奇妙なことにここから登場人物の寿命が短くなってくるのだ。ノアの息子のセムは600歳、その息子アルパクシャデは438歳と徐々にその寿命は短くなっていき、ノアから10代目に当たるアブラハムの寿命は175歳である。もちろんこれでもじゅうぶんすぎるほど長生きではあるのだが……。
聖書は信じる者にとっての“歴史的事実”である。彼らは本当にそれほどの長生きをしたのだろうか。そしてノア以降、急激に寿命が短くなったのはなぜなのか。
ひょっとするとこれらの王たちの中には普通の人間ではなく、実は神からの使者、つまり別の世界から来た存在がこの時代にいたのだろうか。もしそうだとすれば、これは超古代に宇宙人が地球に飛来して人間を創造し文明を授けたという「古代宇宙飛行士説」をサポートする傍証にもなりそうだ。
いくつかの解釈では、王たちの極端な長寿は翻訳ミスの結果である可能性を指摘している。
一部の学者は月の周期が太陽の周期と混同されているのだとして、実際の年齢は13.5分の1であると主張している。
その説に従えば、969歳まで生きたとされるメトセラが実際に亡くなったときの年齢は71.7歳であったことになる。「ノアの方舟」イベント以降、この計算式が修正されていたとするならば辻褄が合わないこともなさそうだ。
バージニア・コモンウェルス大学の宗教学の准教授で、『A Most Peculiar Book: The Inherent Strangeness of the Bible』(2021年刊)などの著書を持つクリスティン・スウェンソン氏は「創世記」に登場する人々の寿命がきわめて長かった理由についてはこれまで学者たちは長い間議論してきたと言及している。そして、その可能性の1つはやはり1年の長さが別の方法で計測されていたことであると指摘する。
もう1つ考えられる説明としては、時代が進むにつれて寿命が短くなったのは人類が犯した罪に対する罰であるというものである。「ノアの方舟」イベント以降は現代人と変わらぬ寿命になり、「創世記」6章3節によれば神(主)が新たに設定した人間の限界の寿命は120歳であるという。
「古代宇宙飛行士説」を当てはめてみれば、「ノアの方舟」後の人間は長くとも120歳で命が尽きるように遺伝子工学的にプログラムされたということになるのだろうか。
神が定めたとされる人間の寿命の上限値である120歳は、記録されている世界最長寿が122歳であることから、ほぼ当てはまっているといえる。
人間の細胞核内の染色体の末端に、特に遺伝情報が書き込まれておらず、細胞分裂のたびに単純に1枚ずつ切り取られ短くなっていくテロメアという部分がある。
テロメアは「命の回数券」とも呼ばれていて、この回数券を使い切る年数を計算すると確かに約120年が限界であることがこれまでの研究でも示唆されているのである。
このように「寿命120歳限界説」は聖書的にも科学的にもきわめて説得力を持っているのだが、最新の研究では1950年生まれ以降で長寿記録が次々と塗り替えられることが予想されている。1970年代に生まれた者の中からはなんと140歳を超える人物が登場するというのだ。
ジョージア州立大学とサウスフロリダ大学の合同研究チームが2023年3月に「PLOS ONE」で発表した研究では、人間はまだ最高年齢に達していない可能性があることを示唆している。
研究チームは19カ国の人口死亡率データを分析し、1950年以降に生まれた者の集団は、歴史的に見ても大幅な寿命の延びを経験するはずであると結論付けている。具体的には2073年以降に長寿記録(122歳)が破られることが多くなり、その後に最長寿記録が140歳台に達する未来が予測できるということだ。
120歳以上生きる者が何人も登場し、最長寿記録が140歳を突破する未来がすぐそこまで来ていることになる。はたして我々は近い将来、神のプログラムを突破して“進化”することになるのだろうか。その未来は人間が犯した罪が“減刑”されたことを意味しているのなら、おそらくは喜ぶべきことなのだろう。
【参考】
https://mysteriousuniverse.org/2023/02/Did-the-Biblical-Patriarchs-Actually-Live-for-Hundreds-of-Years-/
https://www.ancient-code.com/mystery-history-super-longevous-antediluvian-patriarchs/
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0281752
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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