見てはいけない神々をいかに描くか? 江戸・明治の神話絵巻に見る「日本の神さま」/鹿角崇彦
「神々の描き方」は昔から不変ではなく、時代によってさまざまに変化してきた。江戸、明治から現在にいたる神々の姿を縦覧することで、その豊かなイマジネーションの世界を追体験してみよう。
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火星の超古代文明はなぜ滅んだのか? 大気中のデータを分析した結果、「核」の使用が明らかになった……?
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確かに火星には、いくつかの不審な点がある。
そのひとつが大気だ。火星の大気は非常に薄く、また気も寒冷である。だが、火星にかつて──いつの時代までなのか議論は分かれるにしても──海があったことは間違いない。
それは、火星の一部で見られる堆積地形からも裏づけられている。
だが、だとすると奇妙なことになる。空気の密度が薄すぎるのである。データでは、少なくとも地表の半分を覆う水があったはずなのだが、それほど膨大な水を支えられる大気圧が火星にはないのだ。
かつてのような海を形成するには、少なくとも現在よりも80倍から100倍の密度の大気が必要になる。
どういうことか。まるで魔法のように地表の水が失われ、大気圧や大気密度も消えてしまったのだ。
意外と知られていないが、これは火星最大の謎のひとつなのである。
水がなくなる──正確にいえば消滅してしまう条件は、大きく分けてふたつある。
ひとつは、エネルギーだ。
水がすべて、宇宙空間に放出されたとしよう。その場合、火星の重力に反してそれを宇宙空間にまで押しあげ、飛散させるだけのエネルギーが必要となる。
いや、隕石ならば十分ではないか、と思う人がいるかもしれないが、そう単純ではない。
恐竜絶滅を引き起こしたユカタン半島に衝突した隕石を含め、地球は何度となく大きな隕石衝突を経験している。そしてそのたびに、大気圏を超える高さにまで水を含めた地球上のありとあらゆる物質が舞いあがった。
それでも地球の水は消失していない。ましてや水だけを消し去るなど、そんな都合のいいエネルギーが自然界に発生する確率は、ほぼゼロといってもいいだろう。
そもそも水が完全に消失してしまうほどのエネルギーがまともにぶつかれば、火星そのものが消滅してしまうのだ。
ふたつめは、火星の地下に潜った可能性だ。
しかし、ある日突然、海の底が抜けて水がすべて消えるなどということが、実際にあり得るのだろうか。
そもそも地下の水の吸収量には限界があるはずだ。
正確な計算は不可能だが、仮に多くが地下に吸収され、残りが極点付近に
氷や水の形で眠っているとしても、まだ行方不明な水がある。それはどこにいったのか。
火星大気の95パーセントは二酸化炭素である。二酸化炭素は酸素原子と炭素原子からなる。ここに水素原子があれば、水ができることはだれでもわかるだろう。そしてガス惑星をはじめ、惑星形成時の最初期に作られる元素のひとつが水素なのである。
ところが現在、火星の大気においてはどう考えても水素原子が足りない。足りなさすぎるのだ。
いっておくが、自然に消えてしまうようなものではない。では、どこに消えたのだろうか。それを説明し得るものは、たったひとつしかない。
核融合兵器しか考えられないのだ。
プラズマ物理学者ジョン・ブランデンバーグの論文によると、火星大気にはキセノン129という、自然には発生しないキセノンの同位体が不自然なほど多く含まれているという。また、火星においてウラン235の放射線量が多い地域は大きく2か所存在するが、それはシドニア地区を含め、人工物らしきものがある場所と一致するのである。ちなみにこのウラン同位体も、自然にはできないものだ。
さて──これまでの要素をすべて含めて解釈すると、どのようなイメージが浮かびあがってくるだろうか。
まず、火星の大陸は地球と違い陸続きである。地球に比べると陸面積の比率も大きい。したがって他地域との貿易など、文化交流はかなり早い段階から始まっていたと思われる。分断がないので、言語もおそらく1種類もしくはその派生語で、いわゆるグローバル社会が早期から訪れていたと想像できる。
人面岩や古墳の大きさから考えると、かなり古い時代、つまり比較的原始的な文明の段階から、火星の生命体はひとつか多くても数個の国家群で、世界を築いていたはずだ。
地球よりも古代の遺物が巨大なのは、早い段階に言語の壁がなくなったことによるのだろう。情報交換のスピードも、われわれをはるかにしのぐものだったはずだ。文明の発展スピードが異常に早かった可能性も高い。
それは言葉を換えれば、社会制度や倫理観が未熟な状態で、強大な科学力を手にしていたということなのだ。
はっきり書くが、これはきわめて危険なことである。
では、火星においてもっとも科学水準が高かった時代、彼らはどのような文明を手にしていたのか。SFの影響なのか、われわれはつい、自分たちとはまったく違うエネルギー源や文明を想像しがちだが、現実には彼らも、われわれとほぼ同じような発展を遂げたはずだ。
文明の発展には資源が必要となる。だが、火星に関してはやはり奇妙な部分が多すぎる。そこにあるべき資源がないのだ。
パラジウムやイリジウムといった金属は地球上にはほとんどなく、逆に月や他の惑星には大量にあることが知られている。そして火星も、こうしたレアメタル、レアアースと呼ばれる希少金属が少ない。
問題はそれが地球とは比較にならないほどのレベルの少なさであり、まるでレアメタルやレアアースをすべて吸い取ってしまったかのようでさえある、ということだ。
火星が形成される過程においては、こういった希少金属も惑星の比重に応じて生成されていたはずだ。それがほとんどないのはなぜなのか。
考えられる答えはひとつである。地表の有用な資源は、すべて火星の文明が使いきってしまったのだ。
ひとくちに文明といっても、レベルはさまざまだ。
天文学者ニコライ・カルダシェフは近未来に人類が出会うであろう知的生命体のレベルを測る「カルダシェフスケール」なるものを作った。それにあてはめると、最盛時の火星文明はレベル1に相当する。と聞くとあまり大したことはないと思うかもしれないが、そうではない。
レベル1の文明は、自分たちの惑星にあるすべてのエネルギー源を有効利用できる。カルダシェフによれば、このエネルギーと資源利用の効率こそが、宇宙における文明の価値そのものということになる(ちなみにカルダシェフは、これは恒星間旅行を可能とする文明の最低レベルだとも主張している)。
パーシヴァル・ローウェルらは、火星の水路や運河を、単なる水の輸送手段だと見ていた。だが実際にはそうではなかった。火星では、水路でさえもエネルギー源として活用がなされていたからだ。
地球上でも沿岸部は海流の関係で、緯度に対して温暖になることは読者もご存じだろう。
火星文明ではこれを利用し、水は生活圏を広げるためのもっとも有用なエネルギーだと見なしていた。網の目のような水路網を作ることで、気候が温暖で、豊かに生活できる面積を理論上、最大限にアップさせたのである。
さらに南半球だけに存在する火星の大陸についても、それが人工的なものなのではないかという疑念が出てくる。
海を赤道よりも北半球に集中させると、大地の火山活動などで温められた水は水路を経由し、南の大陸全体をゆっくりと流れていく。それにより効率よく、極点によほど近い場所以外は温暖にすることができるのだ。
実際、これほど都合がいい大陸形状が自然にできたとは考えにくい。
火星文明は、われわれの概念を飛び越えた人工環境を創造するという、まさに未知の領域のレベルに達していたのだ。おそらく彼らは火星のコアやマントル、プレートを制御し、都合のいいように大陸の形や位置まで作り変えることができたに違いない。
火星の半径は地球の2分の1であり、重力は地球の40パーセントほどとされている。ところが質量は、なんと地球の10分の1しかない。
これは異常なことで、重力のポテンシャルに対し、その重力が掴まえている質量が大きく下回っている。
おそらくこれは、かつて火星に存在した物質をエネルギー化したことによる欠損だと考えられる。計算するとその場合、火星ではレベル1の文明と数百億人の人口を、数万年維持できたと思われる。
しかし、それも見事に失われてしまった。
大量のエネルギーを消費した膨大な人口、彼らが築いた高度な都市と文明、そして地表を循環していたはずの大量の水──それらが見事なまでに消え失せてしまった理由は何なのか。
ジョン・ブランデンバーグの論文から、少なくとも火星の2か所で核兵器が使用された痕跡が見られることはすでに書いた。彼によれば、その総エネルギー量は、地球上の核兵器100万個分に相当するという。
しかもこれは大規模な核兵器の使用であって、小規模の核兵器はさらに多く使用されたようだ。つまり、互いに多量の核兵器を撃ちあった痕跡も認められる。
東西冷戦時代、地球は自身を複数回破壊できるほど大量の核兵器を有していた。幸いなことにそれが使われることはなかったが、火星ではそれが現実のものになってしまったというのか。
少なくとも、ここまでを見る限り、そう結論せざるを得ない。
ならば彼らは、核戦争で完全に消滅してしまったのだろうか。
次はそれを検証してみたい。
近年、火星の地下を赤外線などを使ってスキャンするという探査がなされた。これを見ると、明らかにわれわれが思っている火星とは違う姿が浮かびあがってくる。
通常のスキャン画像では、火星は不毛の大地そのものである。表面はクレーターなどで荒れており、とても人が住めるような環境ではない。
だが、次の2枚の画像を見てほしい。
この画像は、同じ場所の地表と地下をスキャンしたものだ。地下の画像では、山岳から道のようなものが伸びており、クレーターや隆起した地形を避けながら続いている。周囲も比較にならないほど平坦であることがわかると思う。
では、この道の先には何があるのか。残念ながら、ここから先を見ることはできない。グレーになっているところは、なぜか公表されていないのだ。そして火星の地下のスキャン画像には、このようにグレーで塗りつぶされたところが異常なほど存在するのである。
下の画像も同じように、火星の地下構造のスキャンだが、見てのとおり塗りつぶしやモザイク処理が行われており、全体を把握することが困難である。
これについてNASAは、電磁波や放射線量などの影響で、映像が一部解析不能になってしまったとコメントしている。しかし画像を見れば明らかなように、鮮明に写っているクレーターの真横がスキャン不能だなどということが、あり得るはずがない。
いや、不思議なものが写っているのなら、画像そのものを公開しなければいいのではないか、と思う読者もいるかもしれない。
だが、それにはいくつかの可能性が考えられる。
次の画像もやはり、火星の地下をスキャンしたものだ。
画像左の上下は天然の水路のようだが、中央のカギ型部分は明らかに異なっている。陰影もつけられており人工物に見えるのだが、画像の右半分はやはり隠されている。
それでもこうした画像が公開されるのは、地下の構造物があまりにも多いので、いずれは隠しきれなくなると踏んでのことなのだろう。
やがては他国の探査機がより精細な画像を公開する可能性もある。そうなったときに、「われわれも把握していたが、あくまでも自然の摂理である」と発表できるからだ。
さらに、地下探査でしか知ることができない構造を、詳細に表した地図も存在している。
やはり火星の海や人工的な運河を研究していた女性天文学者、エミー・インゲボルグ・ブランが1909年に作った火星の球体地図である。
これは彼女の研究結果を発表するためのもので、一種の学術論文のようなものだ。注目は図の右下に描かれた、三角形の運河の形状である。下のスキャン画像とまったく同じ場所に、同じ形状の地下構造物があるのだ。
繰り返しになるが、本稿で紹介した研究者たちの時代には、いくら火星を観測しても不毛な大地しか見ることができなかった。いや、当時の天体望遠鏡の精度では、地表の立体構造すらまともに見えなかったのである。
ではなぜ、彼らは詳細な地図を描くことができたのか。
結論はひとつしかない。
19世紀の終わりから20世紀の初めの時代、火星の運河は地球から見えていたのだ。それが地表にあったのか、あるいは地下の水が地面を温めて模様のように地下水路の構造を浮かびあがらせていたのか、それはわからない。
いずれにせよ、彼らはそれを目撃した。
もちろんそれが即座に、地下に火星人が隠れている証拠になるとは筆者も考えてはいない。
それでも火星に、かつて北極から南極まで水路でつなぐことができる高度な文明があったことは確認できる。彼らはわれわれと同じように地上に住み、巨石文明を興し、水路を建設し、さらには核戦争を起こした。
おそらくはその後、地下に生存の活路を見出したのだろう。水路は暗渠となり、水は地下に潜った。そこで再び彼らの生活環境を支えたのではないか。
どうだろう。これが本稿で最初に提示した、現在、われわれが見る火星の奇妙な現象を説明できるストーリーだと思われる。
そして、この情報はすでに20年以上前から、ごく一部の人間だけに開示され、対策を練られてきた可能性があるのだ。
火星の地下に存在する、大規模な構造物の痕跡。水路や地下交通網のように見えるこれらの存在が認識されたのは、本当に近年のレーダー探査の成果によるものなのだろうか。
それについて筆者は、実に疑わしいと考えている。
たとえば宇宙旅行、とくに火星への旅行を目的とするヴァージン・ギャラクティック社が設立されたのは、2004年である。また同じ目標を掲げるスペースX社は2002年、ブルーオリジン社は2000年の設立だ。2000年まで火星に水はまったく存在せず、ドライアイスの氷と不毛な大地に加え、大気も真空に近いと考えられていた。先進的な宇宙物理学者がようやく、火星にはかつて水があったかもしれない、といいはじめた時代なのだ。
ヴァージン社もスペースX社も、巨万の富を築いたビジネスマンの会社である。彼らが勝算もなく、近未来に火星への旅行が可能になると発言し、自身の財産を危うくするような会社を立ちあげるだろうか。
母体企業の資金を使う以上、失敗は許されない。まして大風呂敷を広げるなど、あってはならないことだ。なぜならアメリカ連邦法には、「懲罰的損害賠償法」がある。簡単にいえば、株主をだます意図をもって嘘をついた場合、企業が潰れるに十分な賠償金を司法省が設定できる、という法律である。
だから経営者が希望的観測に基づいた妄想を語ると、企業の倒産に直結するのだ。
では実際はどうか。この3社はいずれも司法省や連邦議会に呼ばれることもなく、スムーズに事業を進めている。
2021年、NASAは火星探査機パーサヴィアランスに搭載した実験機を使用し、火星で酸素を生成する実験に成功したと発表した。
これは、今までのNASAの方針から考えると、あってはならないことだ。なぜなら惑星や衛星を探査する際には、大気や地質などを汚染したり、変化させたりしてはならないという思想のもと、世界でもっとも厳しい管理を行っていたからだ。
今回、NASAが行ったこの実験は、火星探査という目的を明らかに一歩踏み越えたものといえる。そしてそれは、あたかもアメリカの宇宙企業大手3社と協調行動をとっているように思えてならないのだ。
このままのペースでいけば、宇宙探査の要件は大幅に緩和され、スペースX社CEOであるイーロン・マスクが創業当時に予言していた2030年代の火星旅行も現実になるだろう。
それに加えて火星で酸素を作りだすということは、大気循環による気温上昇が発生する、ということである。つまり、テラフォーミングを行おうとしているのだ。
テラフォーミングには、おおよそ10年の期間が必要というシミュレーション結果が出ているので、2040年代には火星は人が住める水と大気の満ちた惑星になるのかもしれない。
現在、地表も地下も含めて、火星文明の遺物がどれほど残されているのかは正直なところ未知数である。
しかし、少なくとも19世紀末には、火星の地下を含めた水路網の大部分が確認できた。
そう考えると、まだ多くの遺物が火星に眠っていることは十分に考えられる。われわれ地球が到達していないレベル1の文明の、未知のテクノロジーもそこには含まれていることだろう。
そこで最後に、火星で暮らしていた生命体は何者で、どこへ行ったのかについても触れておきたい。
ひとつの可能性として筆者は、「ひょっとしたらそれは、われわれ地球人かもしれない」と考えている。人類の体内時計は、なぜか地球の自転や公転軌道とは同期していない。火星の公転軌道のほうが、われわれの1日あるいは1年のサイクルに近いのである。加えていうなら地球の重力も、人類にとっては少々重すぎるのだ。しかもこれは人類に限られたことで、他の動植物たちには適用されない。
つまり地球文明は火星がルーツであり、われわれは核戦争によって故郷を離れ、地球に避難した生命体の末裔なのかもしれないのだ。
だからこそわれわれは火星という惑星を、いつか訪問しなければならない場所だと、本能的に感じているのではないか。
もちろん彼らが、火星の地下で命脈を保ちつづけている可能性も否定できない。
その場合われわれの火星旅行は、同じルーツを持つ者どうしの感動の再会になるかもしれない。
いずれにせよ、人類が火星に到達したとき、それははっきりする。しかもそれはもう、目前に迫っているのである。
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