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江戸時代に記録された怪談の発生地点がマッピングされたハンディな地図が無料配布中!
東京の中心地、千代田区。その区名は、江戸城の別名・千代田城に由来します。江戸時代、将軍の居城だった千代田城のまわりには、大名・旗本たちが住む武家屋敷がずらりと軒を連ねていました。現在の千代田区一帯は、江戸時代にはすでに一大人口密集地だったのです。
そしていつの時代も、人が集まればひそひそと語られるのがあやしい噂話。武家屋敷街という都市の中心地でありつつ豊かな自然も残されていた現在の千代田区一帯では、幽霊からキツネやタヌキ、果ては河童まで、さまざまな怪異が目撃されては記録に残されていました。
そんな千代田区の“怪談スポット”をマッピングしたユニークな地図「千代田区怪談お散歩マップ」が、現在千代田区の観光案内所などで配布されています。千代田区一ツ橋に本部のある共立女子大学の学生が令和6年度「千代田学」の成果としてまとめたもので、江戸時代の日記や奇談集などに記された怪談の概要と、その舞台となったスポットがお散歩コースつきで紹介されているもの。「お屋敷で飼っていたネコがしゃべった」「江戸城近辺のお堀ではたびたび河童が目撃されている」など、お江戸の空気を感じさせる不思議でゾクっとするような話が20件弱とりあげられています。
お菊さんの皿屋敷も、四谷怪談のお岩さんゆかりの坂道も、今では全国屈指の霊的スポットとして有名な平将門の首塚も千代田区内のスポットだったときけば、あらためてこの地の怪談的厚みが伝わってきます。江戸・東京の隠された歴史を深掘りできる貴重な地図が無料配布というのだから、これはゲットしない手はありません。
こちらがその表紙。
マップでは、さらにエリアをしぼって「番町皿屋敷コース」「江戸城界隈コース」のふたつの怪談体験ルートが紹介されているのですが、せっかく入手したらチャレンジしてみたくなるのが人情。ふたつのうちよりコンパクトな「番町皿屋敷コース」の一部を歩いてみました。
このコースに含まれる怪談ポイントは、「番町の化け物屋敷」や、先にも触れた「しゃべる猫」のいた武家屋敷跡など。
余談ながら「番町」という名前は、江戸時代このあたりに大番組とよばれる旗本たちの屋敷があったことに由来します。マップでも千代田区三番町、四番町、五番町などに怪談ポイントが記されていますが、これらの町名はもちろん江戸時代の「番町」を継承したもの。東京の街にはあちこちに江戸の名残が残っているんだなあ……などと考えながら歩いているうちにたどり着いたこのあたりが、しゃべる猫がいた屋敷跡だそう。
「しゃべる猫」とは、ざっくりまとめると以下のような怪談です。
とある武家屋敷で飼っていた猫が、あるとき庭のスズメを捕まえそこね「残念なり」と人間の言葉を発した。偶然これを聞いてしまった主人が驚いて猫を殺めようとすると、猫は「ものを言ってなどいないのに」とふたたび言葉を口にする。ますます驚いた主人が手をゆるめたスキをみて猫は脱走、そのまま二度と戻ってはこなかった。そして以後、この屋敷では猫を飼うことが硬く禁じられた。
なんとも実話怪談めいた、意味不明な不気味さがあります。ここにしゃべる猫がいたのか……と、想像の扉を全開にして当時の様子を思い浮かべてみましょう(ただし、江戸時代の地図は現在ほどには正確でなく、またピンポイントで場所が記されているわけではない話もあるため、地図のマッピングはおおよそこのあたりという目安とのこと)。
こちらも怪談ポイントのひとつ、千代田区一番町にある法眼坂。江戸時代ここでは時折「蛙の合戦」なるものが繰り広げられ、見物人もでるほどだったとか。わざわざ見物にくるほどの蛙合戦とは一体……。今では見渡すかぎり舗装されカエルが出そうな様子もありませんが、そんな場所ほどこちらの想像力(幻視力)が試されます。
いっぽうこちらの坂は、「女の怪が出現する化け物屋敷」があったという三年坂。
坂は高所と低所をむすぶ境界の一種であり、怪異が発生しやすいゾーンなのだとの説もあります。江戸(東京)は坂の多い土地ですが、とりわけ番町あたりは細かなアップダウンが多く、短い坂があちこちに存在しています。それだけ多くの怪談がささやかれていたのでしょうか。
およそ1キロばかりの道を歩いただけで、立て続けに怪談スポットに遭遇できる千代田区。現場を散歩してみるとあらためてその怪談的ポテンシャルを実感させられます。「千代田区怪談お散歩マップ」をみながら、自分なりの怪談散策コースをつくるのも楽しいでしょう。さらに情報を追加してオリジナル怪談マップを仕上げるところまでいけば、もう立派な怪談探偵。現地を訪ね、地図を眺めているうちに、アスファルトの下に隠された意外な真実にたどりついてしまうかもーー?
千代田区怪談お散歩マップ
千代田区観光案内所ほか区内各所で配布中(冊数終了まで)、無料。
webムー編集部
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