会場自体が異世界!? 「パラレルワード」がテーマの「UFO CLUB TOKYO」×「ムー」コラボイベント開催

文=鈴木翔子

    UFOを信じる余裕のある大人のイベント「UFO CLUB TOKYO」に「ムー」が参加! 異次元コラボで異世界トークが行われた。

    裏原宿でUFO、という異世界ぶり

     2025年5月31日、「UFOぐらい信じられる大人になろう」がコンセプトのイベント「UFO CLUB TOKYO」と「ムー」がコラボしたイベントが開催された。テーマは“パラレルワールド あなたの知らない異世界”。会場ではUFOや異世界をテーマにしたアイテム販売も行われ、本サイト、webムーの編集長・望月哲史が登壇するトークイベントも開催。その様子をお届けする。

    開催場所は、裏原宿にある「ROOM MATE HARAJUKU」。ファッション感度の高いエリアだからか、会場に入った時点でムーらしからぬ世界線に足を踏み入れてしまったかのような気分に……。
    開場すぐから買い物や交流でにぎわう。壁には「イルミナティカード(日本語版)」も展示されていた。

     そもそも「UFO CLUB TOKYO」とは? アートやカルチャーを独自に解釈し、デザインに落とし込むことを得意とするファッションブランド「NATAL DESIGN(ネイタルデザイン)」が、定期的に主催しているイベントだ。

     そう聞いて、「おしゃれ界隈の人が面白半分でやってるだけじゃ……」と感じた読者もいるかもしれないが、過去にはオカルト研究家と一緒にUFOを呼ぶ野営集会を主催したり(実際に呼べたかは不明)、スプーン曲げで知られる超能力者の清田益章氏や超常現象研究家・飛鳥昭雄氏などを招いたトークショーを開催したりと、なかなかにガチ。

     そんな洒脱かつ真正なイベントがあったとは……!

    「UFO CLUB TOKYO」と「ムー」のコラボTシャツ。ファッションブランドの手にかかると、ムーのあやしさもストリートテイストになる不思議。
    海外ファンも多い日本発のソフビ人形ブランド「ゴッコ堂」の人気アイテム、「アストロウンコツ」の「アストロウンコツ”サードアイ”ムー限定ver」と「アストロノーツ気合田くん”ムー”ンランディング」が数量限定で抽選販売された。

     会場では「ムー」も物販参加し、できたてほやほやの新作Tシャツや8月に開催するイベントのステッカーなど、公式ウェブショップ未発売のグッズをひと足お先にお披露目していた。

    ムーTシャツの新作。ハワイ某所で目撃されたUFOの写真を少しばかりアレンジ。
    8月10日に開催される「ムー」初のゲームイベントに向けて作ったステッカー。原田ちあき氏がキービジュアルを手掛けてくれた。

    「ムー」の秘話やパラレルワールドの謎を語る

     物販や交流のさなかにトークイベントも開催された。テーマは「ムー」「予言」「異世界」である。

    「ムー」創刊秘話――46年、ムーはなぜ続いているのか?

     1回目のトークショーは、怪談師の今仁英輔氏とふたりで、「ムー」の歴史を紐解くという内容。ちなみに「ムー」は、学研(当時は学習研究社)の学年別学習雑誌「高校コースのオカルトコーナーが原点。読者人気が高かったため、「雑誌としてスピンオフしてみては?」となったのだそう。そのため創刊当初は、今よりも内容が中高生向けでマンガも豊富だったらしい。そして驚愕なのが、「手塚治虫さんや松本零士さん、水木しげるさんに竹宮恵子さんなどが描いてくださっていたんです」(望月氏)と豪華すぎる執筆陣だ。

     レジェンドが集ったならさぞや売れたのだろう……と思いきや、「当時はSF作品の紹介記事も多く、フィクションとノンフィクションが混在していた……そのためぁ、オカルトファンの心をいまいち掴めず苦戦したらしい」とのこと。

     そんなこんなで創刊から1年。鳴かず飛ばずで、ついに迎えた廃刊の危機。であれば振り切ってしまおう!と、「古代核戦争」や「超古代文明」、「日本のピラミッド」など、マニア向けの内容へと舵を切り直す。それが功を奏し、今なお続く唯一無二のオカルト雑誌となったのだ。

    「ムー」のロゴに秘められた秘密と“ムーらしさ”

    「ムー」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、赤い三角形のロゴだろう。実はこのロゴの誕生にも、「デザイナーの中谷匡児さんのご家族から伺った話ですが、学研からロゴの依頼がきた瞬間にこのロゴデザインが頭に浮かんだ、と語っていた」と、ムーらしいエピソードが。さらにロゴの形に“小さな秘密”まで隠されているという。

    「みなさん、正三角形だと思っているかもしれませんが、実は少し末広がりになっているんです。現在の編集部ではずっと正三角形だよね……と認識していたんですが、グッズとかにロゴを使うためにデータ化した際、あれ、正三角形じゃないのか、と気がつきました。そのぐらいよくよくみないと気がつかないレベルで末広がりなんです」

     デザイナーがロゴにひっそり隠した(かもしれない)、幸運のモチーフ。このおかげで約50年近く発刊を続けられたのかもしれない。

    ロゴ画像に正三角形を重ねてみると……末広がりの三角形であることがわかる!
    一見、正三角形だが、びみょーーーに正三角形からずれている。

     そして話題は、「滅亡予言」の変遷と、「ムー」の制作裏話へ。

     ノストラダムスにジュセリーノといった予言者たち、また2012年に話題のマヤ暦の区切り……など、「ムー」では数々の滅亡予言の特集が組まれてきた。こういった特集を組む際、編集部が大切にしていたのは、「恐怖をあおるのではなく、あくまで“情報の仮説として提示”すること」なのだそう。

     扱っているジャンルがジャンルなだけに、編集部にはさまざまな目撃情報や、超常現象の報告電話が寄せられるそうだが、仮に“そんなことがあるわけない!”と思う情報だったとしても、「ありえないと感じてしまうのは、自分の理解や情報量が追いついていないだけかもしれない。だから人の話はまず受け止めるようにしています。すべての体験談には、その人にとっての真実がありますから」と望月さん。

     誰かにとって真実である情報を否定せず、一つの仮説として提示する。そんな編集方針を持っているからこそ、滅亡予言が外れた翌月にしれっと別の特集へ移行しても問題ないのである。

    的中率の高さで話題「イルミナティカード」が暗示する“未来の予言”

     続く第2部は、第1部と同様に今仁氏とふたりで、予言のカードと噂される1982年に作られたカードゲーム、「イルミナティカード」(2024年に日本語版も発売)を紹介。

     イルミナティカードが予言のカードと言われる所以は、90年代に作られた商品にも関わらず、9.11のテロ、2016年のトランプの大統領当選とその後の暗殺未遂事件、新型コロナパンデミックといったのちの世界的事件とカードの絵柄が一致しているから、とされる。

    左のカードは、9.11のテロと一致すると言われているカード。そして右半分の下段左がトランプ大統領の暗殺未遂事件を予言したと言われている「Enough in Enough(もう十分だ)」。しかも銃弾がかすめた右耳と赤い三角形の位置が一致している

    「仮に狙撃者がカードの絵柄を再現しようとしたところで、実際に同じ位置に当てるなんて無理な話。となるとこれは偶然の一致なのか、まさに予言していたのか……? いずれにせよ奇妙すぎる。それがイルミナティカードなんです」

    会場の壁一面には、2024年12月に発売されたイルミナティカードの日本語版がズラリ。こういう見せ方もあるのか!

     そして最近ネット上で話題になっているのが、小泉進次郎氏を表しているのではないかといわれている「懸念(原題:Angst)」のカードだ。

    「ムー」でも特集記事を組んだように、このカードが小泉進次郎氏を意味しているとしたら……?

    「欧州で人類史上最大の予言者と言われていたババ・ヴァンガ氏(1996年没)が生前『1981年生まれの日本の指導者が、日本と世界を救う』と言っていたという説もあります。調べると進次郎氏は、1981年生まれなんですよ。ババ・ヴァンガ氏が言っていたのが進次郎氏なのか。イルミナティカードのこともありも非常に気になりますね」

     はたして「懸念」のカードはいったい何を予言しているのか。個人的には、ネクタイの色がドイツ国旗と同じである点も気になっている。

    ちなみに筆者が所有する「ムー」の公式ステッカーもイルミナティカードがモチーフ。元ネタから「横浜の災害」を描いたとされるものだ。不謹慎だが日本の危機として要注目。同じイラストのTシャツも販売中だ。

    記憶のズレ、乗り換えの罠、幻の駅ーー日常のすぐ隣にある異界

     フィナーレとなる第3部では、オカルト研究家の吉田悠軌氏が加わり、3人で「謎の記憶共有、マンデラエフェクト」「秋津駅―心秋津駅間に存在するパラレルワールド」「降りたら二度と戻れない異界駅・きさらぎ駅」の3トピックで、イベントのメインテーマ「パラレルワールド(不思議な異世界)」の存在を掘り下げることに。

     トピックひとつ目の「マンデラエフェクト」とは、「大勢の人が、実際とは異なる同じ記憶を共有している」という現象を指し、その名は「ネルソン・マンデラは若い頃に獄中死した(実際は95歳まで生きていた)」と信じる人々が一定数存在したことに由来する。

    「同じ地域に住む人の間で信じられているのであれば、例えば“その地域で放送されていたテレビ番組でそういった映像が流れたから”のような説明がつくんですが、実際は国や世代がバラバラなんですよ」と望月。

     そして吉田氏から来場者に、「ピカチュウの尻尾の先は何色でしょうか?」と質問が投げかけられると、参加者の多くもマンデラエフェクトにかかっていたことが判明した(答えは黄色。だが、多くの人が黒や茶色を思い浮かべていた)。

     続いて、東京都と埼玉の堺にある西武線「秋津駅」とJR武蔵野線の「新秋津駅」のあいだにある異界の話へ。両駅の距離は徒歩4、5分ほどで、通勤や通学時に乗り換え目的で利用されることが多いのだが、吉田氏は、「ふたつの駅の間で異変を経験したという報告が相次いでいる」という。

    「私が最初に知ったのは、7、8年前。学生時代からずっとここで乗り換えてきたという女性の体験談なんですが、昨日までファミリーマートだったはずの場所が、翌日突然ローソンに変わったというんです。そしてローソンの店員に『昨日までファミリーマートでしたが、経営されていた方は引越されたんですか?』と聞いたら、『うちは何年も前からローソンですよ』と。つまり、彼女はそこに“ファミリーマートがある世界線”から、“ローソンの世界線”へと来てしまったわけです」(吉田氏)

     ほかにも、スマホから顔を上げたらだだっ広い畑の中の未舗装路に立っていたという話や、コーヒー1杯飲む程度の時間しか過ごしていないのに店出たら4時間経っていたという話など、吉田氏の元には、別の世界線に迷い込んだとしか思えない話が、続々と届いているという。

     そしてこの、駅から異世界に迷い込んでしまうエピソード……ネット初の都市伝説として有名な「きさらぎ駅」につながる。これは2004年、2ちゃんねるに突如現れた投稿者が「新浜松駅から電車に乗っていたら、無人の駅に着いた」などと実況し、その後、助けを求めながらも消息を絶った……という都市伝説である。

     吉田氏は、ここまで紹介してきたトピックから、「異界への入り口は目的地にはならない“どこでもない場所”である点が共通する」と分析。

    「鉄道は目的地へ移動するために乗るもの、駅も同様に目的地に移動するために通過する場所。橋や交差点もそうですよね。民俗学的に言うと境界。そういった目的地にならない場所は、古今東西、怪異が起こると言われています。かつ、秋津駅と新秋津駅の場合、乗り換え駅なので、「目的ではない乗り物」×「目的でない場所」の掛け合わせ。だからより時空に歪みが発生し、怪談が集まってくるのでしょう」

     そんな吉田氏の分析に、「最終目的地ではないうえ、通勤などで使い慣れているから、ぼんやり歩いている場合が多く、迷い込みやすいのかもしれない。これが歌舞伎町だとか、キャラの濃い場所では起こらないんでしょうね」と望月も同意。

     吉田氏は、JRの武蔵野線(元々は貨物を運ぶために作られた線)や蒲田―新蒲田間などの中心地から離れた場所のターミナル駅は、こういった話が多く発生しているらしい。

    「そういう意味でいうと、新浜松駅も怪談が多いんです。だからもし、仮にきさらぎ駅の話が誰かの創作だったとしたら、それはそれで非常にうまいところをついているといえます」

     などなど、予想以上に濃いトークが展開された。まさか裏原宿でUFOや異世界の話題で盛り上がるとは、ムー的な話題の広がりを感じる。

     はたして次回はあるのか?

     ちなみに、吉田悠軌氏の新刊「教養としての名作怪談 日本書記から小泉八雲まで」が7月に発刊予定であり、イベント当日に吉田氏からゲラ(筆者校正入り)を望月は受け取っていた。帰路で異界に迷い込むことなく、同書は無事に刊行予定である。

    鈴木翔子

    「「UFOの日」生まれだが、遭遇率および霊感はゼロのフリーエディター兼ライター。好きなのは、民俗学系の小説・漫画と酒をめぐる旅。視えたり呼ばれたしがちな夫がいる。

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