異星人接近遭遇「甲府事件」と現場に残されたUFOの残留物質の謎/並木伸一郎
1975年、夕闇迫る山梨県甲府市で、ふたりの少年がUFOを目撃した。後に「甲府事件」と称されることとなったこの出来事を驚愕発見とともに振り返る。
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文=宇佐和通
衝撃のUFO着陸、異星人遭遇から50年に向けて……現地・甲府が動き出した!
2024年6月22日。山梨県甲府市で、日本のUFO史における新しい時代の幕開けを感じさせるイベントが開催された。地元で結成された一般社団法人『UFO KOFU 1975』が主催した甲府UFO事件50周年プレイベント「UFOKOFU1975 THE LIVE MOKUGEKI!」である。
同法人は昨年から「甲府UFO事件」の50周年=2025年2月を見据え、現地で情報発信を重ねてきた。事件の顚末を振り返り、甲府で発生した歴史的な出来事として記録していこうという試みは「ムー」としても気になるところ。さらに、UFOマニア以外にも関心をもってもらうべく、甲府コスモガールズのパフォーマンスや、甲府事件をモチーフにした三遊亭吉馬さんの創作落語も含めた構成で、来場した約150名のファンとともに、会場は大いに盛り上がった。
イベントにあわせて、山梨日日新聞では「甲府UFO事件」を振り返る特別紙面を掲載。かつて「ムー」の総力特集で掲載した並木伸一郎先生の記事をもとに再構成した内容は、現地でも話題となり、複雑な気持ちにはなるが、フリマサイトで転売されている例を見かけたほどだ。
そしてイベント本編の中核は、甲府事件を愛してやまないオカルトホビーメーカー、ザクレスホビーさんと三上編集長の徹底対談。50年前の出来事の解説だけでなく、かなり深いところまで掘り下げ、かなり広いところまで及んだ対談の内容は、別記事で詳しく紹介させていただくことにする。
筆者はイベント開始1時間ほど前に現地に到着したのだが、会場となった甲府駅前の山日YBSホールの建物周辺には、いかにもムー民といったいでたちの人たちがすでに集まり始めていた。
会場入りすると、すぐに甲府コスモガールズのリハーサルが始まる。甲府事件へのトリビュートソングも披露されるようだ。今回のイベントに用意された席数は150ということで、取材者である筆者は開演間近まで待って後方の空いている席に座ろうと思っていたのだが、結局はほぼ満席状態になってしまい、録音しながら出入り口近くのスペースで立ち見することになった。
今回のイベントの主催者である『UFO KOFU 1975』の基本コンセプトは、1975年に甲府市で発生した「甲府UFO事件」をロマンと文化と考え、これを活かしてエンターテインメントに昇華させながら地域を盛り上げ、さまざまな事業活動を展開していくことだ。現場で参加した者のひとりという立場から言わせていただくのだが、スタッフの皆さんの甲府事件に対する熱量の高い“自分ごと感”が客席の隅々にまで行き渡り、しっかり具現化されていることが確認できた。
イベント本番は太神楽師コンビ「かがみもち」さんによる一番太鼓の響きで始まり、「UFO音頭」で場が温まっていく。続いて三遊亭吉馬さんによる「甲府UFO事件落語」が披露された。出囃子に乗って現れた吉馬さんは、自作の甲府星人マスクを装着していた。落語の内容は、甲府UFO事件の現場でロケするYouTuberという、エッジの利いた設定にレアな情報をちりばめ、意外にも事件の本質に近い事実を秘めていたのではないか……。会場でその可能性に気づいた方々も多かったに違いない。
続く「甲府コスモガールズ(NIKA&YUI)」のパフォーマンスはオリジナル曲の『甲府UFOランデブー』『愛コンタクティ』(こちらの楽曲はザクレスホビーさんによる作詞)などで、ご当地文化やUFOカルチャーをポップなメッセージとして仕上げている。ステージ後半では、甲府星人(!)もステージに上がってキレッキレのダンスを披露した。
イベント終盤、三上編集長とザクレスホビーさんによる「ムーから見た甲府UFO事件」というテーマのトークライブへとつながっていく。ザクレスホビーさんは甲府星人フィギュア作者/甲府UFO事件愛好家ということで紹介されていたが、甲府UFO事件に関しては愛好家というレベルではない。ライフワークにほかならないのだ。前述のとおり、編集長とザクレスホビーさんの対談の内容は、別記事で詳しく紹介する。
イベントの流れをひと通り紹介したところで、「なぜ今なのか」ということについて考えてみたい。
アメリカでは議会主導でUAPに関するシリアスな公聴会が複数回開催され、日本でも6月6日に国会議員80人以上が名を連ねた超党派の「安全保障から考える未確認異常現象解明議員連盟」が設立された。UFOやUAPといったワードが一般メディアでも見られるようになった今、編集長もトークライブで触れたように、潮目が変わりつつあることは確実だ。筆者は今年で「ムー」と30年ほど関わらせていただいているが、国会議員まで巻き込む形で世間全体がこれほどUFOやUAPで盛り上がっている状況を見た記憶はない。
地元で歴史的な出来事として認められている甲府UFO事件は、来年50周年という節目を迎える。50周年の一大記念イベントに向けての準備が着々と続いていることは容易に理解できる。
全体的な空気感として、ニューメキシコ州ロズウェルで毎年独立記念日に開催される「インターナショナルUFOフェスティバル」の思い出が重なった。ロズウェルの町全体をあげて行われるこのイベントは、回を重ねるごとに規模が大きくなり、参加者の数も増えている。もちろん、知名度は世界レベルだ。
潮目が変わりつつあることをほのめかす事実もある。ザクレスホビーさんによれば、海外のUFOマニアの間でも甲府UFO事件の認知度が高まっているらしい。コラボレーションの打診をしてくる団体もすでにいくつかあるようだ。
イベント終了後も、多くの人たちがロビーのあちこちにグループを作ってそれぞれに話し込んでいた。地元との関係性でいうなら、和菓子店・松林軒国玉店さんの練り切りやどら焼きといったわかりやすいグッズを含め、実際に現地に足を運ぶ人たちとのつながりが、世界的に注目されるイベントとしての価値を高めていくだろう。思いを同じくする人たちが世界中に広がっていきそうだ。
文化財としての甲府UFO事件の成長は、発生50周年を機に、さらに長いスパンで見守り、盛り上げていくべきプロセスだと思う。
宇佐和通
翻訳家、作家、都市伝説研究家。海外情報に通じ、並木伸一郎氏のバディとしてロズウェルをはじめ現地取材にも参加している。
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