日本を動かした神秘主義結社「昭和神聖会」と出口王仁三郎/武田崇元
昭和戦前を席巻した新宗教・大本のリーダー王仁三郎は、近代的な右翼団体「昭和青年会」「昭和神聖会」のオルガナイザーでもあった。 大陸覇権を狙う軍部や急進派右翼と手を結んで驚天動地の国家改造と霊的革命をめ
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日本の身体改造シーンをリードするケロッピー前田が語る最前線! 衝撃のロングインタビュー後編。
今年4月、ChatGPTを開発したOpenAIのCEOサム・アルトマンが緊急来日、岸田首相と面会するばかりか、自民党主導「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」の会合にも出席した。これから日本は人工知能の実験場にされるということなのか? それに続いて5月、イーロン・マスクが人類とAIの融合を目論んで開発する、脳とコンピュータを接続するニューラリンクがFDA(アメリカ食品医薬品局)から臨床試験の承認を得て、人体実験を開始できることとなった。人工知能が人類を追い越すシンギュラリティが現実味を帯びるなか、時代はさらに加速している。
身体改造ジャーナリストのケロッピー前田氏は「サイボーグになりたい」人たちが急増中だという。そればかりか、ケロッピー氏もチャンスが巡ってくるならニューラリンクを迷わず試してみたいと断言する。後編では、イーロン・マスクのニューラリンクの最新事情とそれに関わる人工知能の動向について聞いた。
★ ケロッピー前田が語る人類サイボーグ化の歴史と未来! インタビュー前編はこちら
――人工知能が人類を追い越すシンギュラリティの議論からイーロン・マスクがニューラリンクに行き着いたのはどうしてでしょうか?
ケロッピー 『モダン・プリミティブズ』が登場したときに一方でサイバーパンクが盛んになったように、身体改造実践者たちがDIYでマイクロチップを体内に埋め込むなどしてサイボーグを目指していた頃に全く別のところで次なる挑戦が始まっていました。それが、電動自動車のテスラや民間宇宙開発事業のスペースX、ツイッター買収などでよく知られるイーロン・マスクが挑む、脳とコンピュータを接続するニューラリンクです。
始まりは2016年まで遡ります。その年、IT関係者が集まる会議「Code Conference 2016」のトークショーで、イーロン・マスクがAIの危険性について次のように語りました。「シンギュラリティが到来したら人類はAIのハウスキャット(飼い猫)にされてしまう、それでもいいのか」というのです。女性の司会者が自分は猫でも構わないというと、イーロンは「人類が自分たちの運命をAIに託してしまった場合、AIが人類を滅ぼしてしまうのではないか」と譲りません。「では、どうすれば」と厳しく切り返す司会者にイーロンは、人類をAIと融合するという独自のアイデアを語り始めたんです。つまり、脳とコンピュータの新しいインターフェイスの技術が必要になってくるというわけです。
――それがニューラリンクということですね。
ケロッピー そうです。そのときは「ニューラレース」という言葉を使って、生物脳の表層にもう一層デジタル脳を実装するというものでした。そのアイデアを実現しようというのがニューラリンクです。2016年に企業として立ち上げられ、2019年に最初のお披露目の会見が開催されました。その翌年にはブタにチップを埋め込み、さらに2021年4月にはサルに埋め込み、念じるだけでピンポンゲームをプレイする「マインドポン」の動画を公開して大きな話題となりました。
具体的には、頭蓋骨に穴を開けて髪の毛よりも細い1024本の電極を手術ロボットを使って脳に縫い付けます。手術は15分ほど、電極に繋いだデバイスはコイン大で直径2.5センチ、送受信も充電もワイヤレスで、ニューラリンクを埋め込んでいることが外からはわかりません。
最初は病気や障害を持った人の治療の目的に人体実験しますが、将来的には一般の人たちが幅広く利用できるようなものにしようと目論んでいます。料金も5000ドル(約60万円)くらいで、普通の人でも手に入れられる金額です。
ちなみに、僕が昨年11月末、ニューラリンクの会見イベントの取材に行ったときには、事前情報が全くなく、実はFDAの承認が通っていて、会見イベントでいきなりニューラリンクを埋め込んでいる人が壇上に現れるんじゃないかとさえ言われました。実際に現れたのはTシャツ姿のイーロンでしたが、流石にSF映画みたいに秘密裏に人体実験を始めてしまうことはできません。それでも今年5月にFDAの承認を得ているわけですから、物凄いスピードで開発を進めています。
――OpenAI社が人工知能「ChatGPT」を公開したのは昨年11月、その後2か月で利用者1億人を超える世界的なヒットとなりました。
ケロッピー もともとOpenAI社は、2015年創業時にはイーロン・マスクの出資で始まったものでした。しかし、2019年頃にイーロンのワンマンぶりと相容れずに決別した後、ビル・ゲイツのマイクロソフトの傘下に入りました。そればかりか、昨今の躍進にはグーグルからの膨大なデータ提供も大きな後押しとなっているといいます。もともと対立していたビル・ゲイツとイーロン・マスクの戦いが人工知能の領域に持ち込まれたことでChatGPTの大躍進を招いたとしたら皮肉な展開ですね。
便利になるなら、いいじゃないかと思っている人もいるかもしれないけど、人工知能をビル・ゲイツに任せてはいけない理由について、イーロンはフォックスニュースでこう説明しています。つまり、イーロンがツイッターを買収して言論の自由を取り戻したのは、政府が資金を出してツイッターに検閲を指示していたから。そのことが2020年の大統領選挙の世論に大きく影響したことが問題だといいます。そして、ChatGPTもまたビル・ゲイツらに操られるなら政治的に偏ったものになると警告しています。
――複雑な展開になっているんですね。人類とAIの戦いというよりも、その背後にいる人間同士の戦いになっています。
ケロッピー そうそう。そして、イーロンはChatGPTに対抗してTruthGPTの開発を進めると宣言しています。彼によれば、宇宙の真理を探求するためにこそ人工知能を使うべきだといいます。そうすれば、人間がいらないなんて思わないだろうと。少なくともOpenAIのライバルが登場したことは一社独占を許さない意味では頼もしいですね。あと、イーロンがすごいところは、AIの危険性を指摘しながらも、AIそのものを否定していないし、AIの開発自体も自分たちでやろうとしています。その点でも本当に人類とAIの融合や共生を目指しているんだなということがわかります。
――具体的にはニューラリンクを埋め込むとどんなことができるんですか?
ケロッピー ニューラリンクがどう展開していくのかという広がり方は、まだ想像もつかない部分がいっぱいあります。現状のニューラリンクは、念力で文字を打ったり、家電を動かしたりするという、怖くない程度の性能です。コンピューターでできることを、実際にコンピューターを操作しないで脳波で動かせるんです。ニューラリンクを装着して、3Dゴーグルと組み合せれば、メタバース的なものは全部考えただけで動かせます。基本的には出力です。
ニューラリンクの最初の臨床試験は病気の人が対象です。脊髄損傷で麻痺した手足を動くようにしたり、手足を使わなくてもパソコン操作できるようにしたりします。失明した人の目を見えるようにするのは入力です。この技術は頭の中に画像を送る技術を将来的に作りたいから進めていると思います。
僕はトレパネーション(頭蓋骨に穴を開ける身体改造)も長年取材しています。頭蓋骨に穴を開けると意識が覚醒すると主張している人たちがいて、実際に穴を開けちゃった人たちもインタビューしています。脳については現代科学においてもわからないことが多いんです。
だから、ニューラリンクで脳に電極を繋ぐという刺激だけでも宇宙に行ってしまったような特殊な体験をするかもしれません。一般的に考えられる利便性を超え、直接的な能力開発の可能性があります。とはいえ、だから怖いという意見も出てくるのでしょう。ニューラリンクは取り外しもできるように設計されているので。問題あれば、取ればいいと僕は思っていますけどね。
――身体改造の世界では、ニューラリンクに対する期待度はどのくらいなんでしょうか?
前田 支持派と懐疑派が半々くらいですね。イーロン・マスクを好きな人と嫌いな人がいますから。イーロン・マスク自身、熱狂的な支持者がいる一方で、かなりクレイジーな困った人と見られているところもあります。僕自身は、イーロン・マスクは自分の頭に埋め込むつもりでニューラリンクの開発を始めたと思っているので、そういうところに親近感があるから、イーロン・マスクを支持しています。
――マイクロチップについてだと、「全員が埋め込みなさい」という法律ができそうな気もします。そういう怖さがありますね。
ケロッピー 確かに動物ではチップ埋め込みが義務化されましたが、人間とは全然違います。マイクロチップに限らず、テクノロジーを企業や国家に独占させてしまったら、テクノロジーがどう使われているのかを個人が把握できません。身体改造カルチャーがマイクロチップや電子機器の体内埋め込みを推進しようとしているのは、テクノロジーを個人に取り戻す行為でもあります。
たとえば、コンピュータの歴史では、60年代に巨大なマザーコンピュータに人類が支配されるという危機感が生じ、一人一人がそれぞれパーソナルコンピュータを持てばいいという考えから「ダイナブック構想」が誕生しました。この思想を具体化したのはスティーブ・ジョブズのマッキントッシュだったわけです。
2018年にマイクロチップが世界的に大きく注目されたとき、「スマホの次はチップだ」と騒がれました。当時よりマイクロチップの技術は発展し、さらに一歩進んでニューラリンクが登場しました。現在も、パソコンやスマートフォンがテクノロジーの独占から個人を守るのに機能しています。今度は人工知能の台頭を前提として「チップを体内に入れますか?」という選択肢が出てきています。
――人工知能による支配に対するカウンターとしてニューラリンクがあるのなら理解できます。とはいえ、イーロン・マスクを信頼していいのかもわかりません。
ケロッピー それは自分で選べます。イーロン・マスクは、ニューラリンクを作ろうとしているけれど、それをみんなに強制しようとしているわけではありません。むしろ、アメリカでは近年、州単位でマイクロチップを強制してはいけないという法律が出来てきています。アメリカ人は自由にやりたい一方で強制されたくないんです。
たとえば企業がドアをマイクロチップでないと開かないようにすると、従業員が全員マイクロチップを入れなくてはいけなくなります。こういうことが起こらないように、チップがない自由も保障しなくてはならないんです。チップが義務になってはいけないという考えの現れですよね。
――人工知能が人類を追い越すシンギュラリティとはどんなものなのでしょうか? これから到来するであろう、人類の未来について話していただけますか?
ケロッピー 拙著『70年代オカルト』(光文社新書)の「エピローグ」で、21世紀のオカルトとして人工知能との遭遇について、次のように書きました。
「人類を超える人工知能と向き合ったとき、僕らは、どれほど正気を保てられるのであろうか。そのような状況は、たとえば、宇宙人と突然遭遇してしまった状況に似ているように思う。まさにコンピューターやインターネットの中にオカルト(隠された)世界が出現してきたともいえるだろう。だからこそ、カウンターとしてのオカルトが、これまでの想像力の累積を総動員して、その闇の部分を照らし出していこうということになるのだ」
現状から考えて、知的生命体としての宇宙人と人類が遭遇することは難しいかもしれません。しかし一方で、人工知能という怪物が生まれ出ようとしています。そのとき、僕らはどのようにそれと向き合うことになるのか? ニューラリンクを埋め込んでおけば、彼らとうまくコミュニケーションが取れるのか? そこに身体改造カルチャーばかりか、オカルト的な叡智も総動員して対応しなければ追いつかないような現実と向き合うことになります。シンギュラリティの恐怖とはそういうものだと思います。
テクノロジーの進歩がさらに加速している。SFの世界のことだと思った出来事が次々と現実化している。そんな時代だからこそ、自分の精神と身体の自由を手放さないため、ケロッピー氏が追うカウンターカルチャーの精神が求められるのかもしれない。身体改造やオカルトはこれからも今を生き抜くためのヒントを教えてくれるカルチャーとして重要な役割を担っていくだろう。
~おわり~
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ケロッピー前田
世界のカウンターカルチャーを現場レポート、身体改造の最前線を日本に紹介してきた。その活動はTBS系人気番組『クレイジージャーニー』で取り上げられ話題となる。主な著書に『70年代オカルト』(光文社新書)、『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)、『縄文時代にタトゥーはあったのか』(国書刊行会)など。
本間秀明
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