標高3700メートルの高地に築かれた巨大迷宮 チベット仏教の聖地「ポタラ宮」の歩き方/ムー的地球の歩き方

文=中村友紀

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    世界最大の建築物

     地下に地底王国シャンバラへの入り口があるといわれるポタラ宮。ご存じのように、チベット仏教の聖地として知られる場所だ。

     チベットを統一したソンツェン・ガンポによって7世紀に築かれた宮殿跡を、ダライ・ラマ5世が改修・建造したのが現在の建物だ。ちなみに本格的な建設が始まったのは1645年ごろで、すべてが終わったのは1695年だった。
     世界最大の建築物ともいわれ、基部からの高さは115メートル、東西約360メートル、奥行約300メートルにも及ぶ。13階建てで部屋数は1000室以上。ダライ・ラマ14世は自伝のなかで、いくつ部屋があるのかわからなかった、と書いているほどだ。
     なお、ポタラとは観音菩薩かんのんぼさつが住むという、補陀落ふだらくのサンスクリット名に由来する。
     そのポタラ宮だが、標高約3700メートルの、中国チベット自治区の区都ラサ旧市街西部にあるマルポ・リ(チベット語で赤い山を意味する)南斜面に建てられている。
     高度でおわかりのように、富士山山頂に豪壮な宮殿があるようなものだ。宮殿内は、ダライ・ラマの居室や政務の場があった白宮(ダライ・ラマ5世が建設)と、宗教的信仰の場である紅宮(ダライ・ラマ5世の死後、摂政が中心に建設)に分かれていて、後者には金箔で覆われた歴代ダライ・ラマのミイラを収めた霊塔が祀られている。
     だが、1959年のチベット動乱によってダライ・ラマ14世が亡命したことで、中国政府によって接収され、現在は博物館となっている。

    見学できればラッキー!? 入手困難な見学チケット

    歴代のダライ・ラマたちが、かつて生活していた部屋。

     見学は可能だが、チケットはかなりの競争率のうえに、ガイドの同行が義務づけられている。
     また見学できる部屋にも規制がかかっており、政治的・立地的条件も含め、実際に訪れるのはかなりの難易度といえる。ツアーに申し込むのがもっとも簡単だが、それでも見学ができればラッキーといえるかもしれない。

    7世紀に築かれた、チベット仏教の中心地、ポタラ宮。
    さらに詳しく知りたい方は『地球の歩き方ムー 異世界(パラレルワールド)の歩き方』をチェック。

    月刊ムー 2023年9月号より

    中村友紀

    「ムー」制作に35年以上かかわるベテラン編集記者。「地球の歩き方ムー」にもムー側のメインライターとして参加。

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