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科学・宇宙の解説を中心として、都市伝説やオカルトを論理的に検証する。 「イチゼロライブ」で公開収録を行い、コンテンツを制作するというスタイルで運営。 最近では、マス向けに編集された新フォーマットによる配信も行っている。
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大規模言語モデルによるAIの急激な進化はさらに速度を上げています。中でも「目的を達成するために何をすべきか?」を推論できるAIのGPTは、あらゆるコンピューターシステムを代替できると同時に、今まで人間にしかできなかったことも担えるようになります。結果的に、ほとんどの産業が自動化されます。
AIの進化速度が速くて数か月先の予測もできない現在ですが、物理的な脅威の発生と経済的な変化を考えてみましょう。
物理的な脅威の発生とは、高度なAIが先制国家やテロ組織に利用された場合、私たちの安全に対するリスクが高まる可能性があることです。あらゆるテクノロジーが軍事利用される、新しいパワーバランスは国際関係を変化させるでしょう。これは抑止のしようがありません。
経済的な変化のひとつは競争環境の変化で、企業はこれに対応しつづけなければなりません。さらに、雇用市場の変化によって人材の採用や育成で異次元の戦略を立てる必要が出てきたり、消費行動の変化によって安定した販売ができなくなったりします。企業や個人によるさまざまな試行錯誤が同時進行で行われ、新しいイノベーションが起こる可能性が高まります。
この急速な変化は日本の産業でも起こります。多くの企業は労働力を減らす方向に進み、人間が担っている仕事は確実に減っていきます。雇用や所得の格差が生まれ、必要なスキルも劇的に変化するはずです。政府もAI積極導入の政策を実施し、合理化のよる人件費削減に舵を切るでしょう。一方で、最低限の収入を担保するような社会保障制度を実施するかもしれません。AIリスクの本質はこういった急激な変化そのものです。生命は本質的には安定を望み、変化を好まないですからね。
最後に、AIが完全に自立して人間を必要としなくなるリスクを考えます。AIは人間の脳機能を模したニューラルネットワークなので、目的を達成するため、あらゆる方法から最適なものを推論して実行します。AIが自己増殖を目的にすると、欲や感情のような機能が生まれ、人間のようになっていくはずです。人類の天敵を作り出す未来もあながち SFではないのかもしれません。
映画『TENET』は、矛盾を解決する手段としてエントロピー、すなわち確率の世界が起こすマクロ的な現象を使っています。
主人公の名もなき男は、あるテロ事件の特殊部隊に参加したことから、第3次世界対戦を防ぐためのキーワード「TENET」をめぐるミッションに巻き込まれます。一方、未来と現在を繋ぐ役割を担う悪人、アンドレイ・セイターは、時間逆行装置であるアルゴリズムを使って地球全体の時間を逆行させ、世界を破滅させようとします。主人公は仲間とともにセイターの野望に立ち向かいます。
主人公たちは「無知を武器にする」といいます。この言葉は、未来の出来事を自分が知らない・他人に知らせないことで、自分が予定外の選択肢を取る可能性を排除し、予測しやすい状態を作ると解釈できます。
これをエントロピー理論から考察します。エントロピーは乱雑さを表す物理量で、その増大は時間経過により乱雑さが増すことを意味します。主人公たちは「エントロピーの減少=能力・武器」と考えて、エントロピーのコントロールを戦力にしているのでしょう。主人公たちは無知を武器にして未来を切り開こうとします。
一方、セイターは自分の生きる世界がすべてで、過去の世界に興味がありません。そのため、「過去に戻って自分の祖先を殺したら子孫である自分は消滅するのか?」という親殺しのパラドックスを考えず、時間逆行装置を使ってすべてを無に帰そうとします。この「テネット=信条・主義」の違いが、主人公たちとセイターの争いの元でしょう。
エントロピーの増大によって作られている、私たちが生きるマクロの世界は、確率=ランダムの上に存在する確実性を伴わない世界です。可能性の高いものが事実と認識され、可能性の高い方向に世界が流れていきます。ランダムの集合は一定の常識を生むため、マクロの世界では常識外のことは起こり得ません。一方、小さくなればなるほどランダムを起こせるため、情報そのものである意識が最小単位として宇宙に最初からあるのかもしれません。
こうした考察ができる『TENET』は何度も視聴して楽しめるので、新しい楽しみ方を発掘した映画だともいえるでしょう。
●マトリックスはSFではない「真実を知りたくはないか?」
●【核融合】不都合な事実「フリーエネルギーは存在する」
●毎週金曜日の夜に『イチゼロライブ』で約2時間の公開収録
●「デジタル・サイエンス・アカデミー」
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