千葉・松戸のUMA「マツドドン」はまだ生きている! 撮影で判明した水棲哺乳類のハイブリッド仮説/中沢健
1972年に話題になった千葉県松戸市の未確認動物「マツドドン」は果たして今もいるのか!? UMA研究家・中沢健の現地調査で衝撃の事実判明!
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「ファンシー絵みやげ」研究家の山下メロが、日本全国の湖を賑わせる、ネス湖のネッシー型のUMAを追いかける。
みなさんは平成のオカルトブームをおぼえていますでしょうか。令和の時代となり、ずっとそばにいた平成が、だんだんと懐かしいものになってまいりました。昭和にはネッシーやツチノコなどのUMA(未確認生物)をはじめ、大きなオカルトブームがありましたが、平成の始まりである1990年(平成2年)にも、人間の顔を持った鯉「人面魚」がブームに。そこから平成レトロの時代には、ミステリーサークルなど新しい現象も出現し、1999年7の月には、1970年代にブームとなった「ノストラダムスの大予言」のXデーがやってくるなど、オカルトは身近にありました。
ちょうどその時期と重なる、昭和の終わりごろから平成初期にかけて日本全国の観光地を席巻していたものがあります。それが「ファンシー絵みやげ」です。
「ファンシー絵みやげ」は1980年代から1990年代にかけて、日本中の観光地や温泉、スキー場などの土産店や観光施設の売店などで売られていた子ども向け雑貨みやげの総称です。
日本語の文章を手書きローマ字で書く、人物は二頭身にデフォルメして子どもっぽい漫画風に、動物は服を着た直立二足歩行などのように擬人化されるのが特徴で、そういったイラストをキーホルダー、定規、湯呑み、財布、ペン立てなど、実用性のある商品にプリントして観光地で売っていたのです。
バブルが崩壊した1990年代半ばからだんだんと姿を消し、現在では見つけることが困難となっており、私、山下メロはその保護活動を行っています。
平成バブル時代になっても、なぜか昭和にブームとなったUMAがイキイキと躍動している場所がありました。それは、そのUMAに関連する観光地の土産店です。全盛期を迎えていたファンシー絵みやげのキャラクターとして復活していたのです。その足跡をたどっていきましょう。今回は「和製ネッシー」本栖湖のモッシーです。
ネッシーとは、スコットランドにあるグレートブリテン島最大の淡水湖・ネス湖で発見された大型の未確認生物の通称。700年ごろの記録にも登場しており、昔から目撃され続けているUMAです。1900年代になって増加した目撃証言や写真、映像によると首長竜のような大型生物だったとされています。
日本では1970年代ごろにテレビや雑誌で紹介され、人気を博しました。そして、それまで同じように日本の湖で目撃されていた未確認生物が、「ネス湖のネッシー」と同じように、「池田湖のイッシー」「屈斜路湖のクッシー」など、「湖の1文字目+ッシー」という法則に従って名付けられるようになりました。
さらに、もともと目撃されていた湖以外にも目撃報告が出たり、捜索したりと波及していき、あまりの人気の過熱ぶりに話題づくりの捏造が疑わしいほどでした。その真偽はさておき、そのブームも沈静化した1980年代以降はだんだんと忘れられていきます。
しかし、その頃の観光地には「ファンシー絵みやげ」が増殖していました。忘れられ、池の底で静かに過ごしていた和製ネッシーたちも、観光地で売る商品のモチーフとして再度引っぱり出されたのです。
山梨県、富士山麓にある富士五湖は河口湖、山中湖、本栖湖、精進湖、西湖の5つです。河口湖と山中湖は観光地化が著しく、ファンシー絵みやげも数多くあり、それを売る土産店がボート乗り場周辺に林立しています。対して、精進湖と西湖は釣り客がメインといった自然がいっぱいの湖で、釣具店や釣り宿ばかりで観光地という雰囲気ではありません。
そして残る本栖湖には、土産店が少しだけあります。そこに売られている、ほぼ唯一のファンシー絵みやげ、それが1970年代に目撃談のある巨大な水棲未確認生物・モッシーです。
たとえば本栖湖の土産店で売られていたものに、こんなステッカーがあります。
首長竜というより、直立する怪獣のような雰囲気となっています。ポップな色使いと、英字の背景、二頭身のイラスト、胸に「M」と、まさにファンシー絵みやげの要素が含まれています。UMAなので、正解が分からずデフォルメなのかは判断が難しいところですが……。
さらに別の店ではこんなステッカー……いやモッシールが。
こちらは本家ネッシーのように首長竜っぽくなっています。数少ない2つの土産店の商品で、モッシーの形も、そしてスペルさえ違っています。それぞれに商品化した結果が異なるというのも、目撃談ごとに差異が生まれがちなUMAらしさともいえます。
そして、バブル時代に本栖湖がモッシーを売りにしていたことがよくわかりますね。モッシーステッカーを貼った車は、今もどこかで走っているのでしょうか。見かけたらご一報ください。
では、こちらのキーホルダーをご覧ください。
河口湖のカッシー、山中湖のヤッシー、本栖湖のモッシー、精進湖のシッシー、西湖のサッシー。なんと富士五湖すべてに「〇ッシー」が存在した……!? モッシー以外は聞いたことありません……やはりこの時代はいろいろどうかしていますね。
しかも恐竜家族!?!?
……続きます!
続いて、北海道の和製ネッシーを紹介します。まずは北海道西部にある洞爺湖から。こちらは周辺に洞爺湖温泉が形成されています。洞爺湖にはクッシーよりマイナーですがトッシーというUMAの目撃情報がありました。
こちらは洞爺駅のホームですが左下の立て看板の竜は、ひょっとして早速トッシーなのでしょうか。かつて洞爺湖温泉の名物・わかさいもに「週刊わかさいも」といったミニ冊子が入っていたようで、そこでもトッシーに関する言及があります。
こちらが「週刊わかさいも」。実際に売られていた雑誌ではなく、お菓子の箱についていた説明の冊子のようです。
黒い……というだけで形などには言及がなく、ここでは「?」の形で表されています。トッシーはどんな形をしているのでしょうか。
洞爺湖の名前が入ったこのようなファンシー絵みやげキーホルダーもあります。かわいくデフォルメされたヒグマのキャラクターが大きな魚を引きずっています。もしトッシーに怪魚説があるのなら、これもトッシーをモチーフにしているのかもしれません。
こちらは洞爺湖の近くで見かけたファンシー絵みやげ・ぬいぐるみです。上段にある紫色の怪獣のタグを見ると、なんとトッシーと書かれているのです。
口から火みたいなのを吐いてますし、完全にゴジラのように描かれています。湖なので首長竜タイプが多いはずですが、海から陸に上がってくるイメージのあるゴジラの影響か、ティラノサウルスのような描き方が多いです。
さて、では洞爺湖からだいぶ東にある屈斜路湖を見てみましょう。
屈斜路湖ではクッシーというネッシータイプのUMAが多数目撃されていて、クッシーがファンシー絵みやげのモチーフになっています。
ステッカーには「I LOVE くっしぃ」と、ひらがなづかいのかわいい手書き文字で書かれています。クッシー自体はまさに首長竜タイプで全身黄色ですね。上のキーホルダーも黄色いボディですが、こちらはティラノサウルスのようなスタイルで、赤い蝶ネクタイがオシャレです。その下のキーホルダーは湖の形のメタルキーホルダーですが、リアルタッチではなく漫画風のクッシーが描かれております。
そして、当時女児向け玩具として流行していたシルバニアファミリー風のフロッキー加工を施した人形がファンシー絵みやげには多くありました。
クッシーとはどこにも書かれていませんが、地名として「kussharoko 砂湯」とタグに表記されているため、クッシーを表していることは間違いないでしょう。こちらもまさにゴジラ的なフォルムを持ったキャラクターで、UMAですから確証のある写真などが見つかっていません。
このキャラクターのブレから、いかにUMAがUMAらしかったかということをうかがい知ることができるのです。
では、こちらをご覧ください。
屈斜路湖で雪壁の奥に、何やら気になる看板がありました。
近づいてみますと……
こういった交通安全ポスターに登場するほどクッシーが地域の人に愛されているということが分かりました。
しかし……これが今まで一番ゴジラっぽいですね……。
鹿児島県南部、指宿(いぶすき)。ここは有名な砂風呂をはじめ、そうめん、長崎鼻、開聞岳など色々な観光スポットがあります。そのひとつがイッシーの目撃が相次いだ池田湖です。
さて、池田湖の周辺には多数の土産店が存在しますが、そこにイッシーのファンシー絵みやげは存在するのでしょうか。ファンシー絵みやげモチーフになるキャラクターは、鹿児島県全体で「西郷隆盛」か「さつまおごじょ」が独占状態で、指宿も同様です。
しかし、指宿の中でも池田湖だけは違いました。ここにはイッシー伝説がありますので、キャラクターとしてイッシーを使えるのです。当然のように池田湖畔だけは、独自のファンシー絵みやげが存在していたのです。
池田湖で目撃されたイッシーは、おおよそ首長竜のようなイメージでとらえられています。しかし、これまで見てきたモッシーやトッシー、クッシーはいずれもゴジラ風の、いわゆるステレオタイプな怪獣の雰囲気で描かれた例がありました。今回はどうなのでしょうか。
さすがに湖畔に複数ある銅像などが示している通り、首長竜タイプになっていますね。右側のテレカでは子どもに限っては怪獣っぽい雰囲気になっています。「池田湖」の文字もギャートルズ風で、恐竜っぽさが出ています。そして「ISS+II」のように読める英語表記。おそらく「ISSHI」というローマ字表記なのでしょう。そして、左側はイッシーグッズにつけるタグなのですが「ITSHI~!」というスペルで書かれています。
ファンシー絵みやげといえば日本語をローマ字で書くのが特徴ですが、イッシーはローマ字にしづらいです。まず元が英語で、頭の「イ」は日本語です。それから、ローマ字では音引きの表記が統一されていません。
さきほどの「ITSHI~!」も、最後の音引きは「~」という日本語的表現です。促音「っ」を「T」で表現するのは英語的なのですが、ヘボン式ローマ字では「CH」の直前だけ「T」を使います。英語的ながら本家ネッシーの「NESSIE」ともかけ離れています。
では、ほかの商品はどうなのでしょうか。
こちらは「ITSSHIY」と、かなり複雑なスペルになっています。
「ISSHI」「ITSHI~!」「ISSIE」「ITSSHIY」と、ここまで表記がバラバラなのも珍しいです。他にもまだまだ別のスペルが見つかりそうな気がします。「同じ表記を用いられない」というのも、何か意味がありそうでミステリアスさを演出していますね。
イッシーにまつわるエピソードはそれだけではありません。それは池田湖畔にある土産店でイッシーの状差しを保護し、それを持って記念撮影などしていたときです。なにか視線を感じました。
振り返ると、なんとイッシーの大きなファンシー絵みやげ暖簾(のれん)があったのです。
そしてそこは酒店のようで、お酒の看板やのぼりに混じってイッシーの暖簾がまるで象徴のように掲げられています。
私が感じたのはイッシーの視線だったのでしょうか。
よく見ると、すぐその横で少し怖い感じの男性がムスッとした表情で見ています。どちらの視線なのかは分かりません。お店の方と思しきその男性は、渋い雰囲気の方で、ニラミをきかせており「ファンシーな観光地みやげ」の話などできる空気ではありません。
しかし酒店といえども、ファンシー絵みやげ暖簾がディスプレイされているのですから他にもファンシー絵みやげが売っている可能性が高い。怖い男性に怯えながらもその酒店に入りました。
メロ「表にかかってる暖簾みたいな商品ありますか?」
男性「ここはお酒のお土産だけなので、そういったものはないよ」
メロ「表にかかってる暖簾は買えませんか?」
男性「あれは売りもんじゃないよ」
メロ「ひぇぇぇ……すみません……そうですよね……お店の象徴ですよね……」
男性「欲しいならあげようか?」
メロ「えっ……お店の象徴じゃないんですか?」
男性「いや、こんなの飾ってたことさえ忘れてたよ。はい、取ろうか」
メロ「あ、慣れてるので自分で取りますよ!」
男性「いいよいいよー」
そういうと、男性はビールケースをふたつ重ねてひょいと乗り、暖簾を外してくれました。
流れるような展開で、暖簾をはずして手渡してくれました。ナイスガイです。しかし、やはりムスッとした表情は崩れていません。しかし、せっかく暖簾を外してくださったので、記念撮影をしたいと申し出るとご快諾いただけました。
近くを歩いていた方に頼んで撮影していただいたのですが……なんと……ピースサインをしてくださいました!!!
実は、見かけによらずとてもお茶目な方のようで、驚きました!!
こんな驚きの展開が起きるとは、これもイッシーのパワーでしょうか。
さらにこんな商品もありました。
商品には「旅の思い出」というシールのみ! 本体のどこにも「イッシー」とは書かれていないのに「イッシー」として販売!
……商魂たくましいですね。そして「イッシーのたまご」ということで、ファミコンのパズルゲーム「ヨッシーのたまご」を思い出しました。
では、最後に、こちらのキーホルダーをご覧ください。
どうも恐竜のようなキーホルダーですが、「池田湖」のタグがあり、体にうっすら「イッシーくん」という文字が書かれています。なるほど、まさにイッシーのアイテムですね。
しかしこれを裏返すと……
なんと「ぶろんとザウルス」……つまりコレ、恐竜ブロントザウルスのキーホルダーを流用したわけですね。
いや、消しましょうよ「ぶろんとザウルス」の文字。
裏側までチェックが行き届かなかったのでしょうか。
(2020年1月28日記事を再掲載)
山下メロ
平成レトロの提唱者。ファンシー絵みやげなどバブル時代周辺の懐かし文化を紹介する。著書に「平成レトロの世界 山下メロ・コレクション」(東京キララ社)など。
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