量子力学と仏教思想の間「私たちが見ている世界は現実か」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    私たちが見ている世界は現実か

    波場 直之 著

    量子力学と仏教思想の間には、アナロジーがある

    「量子力学」がブームである。一般的な常識とはまったく異なる、何やらオカルトめいた世界観を提示してくれるということで、いわゆるスピリチュアル方面の人にも人気が高い。本欄でもこれまで、量子力学を題材とする書物は数多く紹介してきた。
     だが本書の著者によれば、それらの中には単に「量子力学の用語を流用した人生訓」のような、あからさまに「わかってないなと思」われるようなものも散見されるらしい。

     物理学者の常として、「嘘を書くのがものすごく嫌」と吐露する著者の波場直之氏は、大阪公立大学大学院教授を務める理論物理学者で、専門は素粒子論、素粒子論的宇宙論。

     本書は、そんな生粋の物理学者でありながら、もともと仏教にも興味があったという著者が、ノーベル物理学賞を受賞した「局所実在性の破れ」という難解な理論を、「誰にでもわかるよう」に「言語化」しようとする試みである。本書を読めば、「波動関数」や「重ね合わせ」「量子もつれ」といった、一般人にはちんぷんかんぷんの理論が、なぜか手に取るように理解できてしまう。そしてその結果、量子力学の提示する世界観と仏教思想の間に、何らかの「アナロジー」のようなものが存在していることがわかるのだ。
     記述を平易にするために、数式や物理用語の出てくる話は「コラム」となっている。飛ばして読んでもかまわないらしいので、数学が苦手な人も安心。巻末の読書案内も必見。

    化学同人/1980円(税込)

    (月刊ムー 2026年10月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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