意識は脳が作り出すものではなく“宇宙の根源要素”だ! 汎心論を科学的に定式化する「統合情報理論(IIT)」の衝撃
ある著名な神経科学者によれば、意識がすべての根源であると考えることでこの世界、この宇宙の成り立ちを整然と理解できるという!
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思い出すことと、予感がすることは似ているのかもしれない。ある超心理学者によれは、この二つはまったく同じことであるという。つまり、人間の意識は時間軸を前後に行き来しているというのだ。
われわれは成長と学習の初期段階で、昨日(過去)・今日(現在)・明日(未来)を区別することを学び、時間が一歩通行で流れていることを理解する。
物理学ではこの概念を「時間の矢(Arrow of Time)」と呼び、時間は常に未来へと一方向にしか流れないという不可逆性の性質をもつとされている。しかし長い人生の中では、予感や夢が現実化したり、電話をかけてくる人物が事前にわかったりすることなど、この時間の流れに逆らうような瞬間があるかもしれない。
超心理学者のディーン・ラディン氏は、われわれの意識が直線的な時間認識を超えて作用する可能性を示唆する。同氏は米カリフォルニア州ノバトに拠点を置く非営利団体、ノエティック科学研究所(IONS)の主任科学者で、何十年にもわたり意識を探求しており、『Entangled Minds』 、『Supernormal』、『Real Magic』など、このテーマに関する著書を多数執筆してきた。
もともと心理学者や神経科学者たちは、超感覚的知覚(Extra-Sensory Perception:ESP)の一種とされる予知能力の背後にあるメカニズムを解明しようと試みてきた。未来に何かが起こるというこの揺るぎない感覚は、シャーマンや神秘主義者の間では古くから信じられてきたが、科学的には未だに解明されていない。

1990年代中頃、ネバダ大学に在籍していたラディン氏は、それを証明するための実験を行った。彼の仮説は「意識が時間を超越するならば、これから起こる刺激に対する反応は、刺激そのものの前に現れるはずだ」という確信に基づいていた。
被験者はそれぞれ電気的皮膚活性度(EDA)を測る装置を装着し、モニター画面にランダムに表示される画像を見せられた。画像には日の出の景色のような心の平静が得られるものもあれば、交通事故現場のようなショッキングなものもあった。ショッキングな画像を見た参加者はEDAに顕著な変化が見られるはずである。
この課題を繰り返して得られたデータを分析すると、なんとショッキングな画像が表示される“直前”にEDAに顕著な変化が見られるケースがあった。つまり、ショッキングな画像が表示される前に予知していたことになる。そしてこの現象は、景色のような穏やかな画像では起きなかったのだ。
それ以来、この種の予知能力に関する研究は40回以上も再現に成功している。そして1995年にはCIAが統計学者を雇って研究内容を検証してもらい、統計的に信頼できると宣言した後、これまでの予知能力研究を機密解除した経緯もある。
懐疑論者は、予知能力や超心理学の説明として、人の信念や期待によって少なくとも部分的にその予想が現実になる現象である「自己実現的予言(self-fulfilling prophecy)」を挙げている。
たとえば、資格取得の勉強をしている場合、今から3年後の資格を取得した未来の自分が、現在の自分を叱咤激励しているのだとも言えなくもない。そして真面目に勉強を続けて3年後に資格を取得できた時、自己実現的予言は成就したことになるが、これを予知能力とは呼ばない。
しかしラディン氏によれば、予知能力は量子もつれの一種として説明できる可能性があるという。もつれた粒子は遠く離れていても同じ情報を共有し、同じように振る舞う。アインシュタインが「不気味な遠隔作用」と呼んだこの現象こそ、まだ起こっていない出来事が頭に浮かぶ理由かもしれないというのだ。
「予知能力とは、脳が未来において自己ともつれ合っている状態だと仮説を立てる人もいます。なぜなら、もつれ合いとは空間的に隔てられたものだけでなく、時間的に隔てられたものも含まれるからです」(ラディン氏)
この説によれば、予知能力は時空を超えた量子現象ということになる。
「もしも脳が未来において自己ともつれ合っているとしたら、現在において、未来に起こるであろう記憶のようなものを感じていることになるでしょう」(ラディン氏)

時空を超えた異なるバージョンの自分が現実世界に影響を与えることを示唆するもう一つの理論は、「逆因果律(retrocausality)」と呼ばれる。
それは、「未来の出来事が過去の事象に影響を及ぼす」ことで、原因よりも先に結果が生じる――つまり、時間が一方通行の線路(過去→現在→未来)のように機能するものではない可能性を示すものである。
この逆因果律の考え方では、そもそも時制は連続体として存在せず、過去・現在・未来がブロックの異なる断片として同時に存在する。この観点からすると、現在、そして未来さえも、微妙な形で過去に影響を与える可能性があるのだ。
そして科学者の中には、人間の意識さえ逆因果律に従う可能性があると考える者もいる。「逆因果意識(retrocausal consciousness)」と呼ばれるこの説によれば、今のあなたの思考・感情・決断が、過去の出来事に影響を与える可能性があるというのだ。
それは物理的に過去の出来事を変えるのではなく、まるで波紋が時間を遡るように、出来事を微妙に変化させるという。たとえば、何年も前に大きなチャンスを逃したことを後悔しているならば、現在の感情は、過去の自分がより勇敢になったり、ためらいを減らしたりするようにと、微妙に働きかけられるかもしれないのだ。

現在の自分が過去の自分を変えることができるとは実にSF的な話だが、今のところ逆因果意識は経験的な裏付けのない純粋に理論的なアイデアの域を出ない。
とはいえ、意識に関する研究の中には、興味深い可能性を示唆するものもある。たとえば、脳それ自体を量子コンピュータにたとえ、過去と未来の情報を用いて現在の意思決定を行うとする理論。また、宇宙とは“物”で構成されているのではなく、時間軸を超越した“出来事のつながり”によって形作られ、現在の思考や感情とはそれと絡み合った糸であり、過去と未来に引っ張られている、という説。さらに、脳には微小な亜原子レベルで未来と過去をつなぐ「タイムループ」のような仕組みがあるとの見方もある。
このように諸説あるのだが、はたして未来の自分がそれとなく静かに現在の自分の現実を形作っているのだろうか。そして現在の自分は、過去の自分を変え得るのか。次に何らかの“予感”を感じた時、その予感の出所を深く考えてみるのも一興かもしれない。
【参考】
https://www.popularmechanics.com/science/a71743848/consciousness-time-travel/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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