人間の意識は脳内の量子もつれが生み出している!? 人体に秘められた「量子通信リソース」に最新研究が迫る!
依然として謎に包まれている人間の意識の源泉。それは量子論の世界に属する現象かもしれないという――。
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われわれの脳の奥にある松果体は、科学的見地からも文字通り「第3の目」に該当するという最新の研究結果が発表された。その起源を辿ることで、まさしく見えてくるものがあるはずだ――。
トカゲ類や魚類・両生類などには「第3の目」をもつ種がいる。それは、頭蓋の頂点にある「頭頂眼」と呼ばれる光受容器官である。
ニュージーランドの限られた地域に生息する、原始的な形質を残した爬虫類「ムカシトカゲ」にも頭頂眼があり、特に幼体ではビジュアル的にも明確に確認できる。頭頂眼に視力はないものの、本来の眼とよく似た構造で、実際に神経が脳と繋がっている。イタリアの研究チームは2009年、カナヘビの“第3の目”である頭頂眼の光感性細胞群は、太陽の位置を測る羅針盤として使われていることを実証した。
爬虫類のような脊椎動物がこれほど高度な“第3の目”を持っているのは意外に思えるかもしれない。しかし実は、人間にも“第3の目”があるという。それはずばり、松果体だ。
松果体は脳の奥深くに埋もれ、直射日光からは完全に遮断されているが、体内時計を調節するホルモン「メラトニン」を分泌する。英サセックス大学とスウェーデン・ルンド大学の研究チームが今年2月に学術誌「Current Biology」で発表した論文は、この松果体の成り立ちを説明し、視覚の進化に関する謎を明らかにしようと試みるものだ。
そもそも、生物の目とはどのような構造をしているのか。例えば昆虫や節足動物をよく観察すると、その目が驚くほど一貫した構造をしていることがわかる。
彼らの左右の側眼にある光受容細胞は、「桿体光受容体」と呼ばれる太古の昔から受け継がれた細胞群に属している。一方、「毛様体光受容体」と呼ばれる別の細胞群は脳内に存在し、一般的には日照時間の追跡や光量の感知といった視覚以外の役割を担っている。
しかし、ヒトを含む脊椎動物(魚類、爬虫類、鳥類、哺乳類)はかなり違う構造をもつ。われわれの目は、入力端に毛様体光受容体があり、出力端に感桿光受容体に由来するニューロンが配線されているのだ。なぜ昆虫や節足動物と脊椎動物の目の構造はここまで違うのか、納得のいく説明はこれまでなかった。
そこで研究チームは、約5億7500万年前まで遡るわれわれの祖先に着目。ヒトを含むすべての脊椎動物の共通祖先は、約5億年以上前のカンブリア紀に生息していた「ナメクジウオ」に似た原始的な脊索動物である。浅瀬の海底を這いずり回る小さな生き物とはいえ、移動時のために左右の目(側眼)をもち、頭頂部には光を検知して方向感覚を保つための単純な頭頂眼があったと考えられている。
研究チームによると、その後、この祖先の生態に変化が起きた。脊椎動物へと進化する過程で、砂の中に頭を埋めるようになったというのだ。それはなぜか? 海底の堆積物の中に潜り込み、漂って降下してくる栄養素を摂食するためだ。いわば、“穴籠り生活”を始めたのである。
こうして彼らはほどんど移動しなくなり、もはや方向感覚を頼りにする必要がなくなった。ほとんど役に立たなくなった側眼は機能維持にエネルギーを大量に消費することから、その後の進化の過程で消失したと考えられるという。
残ったのは頭頂眼のみだが、これは依然として上下の位置の把握と光量を感知することによる昼夜の区別に役立った。この時点で我々の祖先は“一つ目”の動物になったのだ。
研究チームはこの時期の“穴籠り生活”こそが、脊椎動物がほかの動物と異なる理由だと考えている。ほかの動物の系統はすべて側眼を保持していたが、われわれはいったん側眼を失っていたというのだ。
これらの祖先の中には、やがて穴から出て、自由に泳ぎ回るために外洋に戻るグループも現れた。ナビゲーション能力が再び必要となるが、新しい目を作るために利用できる唯一の材料は、頭頂眼にある光受容器官であり、それは繊毛細胞と桿体細胞の両方のタイプを含む混合システムであった。
こうして再び側眼を発達させていき、最終的に頭部の側面の両側に目を持ち、適切な視覚を獲得して周囲を検知するナビゲーション能力をもつようになったというのだ。
しかし、元の眼は消滅したわけではない。松果体として存続し、トカゲからライオン、そして人間に至るまで、ほぼすべての脊椎動物に今も存在している。

前出のムカシトカゲなどの一部の爬虫類では、原型を留めた頭頂眼として残され、魚類ではより単純な器官となり光を直接感知している。哺乳類では頭頂眼としての能力は失われ、代わりに眼からの中継を介して光量を把握し、体内時計の一助の役割を果たしている。
もちろんこの説が正しいかどうかはまだ結論が出ていない。5億年にも及ぶ進化の歴史を解明するのは容易なことではないが、それでも研究チームは近いうちに答えが得られると確信しているという。
ともあれ一つの単純な事実は変わらない。われわれの脳の奥深くには、松果体という、かつて空を見上げていた細胞の集まりが眠っているのだ。この松果体は体内時計を補うだけの存在なのか、それとも秘めた能力を発揮すべく“開眼”できるのか、これもまた興味深い研究テーマとなりそうだ。
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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