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菅野美幸 埼玉県大宮市
ある日の午前中、ネットサーフィンをしていると、星座占いのサイトにたどりつきました。
特に占いに興味があるわけではないので、普段なら飛ばしてしまうところです。しかし、その日に限ってその占いサイトが気になり、読みすすめていきました。
その日、一番運勢がいいのは牡牛座。3月4日生まれの私の星座である魚座は一番運勢が悪いとあります。
かいつまむと、「人間関係に波風が立ちやすい」「忘れものや落としものに気をつけて」「足元に注意」「思わぬ出費の可能性あり」といった具合です。つまり書いてある内容は散々です。
その日は午後1時に彼とデートの約束をしています。久しぶりに会えるのが嬉しくて、時間が近づくにつれ占いのことなどすっかり忘れてしまいました。
家を出て最寄駅に着き、ホームへと続くエスカレーターに乗ろうとしたところ、点検作業中ということで、仕方なく階段を上りました。
電車に乗ると、席がひとつ空いています。座ろうと歩きはじめたところ、50代くらいの女性が私を押しのけるようにやってきて、その席に座ってしまいました。
立ってボーッと窓から景色を見ていたところ、降車する駅に気づかず、通りすぎてしまいました。
ついていないことが続きましたが、どれもささいな出来事です。本格的に運に見はなされるのはここからでした。
電車を乗りかえて目的の駅に到着。階段を駆けおりる途中、足を踏みはずし、下まで転げおちてしまいました。痛さもあり、恥ずかしさもあり、もう泣きたい気分です。
地面に打ちつけたようで、膝から血が出ています。腕も痛みます。
しかし、とにかく待ちあわせ場所に急いで向かわなければなりません。
痛む足を引きずりながらなんとか遅刻することなく待ちあわせ場所に到着しました。
彼はまだ来ていません。15分経過しても姿を現しません。
彼のスマホに電話をしてみましたが留守電に切りかわるばかり。痛みも手伝い、30分が経過するころには怒りが沸いてきました。
いいかげんその場をあとにし、通りすがりの喫茶店に入りました。座りたい一心で。
その後も痛みは一向に引かず、帰りはタクシーに乗りました。
自宅に到着し、支払いをしようとしますが財布がありません。タクシーにはその場で待ってもらい、家に現金を取りにいきました。
のちに喫茶店に問いあわせましたが、財布は届いていませんでした。
しばらくして落ちつきを取りもどしたころ、彼に電話してみました。
「うたた寝していたら寝すごしちゃったよ」
せめて謝りのひと言があれば許しもしますが、彼はただヘラヘラと笑うばかり。あきれて電話を切りました。
夜になり、ふと午前中の占いのことを思いだしました。
驚くほど当たっています。何から何までです。
占いのアドバイスに耳を傾けていたら、ここまで最悪な一日にはならなかったのでしょうか。
しかし、救急車で運ばれるほどの大ケガをしたわけでもなく、交通事故に遭ったわけでもありません。考えてみれば、最悪な一日といってもこの程度ですんでよかったと思うことにしました。

(本投稿は月刊『ムー』2026年05月号より転載したものです)
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webムー編集部
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