人を祀るメカニズムを探る「なぜ、人が神となるのか」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

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    なぜ、人が神となるのか

    古川順弘 著

    人を神に祀る風習のメカニズムを探る

     八百万の神々が言こと祝ぐ国・日本。
    この国にはその津々浦々に至るまで、実にさまざまな神がいるが、日本の神としてだれもが先ず思いつくのは、天つ神や国つ神という、いわゆる「神話系」の神々であろう。
     一方、この国にはそうした神々とは別に、実在した人間を死後に神として祀るという事例もまた多い。いわゆる「人神」である。たとえば明治神宮に祀られる明治天皇や、日光東照宮の徳川家康らがそれに当たる。幕末以来の戦没者を祀る靖國神社もその一例だ。さらにはあの天満宮は当然として、八幡神社までもがそれに含まれるという。
     こうした人神信仰の根底には、いわゆる怨霊信仰、すなわち怨霊慰撫の考え方があるとされてきた。だが、怨霊一本槍で片づけてしまうには、人神信仰はあまりにも広く、深い。

     本書は「人神信仰の歴史をたどり、人を神に祀る風習のメカニズムを探ることで、日本人のカミ観念の特質と宗教史の伏流を明らかにし、ひいては日本人の死後に対する観念の変遷をあぶり出」そうとする、何とも魅惑的な試み。
     著者の古川順弘氏は、宗教、歴史分野を中心として活動する文筆家。その著書は本欄でも幾度となくご紹介させていただいているが、特にこのところの出版ペースの速さは常人のそれではない。しかも取材のために全国を飛び回っておられるようで、その精力的な活躍ぶりには心底頭が下がるとともに、また羨ましくもある。

    山川出版社/2090円(税込)

    (月刊ムー 2026年05月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

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