超古代文明の巨石モニュメント!「ストーンヘンジ」の歩き方/ムー的地球の歩き方
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およそ5000年の時を経て、広大な平原に巨大な影を落とすストーンヘンジ。 深い謎を抱えたままの巨石建造物が、夏至の太陽の前に太古の叡智を垣間見せる――。 聖なる大地のエネルギーに満ちたイギリス南部の遺跡を訪ねる。
世界有数の巨石建造物ストーンヘンジ。ロンドンの南西約120キロ、ソールズベリー平原に建つ、このあまりにも有名な遺跡は、いまだ解明されない多くの謎を秘めている。
列石の配置から、何らかの天文観測施設だったという説が有力視されていること、そして遺跡の中心点と参道とを結ぶラインが夏至の日の出の方向と一致することは、一般にもよく知られている。筆者は過去に2度ストーンヘンジを訪れているが、今回はこの夏至の日の出を撮影するために足を運んだ。
取材時は2005年。その6月20日、夏至の前日から現地入りしようとストーンヘンジへ向かう途中、交通整理をするたくさんの警察官に出くわした。彼らによると、日の出を見るために2万人もの人がここを目指してくるという。
遺跡への入場は午後10時、余裕をもってきたつもりだったが、すでに駐車場待ちの長蛇の列ができている。待つこと8時間、ようやく駐車場代わりの麦畑にたどり着いた。ストーンヘンジの周辺では、すでにあちこちで音楽やダンスが始まっていた。巨石が発するエネルギーのせいなのか、人々は疲れを知らずに夜通し踊りつづけている。

午前4時ごろ、東の空が明るくなってくると、日の出を見ようとする人でストーンヘンジ周辺は身動きができないほどになってしまった。やがて太陽が昇りだすといっせいにどよめきが起こり、太陽に向かって拍手が始まった。あまりの混雑ぶりに、遺跡の中心に入ることをあきらめた筆者は、思いきってサークルから離れることにした。
三脚とカメラをかついで200メートルほど全力で走る。後ろを振り返ると、ちょうどストーンヘンジから太陽が昇りはじめたところだ。夏至の曙光が巨石群を幻想的に浮かびあがらせていく。シャッターチャンスは5分間。縦、横といろいろに角度を変えながら、とにかく夢中でシャッターを切った。

次第に太陽が昇り、日の出のやわらかな光が薄れるにつれて、歓声を上げていた人々も徐々に帰りはじめた。さっきまで騒然としていたのが信じられないほど、落ち着いた光景である。まるで夏至の太陽が一瞬だけ見せた魔法のような、不思議な時間であった。
長径109メートル、短径98メートルの溝と土手に囲まれた広場に、平均重量約25トンの巨石柱が四重の円をなして立ち並ぶストーンヘンジ。冒頭でも触れたように、さまざまな面で未解明の深い謎に覆われた遺跡だ。
制作年代については諸説あるものの、紀元前2800年ごろから約1300年もの歳月をかけ、3期に分けて建造されたと考えられている。
その一番の謎は、つくられた目的であろう。筆者が訪れた夏至だけでなく、石や穴の組み合わせによって、冬至、春分・秋分の日の日の出、日の入りの方向がわかるほか、日食や月食の時期さえも予測できることから、ストーンヘンジは極めて精巧な天文観測の施設だったという説が主流になっている。

だが、およそ5000年も前に、これほど巨大で正確な天文カレンダーが必要とされた理由は何なのだろう。
それに、ストーンヘンジに使われている石にも不思議な点がある。遺跡のあるソールズベリー平原はその名のとおり平坦な土地で、周囲に巨石を切りだせるような岩山などは見あたらない。
ストーンヘンジは主に、サーセン石とブルーストーンという2種類の石でできている。サーセン石のもっとも近い産地はソールズベリーから約30キロ離れたところにあり、ブルーストーンにいたっては220キロも離れたウェールズでしか採れない石である。全部で約3000トンにもなるこれらの石材を、古代人たちはいったいどんな方法で運んだのか。
そもそも制作者についてさえ明確にわかっていないストーンヘンジを語るとき、決まって引き合いに出されるのがイギリスの先住民族ケルト人だ。彼らの信仰するドルイド教の儀式に利用されたことから、ここはケルト人が築いた祭祀場だったという説もあった。


だが、彼らが大陸からイギリスに渡ったのは紀元前7世紀ごろであり、ストーンヘンジの建造開始年代からは時代がかけ離れている。現在では、ストーンヘンジをつくったのは新石器時代から青銅器時代の古代ブリテン人だと見られているが、それすら決定的な答えにはなっていない。
イギリス南部には太古の時代から不思議な遺跡が数多く残されてきた。それらが存在する場所には決まって、精霊や妖精、あるいは魔法や呪術といった超自然的なことにまつわる話が伝わっている。遺跡は古代人にとって、ある種の精神的な拠り所だったのだろう。

そうした遺跡の配置に意味を見出したひとりの人物がいる。英国南部の町ヘレフォードに住んでいたアルフレッド・ワトキンスだ。ある日、地元の丘を散策していた彼は、古代遺跡や古い石碑、教会といったものが一直線に並んでいるのでないかと唐突に思い至った。
その考えは、地図上で見事に証明された。古代の遺跡やストーンサークル、塚などを線で結んでいくと、まるで定規で引いたかのように一直線上に並んでいたのだ。ワトキンスは研究に没頭し、その研究結果を本に著して世に送りだした。のちに「レイライン」と名づけられたこの直線が、その後の考古学研究に無視できない大きな影響を与えることになったのである。
レイラインについての詳細は省くが、よくいわれるのが、レイラインの下には弱い地場のようなものがあって、古代人はそうした「大地のエネルギー」を感じ、またそのパワーを増幅・制御する能力をもっていたのではないかということだ。

大地に直接関わる遺跡として思い浮かぶのが、巨大な地上絵である。地上絵はイギリス南部にいくつも点在し、この地域特有の石灰岩地層を利用して描かれている。なかでももっとも有名で、現存する最古の地上絵とされるのが「アフィントンの白馬」だ。
紀元前1000年ごろに製作されたというこの絵には、アルフレッド大王の戦勝記念説や、馬の女神を崇拝するケルト人による豊穣祈願説など、数多くのいい伝えが残されているが、アフィントンの白馬周辺には強力なエネルギーが流れているといわれており、レイラインの関係から見ると、そのパワーを得るための場だったという説が一番興味深い。



印象的な地上絵としては「サーンの巨人」があげられる。1~2世紀ごろに描かれたとされるが、面白いのはそのモチーフだ。高さ55メートル、手に棍棒を持ち、裸の姿に男性のシンボルが堂々と描かれている。豊穣信仰に関係すると見られているが、その姿ゆえか、ここで男女が交わると子宝に恵まれるという迷信もあるようだ。


これらの地上絵は、先史時代の人々が道しるべとしてつくりはじめ、それがのちのケルトの文化と融合して発展していったと考えられている。青々とした畑に不釣り合いなほど、くっきりと白く描かれた地上絵を間近に見たとき、馬や巨人といったモチーフには、単なる目印以上の、土地のパワーを引きだす何らかの仕掛けの意味合いが込められているのかもしれない、という考えがふと頭をよぎった。
数多くのレイラインが交差するイギリス南部のエイヴベリーには、世界最大級の先史時代のストーンサークルがある。面積は10万平方メートル以上で、ストーンヘンジを遙かにしのぐ規模の遺跡だ。
今は30個程度を残すのみだが、かつては外周に最大で100トンもの巨石が100個ほど配置されていたといい、ストーンヘンジと同時代に建造されたと考えられている。割れた焼き物の破片や木の実、人骨などが発見されていることから、何らかの宗教儀式の場として利用されていたことは間違いなさそうだが、はっきりとしたことはわかっていない。

エイヴベリーの遺跡の近くには、シルベリーヒルやウィンドミル・ヒルといった重要な遺跡が集中しており、不思議なことに、さまざまな方角に点在する周囲の遺跡が、シルベリーヒルを中心にして直線で結ばれるのだ。詳しいことはわからないが、これもまた重要なレイラインのひとつなのだろうか。
ところで、エイヴベリーの遺跡全体は、今からおよそ1万年前から存在する古代の道「リッジウェイ」のかたわらに位置する。
この道は、かつては東の北海から西のブリストル海峡まで続き、またドーセットとノーフォークの採石場を結ぶ重要な交易ルートだったが、ローマ時代以降に分断されたり、農場の下敷きになったりして、現在はほんの数十キロをつなぐだけの、のどかなハイキングコースとなってしまった。

興味深いのは、このリッジウェイに沿うように、アフィントンの白馬をはじめ、いくつかの地上絵や遺跡が点在していることだ。今は失われ、忘れ去られてしまった部分の道が存在していた往時には、もしかしたら重要なレイラインを構成していたのかもしれない。
地中から突きだしたように立ち並ぶ巨石建造物と、白く浮き上がる謎の巨大な地上絵。いつかわれわれは、大地に深く関係するこれらの遺跡から、ケルト人や、さらに先史時代の古代人たちが母なる大地と交わしていた、聖なるパワーの秘密を導きだすことができるのだろうか。
(月刊ムー 2005年10月号 初出)
辻丸純一
1948年 長崎生まれ。写真家。1973よりフリーとして活動を始め、雑誌、広告を手掛け、個展も富士フイルムギャラリ「ピーターラビツト世界」、写真集にパプアニューギニアの先住民祭り「シンシン」第三書館、写真紀行として「スコットランド紀行」千早書房、マヤ遺跡「マヤ・グアテマラ・ベリース・メキシコ」雷鳥社など多数。
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