霊能者監修の“侵食型展覧会”「視てはいけない絵画展」が開幕! フィクションのはずが現実に怪異発生中……?

文=杉浦みな子

関連キーワード:
地域:

    東京・銀座で、霊能者が監修した展覧会「視てはいけない絵画展」が開催中だ。“フィクション前提”を掲げつつ、あえて物語と現実の境界線を曖昧にする、侵食型の体験展示会である。

    「視える人には見える展」の制作陣が再集結!

    「視てはいけない絵画展」——タイトルを見ただけで、胸の奥にざわりと波紋が走るようなこのイベントの発端は、一人の絵画収集家にある。 

    視てはいけない絵画収集家・小野武久氏のコレクションが公開されている。

     彼が生涯をかけて世界中から集め、密かに保管してきた、“視てはいけない絵画=禁視絵”たち。本人の死後、それらが遺言により、突如として一般公開されたのだ。

     場所は、東京・銀座の「GinzaNovo」(東急プラザ銀座)6F特設会場。そこに並ぶ25点の“禁視絵”は、いずれも明らかに異様な空気を湛えている。凝視すればするほど、キャンバスに描かれた物語の断片が、いつの間にか脳裏へ侵入してくるような感覚をもたらす。 

     ……しかし安心して欲しい。これらのストーリーは全て“フィクション”。そう、本展はいわゆるモキュメンタリー型の体験展示イベントなのだ。 

     会場では展示された“禁視絵”を軸に、緻密に練られたストーリーが展開されていて、来場者はまるでミステリー小説の中に入って謎を解くような体験ができる。ぜひ会場で、絵と絵の間に張り巡らされた伏線を楽しんで欲しい。

     本展を手がけるのは、今春〜今夏にかけて開催されたホラー写真展「視える人には見える展」で話題を攫った制作陣と、映画レーベルのNOTHING NEW。両者のコラボにより、クオリティの高い没入型展示として実現した。

     ……というのが、一般的に本イベントを紹介する場合の文章となるわけだが……実際に会場を巡ってみると、正直、一筋縄にいかない。 

     というのも本展、展示内容はフィクションのはずが、ところどころ変なのである。「あれ……?」と思わせるポイントが多々あり、“単なるモキュメンタリー”で終われないのだ。

    フィクションの中に“マジ”の仕掛けが隠れている

     本展が普通のフィクションで終わっていない理由として、展示に2人の霊能者が関わっていることは無視できないだろう。そう、以前に開催された「視える人には見える展」で監修を務めたシークエンスはやとも氏とMiyoshi(みよし)氏が、今回も“禁視絵”の監修を担当しているのである。 

    “禁視絵”の監修者のひとり、霊視芸人・シークエンスはやとも氏。
    イベント会場に入ると、はじめに2人の霊能者による挨拶文が。

     会場に展示されている全ての“禁視絵”には、シークエンスはやとも氏とMiyoshi氏の解説文が添えられている。内容は、一つ一つの絵に描かれたモチーフや状況、素材、空気感について、霊視とオカルトの視点から語ったもの。

     つまり、“禁視絵”が本物だった場合に起こり得る霊障の可能性を、本物の霊能者が説明するという、“解説自体はガチ”な展示になっているのだ。 

    シークエンスはやとも氏とMiyoshi氏による“禁視絵”監修コメントの一部。

     展示されている“禁視絵”について、シークエンスはやとも氏は「見れば見るほど呪いを感じざるを得ない」と語り、Miyoshi氏は「ビックリするような物語性」と評する。 

     そして……そんな2人のコメントを裏付けるかのように、実は“禁視絵”の中には、リアルに呪物となり得る方法で制作されたものが混じっているという。会場を回りながら、「あれ……?」とピンと来た絵があったら、よく観察してみると良いだろう。 

     なお、筆者が本展会場を訪れたのはイベント初日の11月28日だったのだが、そのとき会場にいたシークエンスはやとも氏に聞いたところ、「実際に“とある絵”の前で体調を崩してしまった来場者が、現時点ですでに2人いる」とのことだった。 

     もちろん、この催しは大前提としてフィクションであり、公式もそう告知している。ただ……それと同時に「絵画を視た後、あなたの身に何が起きても、私たちは一切の責任を負いかねます」とはっきり注意喚起されているのもまた事実なのである。

    自分のスマホとイヤホンで、音声ガイドが無料で聴ける

     なお、展示をより楽しむために、ひとつ耳より情報が。自分のスマートフォンと、それに接続できるイヤホン/ヘッドホンをぜひ持参していただきたい。

     というのも、イベント会場で配られるチラシに音声ガイド用のQRコードが書かれており、それを自分のスマートフォンで読み込むことで、スマホを音声再生装置にして無料で音声ガイドを聴くことができるのだ。 

     しかも、音声ガイドの声を担当しているのは声優・下野紘さん。一般的に展覧会の音声ガイドは有料貸出が多いためかなり画期的な試みであるし、さらにプロ声優による贅沢な音声案内とあっては見逃せない。 

     そんなわけで、フィクションがいつの間にか現実に侵食してくるようなイベント「視てはいけない絵画展」。ぜひ、タイトルにもある“視てはいけない”理由を、あなたの目で直接確かめてほしい。 

    グッズ売り場では、「視てはいけない封筒」(1,330円・税込)が販売中。この中には、展示の最終的な“答え合わせ”に繋がる情報が入っている。 

    <開催概要> 
    タイトル:「視てはいけない絵画展」
    開催期間:2025年11月28日(金)~12月28日(日) 11:10〜20:30(最終入場19:30) 
    開催会場:GinzaNovo(東急プラザ銀座)6F特設会場(〒104-0061 東京都中央区銀座5-2-1) 
    入場料金:平日¥2,000(税込)  / 土日祝¥2,300(税込)  
    公式WEBサイト: https://d.pass-store.jp/pages/mitehaikenai 
    公式X: https://x.com/miteha_ikenai_ 
    公式Instagram:https://www.instagram.com/miteha_ikenai_/ 
    公式TikTok:https://www.tiktok.com/@miteha_ikenai_ 
    ハッシュタグ: #視てはいけない絵画展 
    主催 「視てはいけない絵画展」製作委員会

    杉浦みな子

    オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。
    音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀…と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハー。
    https://sugiuraminako.edire.co/

    関連記事

    おすすめ記事