退廃の町ソドムは隕石の空中爆発によって滅亡した!「旧約聖書」の史実カタストロフィー/宇佐和通
これまでフィクションとされてきた『聖書』に登場する背徳の都市、 ソドム。だが、神から下された怒りの鉄槌は、まぎれもない歴史的事実だった! 考古学によって明らかとなった、古代の要塞都市消滅の実態とは──
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淫欲と悪徳により神の怒りを受けたソドムとゴモラ。『旧約聖書』の「創世記」に記されたこの恐るべき滅亡の物語は、実際に起こった出来事だったと考えられている。
二千数百年の長きにわたって読み継がれ、人類の歴史に計り知れないほどの影響を与えつづけてきた『旧約聖書』が、ユダヤ教とキリスト教の聖典であることは周知のとおりだろう。『旧約聖書』はしかし、たんなる宗教の書ではない。ユダヤ民族の過去と現在と未来を壮大なドラマとして描いた歴史書であり、預言書でもあるのだ。
ユダヤ民族の歴史は、唯一絶対神で万物の創造神でもあるヤハウェがアダムとエバを創造したときにはじまる。このアダムから10世代後に、〝ノアの洪水〟で有名なノアが登場して新人類の祖先となる。そしてノアの10世代後に、ユダヤ民族の直接の父祖とされるアブラハムが現れる。
メソポタミア地方のウルで出生したアブラハムは、ヤハウェの召命を受けてヤハウェと最初の契約(約束)を結び、甥のロトらとともに神が約束した地カナン(現在のパレスチナ)へと旅立った──。
こうした『旧約聖書』の記述は、長い間、「神話や伝説にすぎない」あるいは「空想の所産にすぎない」といわれてきた。だが、近年の聖書考古学の進展により、まぎれもない歴史上の事実であったことが明らかにされつつある。
「創世記」に記される「ソドムとゴモラ」の伝承もしかり。ソドムとゴモラは実在した町だった。


カナンへの旅の途中、ロト一族はアブラハムと別れてソドムとゴモラの町がある低地帯(現在の死海周辺)に居を定めた。
ソドムとゴモラは殷賑(いんしん)をきわめていたが、住民は堕落し、悪徳がはびこる町だったので、ヤハウェは「ソドムとゴモラの罪は非常に重い」(「創世記」18章20節)と断罪、その罪を裁こうと決意する。その罪状について、ヤハウェは「彼女とその娘たちは高慢で、食物に飽き安閑(あんかん)と暮らしていながら、貧しい者、乏しい者を助けようとしなかった。彼女たちは傲慢にも、わたしの前で忌まわしいことを行った」(「エゼキエル書」16章49~50節)と指摘している。貧富の格差に加え、性道徳のはなはだしい乱れが最大の罪だった、というのが一般的な見解だ。
かくて、ヤハウェはアブラハムの前に顕現し、ソドムとゴモラの地上からの抹殺計画を明かした。驚愕したアブラハムは、甥のロト一家を救うために訴える。
「あなたは、正しい者を悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。あの町に正しい者が50人いるとしても、それでも滅ぼし、その50人の正しい者のために、町をお赦(ゆる)しにならないのですか」(「創世記」18章23~24節)
「ソドムの町に正しい者が50人いるならば、その者たちのために、町全部を赦そう」(同書26節)
ソドムとゴモラにはしかし、正しい者は50人も存在していない。そのことを知るアブラハムはなおも歎願をつづけ、救いに必要な人数を45人、40人、30人、20人と減らしていき、最終的に10人の正しい者がいたなら抹殺計画を中止する、という約束を得るのである。
その一方でヤハウェは、ソドムとゴモラの住民の行跡を調査させるべく、ふたりの御使い(天使)を遣わしていた。御使いは夕方にソドムに着き、ロトの家に招かれて歓待されるが、就寝前、町の男たちが老若を問わずに押しかけ、わめきたてた。
「今夜、お前のところへ来た連中はどこにいる。ここへ連れてこい。なぶりものにしてやるから」(同書19章5節)
男たちは御使いを自分たちの欲望の犠牲にしようとしたのだ。
ロトにはふたりの未婚の娘があり、彼女たちを代わりに差しだすと申しでたが、男たちは納得せず、強引に戸口を押し破ろうとする。そのとき、御使いはロトを屋内に引っ張り込んで戸口を閉めるや、超自然的な力で男たちに目くらましを食わせてロト一家を救ってから、来訪の目的を告げる。
「実は、わたしたちはこの町を滅ぼしに来たのです。……主は、この町を滅ぼすためにわたしたちを遣わされたのです」(同書13節)
驚愕し、狼狽するロトを御使いはせきたてる。
「早く、あなたの妻とここにいるふたりの娘を連れていきなさい。さもないと、この町に下る罰の巻き添えになって滅ぼされてしまう」(同書15節)

ロト一家は夜明け前、御使いに導かれて町外れへ逃れ出た。直後、ヤハウェのお告げが下される。
「命がけで逃れよ。後ろを振り返ってはいけない。低地のどこにもとどまるな。山へ逃げなさい。さもないと、滅びることになる」(同書17節)
だが、山までは相当の距離があり、残された時間は乏しい。ロトは隣町ツォアルへの脱出を懇願し、ヤハウェはそれを赦した。
ロト一家がツォアルへ避難し、「太陽が地上に昇ったとき」(同書23節)、未曾有の大災厄がソドムとゴモラを襲う。
「主はソドムとゴモラの上に天から、主のもとから硫黄の火を降らせ、これらの町と低地一帯を、町の全住民、地の草木もろとも滅ぼした」(同書24~25節)

こうしてソドムとゴモラは滅亡し、信仰心篤(あつ)いロト一家は救出されるのだが、ロトの妻は残してきた物への未練があったのか、それとも親しいだれかの身を案じたのか、ヤハウェの厳命を破って思わず後ろを振り返ったため、瞬時のうちに〝塩の柱〟に変わり果てて死んでしまう。


その日の朝、アブラハムが小高い場所から見下ろすと、ソドムとゴモラがあった低地一帯は潰滅的な焦土と化しており、地面からは薄煙が立ち昇っていた。
この大惨事の後、ソドムとゴモラの廃墟は死海南部の湖底に沈んだといわれる。天から降り注いだ〝硫黄の火〟は町を潰滅させただけでなく、地盤沈下を引き起こし、そこへ死海の水が流入したと見なされているのだ。
ただし異説もあり、一部研究家は、死海南東部に位置するヨルダン・ハシミテ王国カラク県にある都市遺跡バブ・エ・ドゥラーをソドム、隣接する都市遺跡ヌメイラをゴモラに比定している。いずれも前期青銅器時代(紀元前3150~前2200年)の遺跡である。

現在は死海への水没説が有力だが、その死海はエルサレムの東方約30キロに位置し、南北75キロ、東西15キロ、面積は1050平方キロ。湖面は地中海の海面より395メートルも低く、塩分濃度は23~25度と異常に高い。ために、生物が棲めない死の湖として世界的に有名だ。
この湖に「死海」という名を最初に与えたのは2世紀のギリシア人といわれるが、ソドムとゴモラの伝承を歴史的事実と信じるユダヤ民族は、死海の存在を神の裁きの明白な〝しるし〟である、と受け止めている。
悪徳の町ソドムとゴモラは神が降らせた硫黄の火のために滅亡し、そのあとに死海ができた、というのである。
とまれ、『旧約聖書』中でもとくに名高いこの滅亡物語は、滅亡の原因をめぐって聖書学者だけでなく科学者の注目も集め、いくつかの仮説が提示されている。
まずは火山爆発説。ただ、死海周辺には大噴火を起こしそうな火山はなく、説得力は乏しい。
大地震説も唱えられた。アフリカから紅海、アカバ湾、その北に位置する死海にかけてはアフリカ大地溝帯が延びている。その最前線に当たる死海周辺は地質活動が非常に活発な地域であり、大地震や大地震に伴う地表の隆起や沈降が起こりやすいし、硫黄やガスなどの物質も地中から噴出しやすい。
つまり、大地震によって地面に大きな亀裂が生じ、そこから石油やメタンガスが噴出し、何らかの原因で引火。それが地中の硫黄を発火させ、燃えつづける硫黄は有毒な亜硫酸ガスを大量に放出し、ソドムとゴモラを滅亡させた、というのだ(竹内均著『科学が証明する旧約聖書の真実』)。
ただ、硫黄の火が「天から」降ったという『旧約聖書』の記述とは相容れないという弱点がある。
小惑星衝突説もある。シュメール人が残した天体図の解析結果から、直径約1キロもの小惑星がアルプス上空で爆発、その破片が地中海一帯にも降り注ぎ、ソドムとゴモラに潰滅的被害をもたらしたと主張し、その日付を紀元前3129年6月29日と特定している研究家もいる。



さらに衝撃的なのは、核爆発による滅亡説だ。
超常現象研究家の南山宏をはじめ、アメリカのゼカリヤ・シッチン、チャールズ・バーリッツ、フランスのルイ・ポーウェル、イタリアのピーター・コロシモ、イギリスのアンドルー・トーマスらは、とてつもない春秋をさかのぼる先史時代の核戦争説に熱い視線を注いでいる。
わずか一発の核兵器が大都市を瞬時のうちに潰滅させうる、とてつもない破壊力を秘めていることを認識し、『旧約聖書』やインドの大叙事詩『マハーバーラタ』、仏教経典の『月蔵経(がつぞうきょう)』『法滅尽経(ほうめつじんきょう)』の記述、超高熱破壊された謎の遺跡などから推論し、先史超文明が核兵器を保有していた可能性を否定できなくなってきたからだ。





しかも、核爆発説を容れるなら、『旧約聖書』に見られる不可解な記述や表現も矛盾なく理解できるようになる。
たとえば、ロトの家に押しかけてきたソドムの男たちに対してなした「御使いの目くらまし」。これは、暴徒鎮圧用の催涙ガス弾などを発射できる小型特殊武器を携行していたことを物語っているのではないか。核兵器を製造できる科学技術レベルに達していたのなら、その程度の武器を所持していたとしてもおかしくはあるまい。
「太陽が地上に昇った」という描写も、核爆発時の目もくらむような閃光の目撃であり、口伝の伝承者は真意を理解できずに、そう表現するしかなかったのではなかろうか。
ロトの妻が後ろを振り返ったため塩の柱になったというのも、強烈な熱線と放射線をまともに浴び、この地方特有の岩塩層地帯で爆死消滅したか被爆死したことを物語っているのであろう。
核爆発説の傍証は、同じ『旧約聖書』が収める「イザヤ書」にも残されている。
「神がソドムとゴモラを/覆されたときのようになる/もはや、だれもそこに宿ることはなく/代々にわたってだれも住むことはない/アラブ人さえ、そこには天幕を張らず/羊飼いも、群れを休ませない」(13章19~20節)
これは、紀元前8世紀の預言者イザヤがバビロン滅亡を預言した詩篇だが、ここにはきわめて重大な示唆が封じ込められている。すなわち、ソドムとゴモラが高濃度の放射能に汚染されたことを暗示しているのではないか。なればこそ、何世代にもわたって居住不能になり、家畜に草を食ませることもできなくなった、と解釈できるのだ。
ソドムとゴモラの廃墟の水没も核爆発説を補完する。核爆発が起こった場合、爆心地には巨大な爆裂孔(クレーター)ができる。核の威力によって規模は異なるが、ちなみに1メガトンの核爆弾だと直径は500メートル、深さは35メートルになる。ソドムとゴモラは死海南部の低地帯にあった。核爆発でできた爆裂孔に死海の水が流入して廃墟は水没した、と考えれば納得しやすいではないか。

死海周辺の一帯が凄まじい高熱にさらされたという証言と痕跡もある。古代ギリシアの地理・歴史学者ストラボンはその著書『地理』に、「死海の地域には、原因不明の火によって溶けた岩がある」と書き残している。

死海周辺には、テクタイトと呼ばれる黒い石が多数散在してもいる。テクタイトは砂礫が最低2500度の高熱で溶けた後、急激に冷えてできるガラス状物質だ。そのような超高温は火山活動でも生じうるが、前述のように死海周辺には火山はないのだから、別の現象に原因を求めざるをえないのである。

傍証はほかにもある。難を逃れたロトとふたりの娘はツォアルを出て山中の洞窟に住んだ。これは核シェルターへの避難を意味しているのではないか。ちなみに、その洞窟は前出のバブ・エ・ドゥラーおよびヌメイラの都市遺跡の近隣に実在している。
その洞窟内でふたりの娘が取った行動も不可解だ。姉妹は相談のうえ、ロトをぶどう酒で酔わせてベッドをともにし、父から子種を受けた。父子相姦だ。そしてふたりの娘は妊娠し、姉が産んだ男児モアブ(「父親より」の意)は後世のモアブ人の祖となり、妹が産んだ男児ベン・アミ(「私の肉親の子」の意)はアンモン人の祖になった、と「創世記」は伝えている。
しかし父子相姦を犯したとするなら、性道徳の乱れのために神罰が下ったソドムとゴモラの住民と同罪であり、聖書学者は解釈不能に陥った。が、核爆発後の荒廃した世界で結婚相手を見つけられなかったがゆえに、子孫を残す非常手段として父から子種を得た、と解すれば納得がいくのである。
ソドムとゴモラの伝承の起源がどこまでさかのぼるかは不明だが、「創世記」の成立は紀元前5世紀ごろとされる。つまり、それより遙かな以前から伝承されてきた核爆発による災厄体験の記憶ないし記録が、教訓的な信仰物語として『旧約聖書』に織り込まれた可能性が高いのだ。


●参考資料=『科学が証明する旧約聖書の真実』(竹内均著/ザ・マサダ)、「封印された神々の古代核戦争」(南山宏/「ムー」336号所収)、「ソドムとゴモラ滅亡の真因は何か?」(船本弘毅/歴史読本ワールド「聖書の世界」所収)ほか
(月刊ムー 2010年5月号初出)
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