名寄市の神社に「霊体スカイフィッシュ」が出現! 賽銭箱を守る守護霊獣なのか?

文=藤田第六感

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    北海道名寄市に平成のテレビ番組を騒がせたUMAが出現した! 密室に侵入する霊体のような振る舞いのミステリー。

    名寄市の聖域に謎の侵入者

     私は普段、北海道札幌市の繁華街、”ススキノ”にある「怪談ライブBarスリラーナイトすすきの店」というバーで怪談をしている。ここは1時間に1回、15分間の怪談ライブがあり、お酒を飲みながら生の怪談が聞けるという、怪談好きには嬉しいコンセプトバーだ。訪れる方々も怪談好きの方は勿論、「自身の体験談を聞いてほしい」というお客様も少なくない。

    「怪談ライブBarスリラーナイトすすきの店」。店名から期待通りの内装である。営業情報は公式サイトにて。https://thriller-night.com/

     数年前、一人の女性が来店した。とても怪談好きな女性だったのだが、話の流れで、
    「見てほしい動画がある。今日はそれを見てほしくて来た」……と言われた。

     詳しく聞くと、その女性は北海道の名寄市で神職をされている方だった。
     ある年、その神社に賽銭泥棒が出たのだという。外に置いてあった賽銭箱ごと盗まれたそうだ。

     ……なんという不届き者がいたもんだ、と話を聞いていたのだが、話は思いもよらない方向に進んでいった。

     賽銭泥棒の被害にあったため、神社に人が居なくなる夜間は賽銭箱を室内に入れるようにした。さらに賽銭箱が映るように監視カメラを設置したという。ナイトモードで撮影可能な、動体検知機能がついたペットカメラのような物を購入したそうだ。

     それ以降、賽銭泥棒はおろか、トラブルは一切起こっていないそうだ。

     だが、話はここからだ。
     毎日貯まる録画データの中に、奇妙なモノが映りこんでいた、というのだ。

     その映像は、室内に入れた賽銭箱が映るように斜め下から撮られたモノクロの映像だ。
     すべての襖は締め切ってあり、すりガラス越しに、外に出ている装飾物が風で静かに揺れているのが見える程度。

    その映像は、密室に安置された賽銭箱を見守るためのものなのだが……。
    何かが出現する。

     深夜の監視カメラらしい動きのない映像だが、しばらくするとそこに不可解なモノが現れる。
     画面右下、締め切られた襖の奥の方から、白く発光した物体がカメラに向かって飛んでくるのだ。
     それを検知したのか、直後、それを追うようにカメラが激しい動きを見せる。
     その物体は上の方へ飛んでいき、カメラもそれを追って上を向いたところで、謎の物体は画面からフレームアウトしていった……。

    摺りガラスの表面(?)に白い小さな物体が現れた。
    それは飛翔してて……
    震えるように飛翔しているものが出現。

    飛行UMAスカイフィッシュ

     という映像を見せて頂いたのだが、私はその時、大声で叫んでしまった。

    「スカイフィッシュ…? スカイフィッシュじゃないか!!」

     怪談好きのお客様が怪談バーに持ってきてくれた映像、しかも寺の監視カメラということで、てっきり幽霊が映りこんでるかと思いきや、そこに映っていたのは、平成のお茶の間を騒がせたUMAスカイフィッシュだったのだ!

    羽のあるこの姿は、あのスカイフィッシュだ!

     問題の箇所をスローにして見てみると、白く発光したその物体は、棒状の体の左右に3枚ずつ羽のようなものが確認でき、体をうねらせて飛行してるように見える。まさにスカイフィッシュの特徴そのものだ。

     スカイフィッシュ。
     つまり “虫” ということだ。

     皆さんご存じの通り、1990年代後半に人気を博したスカイフィッシュは、00年代に入ってからはめっきりメディア露出が減ってしまった。
     理由はその「正体」にある。
     話題となった90年代、様々なテレビ番組等で検証がなされたが、その結果、スカイフィッシュの正体は「カメラのモーションブラーが作り出した虫の残像だ」という結論になった。シャッタースピードより速い速度の虫の羽ばたきが、カメラに波打ったような残像を残すのだという。スカイフィッシュの特徴である “カメラにのみ映り、肉眼では捉えられない” のはこのためである。
     昔のテレビ番組で、スカイフィッシュが出るという洞窟にロケに行き、洞窟内に巨大な粘着シートみたいなものを垂らしスカイフィッシュの捕獲を試みたが、虫しか捕れなかったのもこのためだ。

     この「モーションブラー」が通説となり、またカメラ技術の進歩とともに、スカイフィッシュは次第にその姿を消していった。

     現代では、スマートフォンの普及により多くの人が高性能カメラを普段から持ち歩いて生活をしている。にもかかわらず、あれっきり「スカイフィッシュが写った!」という話自体聞かなくなったのも、つまりは”そういうこと”なんだろうと思っていた。

    出現したそれにカメラが反応し、追うように動いたが追いつかない。

    閉め切った戸をすり抜けている

    「これは…スカイフィッシュじゃないですか?」

     映像を見せてくれた女性にそう伝えると、「なんですか? それ」と。そう、この女性はスカイフィッシュのことについて何も知らなかったのだ。

     ここから「スカイフィッシュとは…」という先ほどの説明を彼女にもして、「というわけで残念ながらこれは虫の可能性が高いです」という説明もした。

    「えー…そうなんですか…」と残念がるこの女性は、「でもこれ…」と、動画の一部を拡大し、スカイフィッシュらしき物体が現れる瞬間をズームアップしてコマ送りで再生し始めた。

     そこには奇妙な一瞬が確認できた。よく見てみるとこのスカイフィッシュ、どこから現れたのかわからないのだ。
     それは見切れている、ということでもない。
     このスカイフィッシュは画面下方向から突然現れるのだが、それは閉め切った戸をすり抜けて、外から寺の中へ入ってきてるようにも見えるのだ。

    この瞬間のコンマ数秒前までスカイフィッシュは映っていない。霊体として出現したとでもいうのか?

     これは新しい。
     令和のスカイフィッシュは神社に現れ、障害物をすり抜けることができるのか。
     しかもカメラが動きに反応する距離に来たとき、そのサイズを考えると、実際にそこに何かがいたとすればかなりの大きさになる。

     この映像が撮られた北海道名寄市という街には、数年に一度、クスサンという手のひらサイズの蛾が大量発生する。自分自身もクスサンを間近で見たことがある手前、それじゃないかとも考えていたのだ。だが、映像のスカイフィッシュは蛾の羽根とは違って見えるし、何よりこの時、寺は閉め切っていて、このサイズの虫が入ってくるような隙間はなかったわけだ。
     勿論現場にいたわけではないのだが、話を聞けば聞く程、「ただの虫です」で片付けられない内容となる。

    クスサン。開長10センチ以上にもなる大きな蛾だ。画像=Wikipedia

     何故この名寄市でスカイフィッシュが撮影されたのか。

     その神社に自生している植物と何か関係があるのか、そもそも神域という場所に呼び寄せられているのか。賽銭箱の災難を見守る存在なのかもしれない。

     真相はわからないが、このように想像を膨らませることができるというのは、スカイフィッシュの未来は少し明るくなったということだ。もしかしたら、私たちがスカイフィッシュを虫だと片付けていた一方で、スカイフィッシュはその身を潜め、どこかで静かに生き続けていたのかもしれない。

    スカイフィッシュの出現にカメラが反応したということは、それに実体があったということだ。
    動体に追従するカメラを翻弄して、スカイフィッシュはいずことなく消えてしまった……。

     この問題の映像は私が所有しているので、これを読んで興味がある方がいれば、スリラーナイトすすきの店で声を掛けてみてください。
     怪談好きのお客様が持ってくる奇妙な写真・映像の中には、こういった心霊以外の物もたまに紛れているので、また機会あればこういった場で紹介させて頂きたい。

    ダイ(藤田第六感)

    怪談ライブBarスリラーナイトすすきの店の怪談師。怪談話だけではなく都市伝説も探求している。北海道の余市出身。

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