妖怪タウン福崎町に「人面魚」出現！ 河童が棲む池の霊力が鯉を妖怪化？

「令和の人面魚」現る！

　平成の初め頃、日本列島を駆け巡った「人面魚ブーム」を覚えているだろうか。1990年、山形県のお寺の池で人の顔の模様をもったコイが見つかったのをきっかけに、日本各地で同じような「人面魚」発見報告が続発した、オカルト的大事件である。

　人面魚のいるお寺には連日見物客が押しかける大騒ぎになり、当時はワイドショーで見ない日はないくらいの人気者だったが、若いかたには「初めて聞いたし」という人もいるかもしれない。そんな平成初期の熱狂から34年、ぴったり一世代の時を経て「令和の人面魚」が発見されたとの大ニュースが飛び込んできた。しかもその場所は、10年前から河童が潜む世にもあやしい池だというのだ……！

　さる筋よりムー編集部に提供された、人面魚の写真がこちら。

　確かに目があり鼻筋があり、くちびるらしき部分も確認できる。ずいぶん彫りの深い、渋めのルックスだ。また気になるのはコイの左脇部分。くっきりと赤いハート模様が浮かび上がっているではないか！
　平成の人面魚はただ不気味な顔を水面に浮かべるばかりだったが、最近の魚はこわいのが苦手な人のためにかわいいポイントも用意してくれているのだ。この気づかい、まさに令和の人面魚である。

人面魚の池は河童のなわばりだった！

　そんな人面魚が発見されたのがこちらの池だ。一見何の変哲もない池にみえるが、しばらく眺めていると、水面が泡立ちはじめ……。

　髪をふりみだした河童が飛び出してきた！

　ここは兵庫県福崎町にある、辻川山公園のため池。10年前、ここに設置された河童のキャラクター・ガジロウが手加減なしの不気味さで逆に大バズりしたことは20代の方でもご存じなのでは。そんな河童が住む池で人面魚まで発見されるとは、なんという偶然だろう。

　福崎町は、日本民俗学のパイオニア・柳田國男のふるさとであり、ガジロウの登場をきっかけに「妖怪の町」としての町おこしに成功した全国でもレアな町だ。じつはwebムーでは先日福崎町での妖怪町おこしのようすを取材したばかりだったのだが、この時ちらりと耳にした話があった。

　もともと辻川山公園のため池はどんなに掃除してもコケや藻が発生してしまい、一向にきれいにならない池だった。あまりに濁ったままなので、ならば、とそれをさか手にとって考案されたのが「濁った池から突然河童が現れる」という装置のアイディアだったのだそうだ。池の水質がガジロウ大ヒットの名脇役だったともいえるかもしれない。

　ところが数年前、この池にコイをはなしたところ、食欲旺盛なコイたちがもりもりと草を食べ、少しずつ池の濁りが解消してきたのだそう。いいことのように思えるが、水がきれいになると、ふだん水中に隠れているガジロウがうっすら見えてしまう。そうなると当然、水面に現れたときの驚きは減る。水の浄化かガジロウか……。町としてはうれしい反面、少々頭を悩ませることでもあったのだそう。

　それが、ここへきてそのコイの中からまさかの「人面魚」発見だ。
　2024年の11月下旬、観光客から「人面魚みたいなのがいる」と連絡があり初めて発覚したもので、毎週池に入ってガジロウの掃除をしている町の担当者も、それまでは誰ひとり気づかなかったのだそうだ。
　困りごとがおこるたびにリリーフがあらわれる。この池にはなにか特別なパワーが潜んでいるのだろうか……。

　福崎町では、ガジロウにならぶ池のあらたな看板として人面魚のプッシュに取り組んでいく予定だそう。ハート印のあるコイだけに、縁結びのご利益もあるとかないとか。
　福崎町、ますます気になる町だ。

ハートマークと、もうひとつの顔

　ところで、当記事をまとめつつ写真の整理をしていたところ、サムネイルサイズの人面魚を見ていて妙なことに気がついた。引きでみると、人面魚の頭から背中にかけてもうひとつの「顔」が浮かび上がってくるのだ。それはまるで、大きな口を開けて笑っているガイコツのような……。

　福崎町の人面魚は、こわいのか、かわいいのか、やっぱりこわいのか。辻川山公園を訪れ、ぜひ自身の目で確かめてみていただきたい。