清水崇新作映画『ミンナのウタ』でホラーヒロイン「さな」による恐怖の感染と拡散が始まる……?
映画『ミンナのウタ』について新たな映像が公開された。メロディーを聴けば、あなたも……?
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“あのコ”が口ずさむ呪いのメロディ…前作「ミンナのウタ」のDNAを引き継ぐ清水監督最新作をレビュー。
この教室には、“いないはずの生徒” がいる──。
オカルト好きにはおなじみであろう映画「呪怨」シリーズを筆頭に、ジャパニーズホラーを牽引してきた1人である映画監督・清水崇。その最新作「あのコはだぁれ?」が、2024年7月19日(金)から公開される。
昨年、「本当に怖いホラー映画」として話題になった同監督作「ミンナのウタ」のDNAを引き継ぐ最新作と聞いては、見逃せないと思う人も多いだろう。
しかも本作、撮影現場でちょっとした怪奇現象(?)が起きたという噂も聞こえてきているのだ。昔からよくある「作品関係者が心霊現象を体験したホラー映画」の中に本作が入ってしまうかもしれない可能性を考えると、より見逃せないというか…いやむしろ見たくないというか…。
まあ、その話は記事後半でゆっくり触れるとして、まずは映画公式のあらすじをご覧いただき、軽く見どころを紹介しよう。
〜あらすじ〜
夏休み、臨時教師として 補習クラスを担当することになった 君島ほのか(渋谷凪咲)の目の前で、ある女子生徒が突如屋上から飛び降り、 不可解な死を遂げてしまう。
実は数十年前にも同じ場所で同じ事故が起こっている事を知ったほのかと生徒たちは “いないはずの生徒=あのコ”の謎に踏み込んでいく。
恋人の悠馬をも巻き込み、“あのコ”にまつわるある衝撃の事実に近づくが、その度に周囲の人間は消えていく…… 彼らを待ち受ける、予想もつかない恐怖の“あのコ”とは……?
本作で映画初主演を務めるのは、アイドルグループ・NMB48の元メンバーで、今やテレビのバラエティ番組に引っ張りだこのタレント・渋谷凪咲。夏休みの補習クラスを担当する臨時教師・君島ほのかを演じる。
本作は、GENERATIONS from EXILE TRIBEの全メンバーを主演に制作された清水監督の前作「ミンナのウタ」の設定を引き継いでおり、“呪いのメロディ”と“カセットテープに収録されたとある音”を軸に物語が進む。
ホラー映画としてシンプルでド定番の場所「学校」を舞台に、30年前に起きた不幸な出来事にまつわる“あのコ”が、教師と生徒たちを恐怖の渦に巻き込む。
ネタバレしない程度に試写の感想を書くと、個人的に興味深かったのは、30年前の学校で起きた事件などがきっかけで“あのコ”が誕生した…というわけではなく、“あのコ”という呪われた存在は30年前からすでにあって、生きていようが死んでいようが性格(?)的にはほぼ変わらないという点だ。
作中前半でも言及されるが、“あのコ”は誰かへの恨みで動いているわけではなく、“対象は誰でも良い”という気持ちで、生きている人間に対して様々な恐怖を巻き起こす。そこには、どちらかと言えば快楽殺人者が起こす陰惨な事件のような空気感がある。心霊映画だが、視聴感がヒトコワっぽいこの感じは、本作のひとつの見どころだろう。
なお、ここからは完全に余談だが、筆者は本作を観て久々に思い出した書籍がある。過去に日本で実際に起きた13の殺人事件について、新潮社「新潮45」編集部が読み物として情報をまとめたノンフィクション「殺人者はそこにいる」(「新潮45」編集部 編)だ。同書で取り上げられている、“自殺実況テープ”にまつわる「葛飾「社長一家」無理心中事件」の章が、まさに本作とオーバーラップしてより背筋が寒くなったのだ…。怖いのでここでは詳細は省略するが、せっかく「あのコはだぁれ?」を観るなら、ぜひ一緒に同書もチェックしてみてほしい。
少々話が横道に逸れたが、もう一度「あのコはだぁれ?」に戻ろう。実は本作、マスコミ向けのプレビューでちょっと面白い裏情報があったので、ここからは努めて明るくそれを紹介したい。
本作のスタッフには、「ホラー担当」という役職を務めた川松尚良氏という人物がいて、同氏が作品の制作時にまつわるコメントを寄せているのだが、その内容がいちホラー映画ファンにとって興味深かった。
先に川松氏について簡単に紹介すると、清水監督の過去作品「恐怖の村」シリーズではホラー描写を専門に担当する助監督として全作に参加するなど、清水監督の右腕として活躍する人物だ。「ホラー担当」「ゾンビコーディネーター」の肩書きを持ち、ホラー業界ではそのプロフェッショナルとして活躍している。
…と言いつつ、「いや、そもそもホラー担当ってどんな役職?」と思う人も多くいるだろう。筆者もそうだった。川松氏ご本人の言葉によれば、映画制作現場における「ホラー担当」とは、「ホラー描写に特化し、必要となる各部署のプロフェッショナルと相談してアイデアを具体映像化していく仕事」なのだという。
「ホラーの現場でよく見る光景で、恐怖描写の段になると特殊メイクさんや演者の力量にお任せして監督含め各部署が一歩引いてしまう。きっとそれは何を怖いと感じるかが人それぞれだからで、更には何かを“怖い”と表明することがみっともないと無意識で警戒しているからだと思います」(川松氏)。
そんな中で、恐怖を具現化するために真正面から各部署と調整を行う「ホラー担当」は、現場を円滑に進めるために欠かせない存在なのだそうだ。
同氏は「僕のキャリアの中でも中核となる清水崇監督の作品ではさらに一歩踏み込み、ホラーキャラの創作から物語紡ぎ、どんな怪異を起こしていくか? まで、描写の根幹の部分を清水監督と一緒に作る作業をさせて頂いています」とコメントしている。
今回の「あのコはだぁれ?」の現場でも、主演の渋谷凪咲に川松氏特製の「こわい音」を聞かせたり、時には川松氏自身が恐怖の対象となって驚かせたりと、同氏は「ホラー担当」として様々な試行錯誤をしながら役者の恐怖表現の幅を広げていったのだとか。
そんな中、撮影中にとある怪奇現象(?)が起こったというのだ。
「うら寂しい夜道で撮影をしていた時です。僕が出したこわい音を渋谷さんに聴いて頂いていたら、それを渋谷さんのピンマイクが拾っていて、離れたところでそれをヘッドフォンでモニターしていた清水監督が“なんか、赤子の泣き声みたいのがずっと聴こえるんだけど…”とボソッ。これ、清水さんには秘密にしておきましょう(笑)」(川松氏)
…いや、(笑)とか言ってる場合じゃない。というかその赤ちゃんはだぁれ? と思わず突っ込んでしまいそうになるが、答えが返ってきても恐ろしいので、それはそういうものだとひとまず受け止めておきたい。
思えば、ホラー映画の撮影現場やその関係者周辺に不可解な現象・事故が起こったというエピソードは、有名な「オーメン」を筆頭にたくさんある。ホラー映画の制作現場には、本作で言う“あのコのパワー”みたいなものが働くのかもしれない。
ちなみに今回の件、冷静に考えれば、川松氏が役者にこわい音を聞かせるという「ホラー担当」としての作業をしている中で起きた現象。現実的にも「ホラー担当」になってしまうのは、さすがに仕事がプロすぎやしないだろうか…。
というわけで、主演に大人気タレント・渋谷凪咲を抜擢するに始まり、ちょっとした怪奇現象(?)まで起こるという話題に事欠かない清水崇監督最新作「あのコはだぁれ?」は、2024年7月19日(金)から公開だ。ぜひ映画館で、“あのコ”のヒトコワ感に触れてほしい。
【作品概要】
■タイトル:「あのコはだぁれ?」
■出 演:渋谷凪咲 早瀬憩 山時聡真 荒木飛羽 今森茉耶 蒼井旬 穂紫朋子
今井あずさ 小原正子 伊藤麻実子 たくませいこ 山川真里果
松尾諭 マキタスポーツ / 染谷将太
■監 督:清水崇
■原案・脚本:角田ルミ 清水崇
■製作:「あのコはだぁれ?」製作委員会
■企画配給:松竹
■制作プロダクション:ブースタープロジェクト “PEEK A BOO films”
■制作協力:松竹撮影所 松竹映像センター
■公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/anokodare-movie
■公式X・公式TikTok: @anokodare_movie
■公開:7月19日(金)
杉浦みな子
オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。
音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀…と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハー。
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