UFOは子供たちに会いに来る! 日本で発生した少年少女コンタクティたちの遭遇体験談5選
UFOとの遭遇事例は数あるが、子供たちの目撃記録には具体的でリアルなものが多い。UFOは、少年少女に何を訴えようというのか? 日本各地の事例から考察する。
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文=大槻ケンヂ イラスト=チビル松村
webムーの連載コラムが本誌に登場! 医者から「オカルトという病」を宣告され、無事に社会復帰した男・大槻ケンヂの奇妙な日常を語ります。
前々回、オカルトトークのタイミングが「今じゃない!」という話を書いた。でもオカルト好きをやっているとこれ今じゃないよなというとこで不思議話を振ってもらうことはじつに多い。
前々回はライブ直前に不思議な話を振られる件を書いた。ライブ後もそれは多いのだ。それもライブ終了直後の、もうヒーヒーいっているところに不意にムー的案件を問われるわけだ。2時間ヘビメタを絶叫して汗だくで楽屋へ戻るやサッと顔面にスマホの画像をつきつけられてこうだ。
「大槻さん、これガチの心霊写真っスよね!?」
指2本でクワーッと画面をピンチアウトして木の影みたいなものを見せてくるのだ。
「え、今か!?」
――霊か影かの問題よりも、スマホをつきつけてきた人が所属レコード会社の社員だという問題のほうこそが事の重大さを深刻にしていると思うのだ。
「それ、今メーカーの人が聞く?? 」――だけど社員さんにしてみればきっと「今しかない!」と考えたのだと思う。メーカー社員でもライブのときしか会わない人も多いからだ。
これが本当にライブの終演後の挨拶くらいでしか会うことのない方ならなおさらのことなのであろう。昨年、筋肉少女帯のワンマンライブが終わった直後たくさんの人が楽屋を訪ねてくれた。その中には新日本プロレスリングのエル・デスペラード、棚橋弘至両選手もいらした。棚橋選手などはあの太陽のような笑顔で楽屋の隅に立っていた。
「来てくださってありが……」
とそちらへ行こうとしたとき、視界の隅に「なんか見たことある」方がいることに気づいた「ん?どなただ? えっと??」でも思い出せないので、棚橋さんたちに挨拶をしようと歩みを進めたところでハッ! っと気づいた。
「あ、あの方は異星人コンタクティの方だ!」
そうだ思い出した。ほぼ毎日UFOや龍神を目撃、かつ撮影に成功しているというその界隈では知られた方だ。偶然にも僕の友人と仲がよくて、それでわざわざ楽屋を訪ねてくださったそうなのだ。嬉しい。でもそんなコアすぎる方と初遭遇するタイミングがライブ直後の棚橋弘至が目の前ってなによ⁉ とつくづく戸惑ったものである。
「わ、これ、どうしよう?」
――まず新日本プロレスリングにご挨拶すべきか異星人コンタクティにすべきか一瞬アワアワしてしまった。するとコンタクティの方がスッとスマホを差し出してきて「大槻さん、UFOです」といって妖しく光りながら飛行する物体の動画を見せてくださった。「わ、ガチですかね」「龍神の写真もありますよ」サッと指でスクロール。彼の自宅らしき部屋の中で浮遊している白い蛇状の生物(?)がそこにはバッチリ映っていたんだが、棚橋弘至選手の太陽の笑顔のほうも気になって仕方がない。
結果的には龍神様の魔力にオカルト好きは抗えず「今なのかな? それ」とも思いつつ、新日本プロレスリングを少々の時間お待たせしてしまったものである。
〝異星人コンタクティ〞〝お待たせ〞というワードで今あるひとりの人物を思い出した。
岡美行さんという方だ。異星人コンタクティである。岡さんは1928年生まれの画家で、前衛美術会の会長を務めた人物だ。40代半ばに、身長50センチくらいの異星人に自宅でフラッシュを浴びせられてからコンタクティとなり、ほぼ連日異星人にさらわれ宇宙を旅しているという。僕は今から30年くらい前に彼と取材でお会いした。漫画家の杉作J太郎さんと編集者と3人で岡さんの住むアパートにお邪魔させていただいた。お世辞にもゴージャスとはいいがたい、裸電球の灯る六畳一間のお部屋だった。そこで岡さんは気さくになんでも答えてくださった。ときに「エッヘッヘッヘ」という彼独特の笑いを挟みつつ。
彼の想像を絶するコンタクト体験を要約抜粋するならこんなところだ。
「異星人はアパートの前の公園に連日宇宙船で降りてきて岡さんを宇宙へ連れていく。必ず紙と鉛筆を持ってきて旅日記を書けと迫る」
「異星人は岡さんの体全体をふたつにしてこっちは宇宙に連れてってそっちはアパートに置いていく」
「異星人はたまにバスくらい大きい宇宙船で六畳一間の岡さんの部屋に入ってくる」
「異星人が岡さんを連れ去ることを近所の人が気づかない理由は、近所のみんなが寝ているからだ。(岡さん曰く『見えないよ。みんな寝てるもん』とのこと)」
「異星人と岡さんはしょっちゅう殴り合いのケンカをしている。あるときは『おめぇ生意気だからちょっと来い!』と岡さんがタンカを切ったところ、立ち上がった異星人が2メートルあったので(50センチくらいじゃなかったの?)岡さんビビってしまった、という昭和の東映映画のような回もあり」
「異星人の女のひとりがドアをすり抜けてサーッっと入ってきて布団の中に岡さんを引きずり込んでHをされたこともある」
この衝撃の宇宙からの性加害、については岡さんに思わず「どうでした?」と訊ねたところ、岡さんひとこと「よかった」ですって。不適切にもほどがあるかとは思いますが異星人と地球人の昭和の話なのでここはコンプラお目こぼしくださいね。
また異星人は光の帯を使って岡さんを宇宙に連れていくこともあるそうだ。そのときは岡さんの肉体がスーッと紐状に変身する。杉作さんが「スゴイですね。紐になって」と異星人の超科学について驚くと、岡さんはヘッヘッヘと笑っていった。
「女のひもじゃないよ。へっへっへ」と始終こんな調子で爆笑につぐ爆笑インタビューになったのであった。
しかしなかでも衝撃を受けたのは、あるとき、例によってアブダクションしにきた異星人を、岡さんが〝お待たせ〞したことがあるという話だ。その〝お待たせ〞の理由がふるっているのだ。拙著『のほほん人間革命』の岡さんインタビューから抜粋しよう。
異星人から呼び出されるとき、岡さんは「だいたいボクはね、そういうときテレビを見てるの」という。テレビ? 一体何の番組を?
岡「あれ、いかりや長介の……」
大槻「ドリフですか⁉」
岡「ドリフターズのやってたでしょ」
大槻「『8時だョ!全員集合』」
岡「そうそう。あれ見てるときにかぎっていつも異星人から呼び出しがかかるんだよ」
杉作「ドリフ見てるのも途中でやめて……」
岡「やめないで、ちょっと待てっていうの」
ドリフ見たさに異星人を待たせていたのである!
「あと30分待ってくれ」と「全員集合」観ているときはドリフ・ストップを訴えたのだそうだ。果たして30分とは前半のコントの部分だったのか後半の歌ありコントありの部分だったのか。ご存命なら100歳を超えておられるだろう彼氏。「ムー」でもその近況はわからないそうなので、今となっては〝お待たせ〞の真相は想像するか、あるいは異星人側の記録を開示させるしか知る術はないのである。
しかし横尾忠則との対談集を出していたりもしていて、岡美行は再注目されるべき異星人コンタクティであると思う。とくに、UFO問題がどうも軍事的にきな臭い裏側が見えてきた感じのある現在においては、異星人と素手で殴りあう岡さんのある意味牧歌的なコンタクト・ストーリーこそ、必要とされるんではないかと感じる。そう、今こそ!ということである。岡さん、お待たせ!
(月刊ムー2024年6月号より)
大槻ケンヂ
1966年生まれ。ロックミュージシャン、筋肉少女帯、特撮、オケミスなどで活動。超常現象ビリーバーの沼からエンタメ派に這い上がり、UFOを愛した過去を抱く。
筋肉少女帯最新アルバム『君だけが憶えている映画』特撮ライブBlu-ray「TOKUSATSUリベンジャーズ」発売中。
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