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ムー編集部では例年、大阪市鶴見区の鶴見神社で昇殿参拝をさせていただくと同時に、第42代・花谷幸比古宮司に取材し、新年の動向についてお話をうかがっている。古神道白川流の易学や、中国に伝わる望龍術を修めた花谷宮司は、運気を読む専門家でもあるのだ。今回は、2024年(甲辰年)の傾向とおすすめの神社についてお聞きした。
2024年の干支は、六十干支の41番目に当たる甲辰だ。陰陽五行でいうと甲は木の陽で、シンボルカラーは青。一方の辰は土の陽で、龍を表す。つまり2024年は青龍の年ということになる。これが運気を読み解く際の大きなポイントになると、花谷幸比古(はなたに・ゆきひこ)宮司はいう。 「青龍の年というのは、六十干支のなかで最も怖い年といってもいい。激動の世の中になるでしょう。青龍は、龍のなかでいちばん若く、暴れん坊です。ただ、いちばん面白い龍でもあります。改革か滅びか。前進か後退か。上か下か。そういう方向性がはっきりして、状況が目まぐるしく変わっていきます。そのなかで自分はどう考え、どう行動するかをひとりひとりが考えていかねばなりません」
じつは、花谷宮司が得意とする望龍術で見ても、2024年は日本に青龍がめぐりくる年だという。二重の意味で青龍の影響を受けるため、ますます動きが激しくなると予想される。 話は変わるが、2023年の祭礼では、コロナ禍をはさんで4年ぶりに「鶴見だんじり」と「龍踊り」を見ることができたという。だんじりとは山車を指す西日本特有の言葉で、龍踊りは、だんじりが出るときに、お囃子に合わせて披露される。もともとは古代中国で雨乞いの儀式の一環として行われていたもので、龍が如意宝珠を追って体をくねらせ、上昇していく様子を踊りで表現する。 青龍の時代が目前に迫った2023年に久々の龍踊りが行われたことには、予言的な意味があるのかもしれない。
「人間は弱い存在ですから、ときには外からパワーをもらわねばなりません。身近な人たちからもらうのもよいのですが、場所からもらうこともできます。龍神をお祀りした寺社が各地に多数ありますから、青龍の年には参拝するとよいでしょう」 花谷宮司によれば、日本には九頭龍信仰がよく見られるという。たとえば、日本三霊山のひとつとされる白山にかかわる信仰は、717年、泰澄という修験道の僧侶の前に、十一面観音の化身である九頭龍王が出現したことからはじまった。白山を水源とする九頭竜川もあり、龍との縁は深い。白山神社は全国にあるので、最寄りのお社へ行くとよさそうだ。
また、神奈川県・箱根の九頭龍神社は、757年、箱根神社の開祖として知られる万巻上人が、芦ノ湖の龍が暴れているのを調伏し、守護神として祀ったのがはじまりとされる。かつてこの龍は、人身御供を要求する毒龍だったが、万巻上人の調伏によって改心した。現在でも芦ノ湖の湖水祭では、人身御供の代わりに、赤飯の入った櫃を湖底に沈めるという。 千葉県・印旛沼の龍角寺は、709年、元明天皇の時代に点から龍女がやってきて、ひと晩のうちに伽藍を築いたという。それから約20年後、聖武天皇の時代に干ばつが起こったため、龍閣寺(当時の名称)の釈命上人が雨乞いの祈願をすることになった。上人が祈りつづけると龍の化身が現れ、祈禱のおかげで罪障が消滅したと感謝した。 上人が龍に雨を乞うと、自分は小龍の化身なので大龍の許しがないと雨を降らせることはできないが、救ってもらったからには命を惜しまず雨を降らせようといった。ただ、そうすれば自分の体は3つに裂かれて地に落ちるので、それを祀ってほしいというと姿を消した。 その直後から7日7晩にわたって雨が降り、干ばつは解消された。雨がやんだ後、人々が印旛沼へ行くと、3つに裂かれた龍の体が落ちていた。頭を納めた寺は龍角寺、腹部を納めた寺は龍腹寺、尾を納めた寺は龍尾寺と名を改めたという。
奈良県の室生龍穴神社の奥宮には、龍王が棲む龍穴がある。平安時代以降、朝廷から祈雨の神として信仰されてきた。近年ではパワースポットとしても人気が高い。 滋賀県の三井寺には、天智・天武・持統の3帝が産湯に用いたといわれる「三井の霊泉」が湧出している。古い記録によれば、この霊泉には九頭龍が棲んでおり、年に10日、夜の丑の刻に姿を現すという。 同じく滋賀県・多賀町には標高333メートルの青龍山がある。登山口には磐座信仰が起源とされる胡宮(このみや)神社があり、山中では巨石が見られる。この山に登ってみるのもよいのではないかと、花谷宮司はいう。
webムー編集部
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