「奴らは異次元からやって来る…!」サスカッチ群団に包囲され、戦った鉱夫が明かす恐怖 /ブレント・スワンサー
ミステリー分野で世界的な知名度を誇る伝説的ライター、ブレント・スワンサーが「日本人がまだ知らない世界の謎」をお届け!
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この世界に潜むといわれる怪物の中には、単なる奇妙さを超えて信じられない領域に入り込んでいるものがいる。アメリカ北東部の田舎道をうろつく「Melonheads/Melon Heads(メロンヘッド)」として知られる夜行性の大きな頭をした生物は、明らかに常軌を逸した領域にある。
メロンヘッドは、オハイオ州のカートランドとチャードン周辺の農村地帯に現れる未確認生物だ。一見したところ人間のようだが、病的な青白さと滑稽なほど特大の頭蓋を持ち、小柄でやせ細った体躯、そして鋭いサメのような歯を持つとも言われている。森を徘徊して車の運転手やハイカーを驚かせたり、時には悪夢のような容貌で人々を恐怖に陥れる。
この奇妙な物語の起源は不確かで、メロンヘッドがどのようにして誕生したかについては多くの説があるが、最も有名なのは、歪んだ科学実験の被験者となった孤児のグループだとする説だろう。
この物語によると、クロウ博士という名のマッドサイエンティストが、捨てられた子供たちをなんらかの手段で拉致し、オハイオ州カートランド近郊の森の中にある人里離れた施設で極悪非道な人体実験を行ったという。子供たちの頭部は、謎めいた実験の影響か、あるいはすでに水頭症(脳内に水がたまる病気)にかかっていたかのどちらかの理由で変形していた。何をされたにせよ子供たちは発狂し、森に逃げ込んだ。(これも、こっそりと抜け出したり、または彼らの窮状に同情的になったクロウ博士の妻の助けを借りた、あるいは子供たちがランプを倒して小屋を燃やして逃げ出した、と諸説ある)そしてメロンヘッドは、この子供たちの子孫か、もしくは永遠に荒野をさまよう亡霊であるという。
メロンヘッドの起源に関するもうひとつの説は、レイク郡の荒野で極悪非道な政府の極秘プロジェクトによる人体実験が行われていたという、よりわかりやすいストーリーである。このシナリオでは、被験者は脳になんらかの激烈な手術を受け、頭部が風船状に変形した。被験者は、やがて外の世界との接触を切望し、実験施設から脱出したというものだ。残念なことに、彼らは社会から受け入れられていないことを悟り、人知れず孤独のまま生きるために荒野へと戻っていった。政府はパニックを引き起こさないため、陰謀論によくあるように全てを隠蔽したという。
また、別の説では、彼らは植民地時代に迫害から逃れるために森に逃げ込んだ、魔女の一団の近親交配の末裔だという話もある。
その正体が何であれ、異様な頭部をもってオハイオ州の森を徘徊する存在についての話は古くからあり、その伝説は州を越えてミシガン州やコネチカット州にまで広がっている。そして、それぞれの州に多種多様なバージョンの話がある。しかし、ほとんどの伝承に共通するのは、メロンヘッドは今も森の中に住み、しばしば人里離れた田舎道に出没し、近親交配を続けることでその数を長年にわたって安定させ、さらに異質な外見になっていると言われている。
このメロンヘッドの性質については、恥ずかしがり屋でほんの少ししか姿を見せないとか、貪欲で凶暴な小さな怪物で近づく者は誰でも襲うとか、物語によって大きく異なる。夜になると闇に紛れて徘徊し、狩りや悪戯をするとも言われており、深い裏山で時々発見される動物の切断死骸も彼らの仕業とされる。時には、彼らのテリトリーに迷い込んだ人を殺して食べたり、メロンヘッド同士で共食いすることもあるという。いずれにしても、出くわしたら逃げるのが最善策と言われている。
メロンヘッドに遭遇したという報告や目撃談は数多く存在する。1964年、オハイオ州ウィックリフをドライブしていたティーンエイジャーのグループが、道端に立って自分たちを見つめる奇妙な生物に気づいた。もっとよく見ようと車を減速させると、その生き物は逃げ去り、若者たちは追いかけることにしたが、そこで信じられない超現実的光景を目撃する。とある家のポーチに年配の夫婦がのんびりと座り、その周りを数体のメロンヘッドがうろついていたのだ。
若者の一人が老夫に何が起こっているのかと尋ねると、彼は実に奇妙な話を紡いだ。彼はかつて第二次世界大戦中、核科学者であったこと、そして、常に浴びていた放射線のせいで、自分の子供たちが先天的な異常をもって生まれてきたことを話した。彼は、政府からそのことを黙っているようにと金を渡され、妻と子供たちとともに人里離れた場所へと移住、普通の社会から半強制的に遠ざけられたと主張した。男は若者に家の場所を口外しないことを約束させると、送り出した。
10代の若者たちにが家に向かって寂れた道を走っていると、彼らは大勢の警官に呼び止められた。「そこで何をしているのか」と尋ねられたことから、先程見たメロンヘッドのことを話してしまったが、警察は断固として「それは単なる都市伝説であり、引き返したほうがいい」と勧めてきた。10代の若者たちが拒否すると、彼らは警察署に連行され、両親が迎えに来たと言われている。10代の若者たちは後に、自分たちは何も悪いことはしておらず、ただ運転していただけで余計なお世話だと主張するようになり、当局によるメロンヘッド隠蔽工作が疑われるようになった。
このような奇妙な報告は、現代に至るまで散見される。『Weird U.S.: Your Travel Guide to America’s Local Legends and Best Kept Secrets』の記述によれば、2001年にトニーと呼ばれる人物が、伝説の真相を探ろうとオハイオ州チャードンにあるメロンヘッドの生息域を旅していた。
そしてある日、森を車で走っていると、窓の外に時速40~50マイル(64~80km)で並走する生き物がいることに気づく。興味深いことに、伝説にあるような背の低いメロンヘッドの姿ではなく、ひょろひょろとした手足と大きめの頭部を持ち、身長はおそらく170センチはあったという。
「話に聞いた姿とは全然違った。私と同じくらいの身長で、茶色のズボンを穿いていたがボロボロで、縫い目のところはトウモロコシの皮のようなもので留めてあった。茶色と赤のシミのついた白いシャツを着ていた(赤いシミが血でないことを祈る)。頭部は非常に明るい茶色で、その両側には耳らしき穴が2つあった。頭は膨らみ、目はとても大きく見えた。私たちがカーブを曲がると、それは森の中に飛び込んでいった。これが私が遭遇したメロンヘッドである」
ケリー・トップ=ベドロシアンという女性は、ミシガン州アレガン郡のレイクタウン・タウンシップにある廃墟を散策していたとき、メロンヘッドと遭遇したという。友人たちと古い屋敷跡を探検していいると、少し離れたところに立っている大きな頭の男を目撃した。そして男は、こちらに向かって歩き始めた。
「男が誰なのかわからず、ひとまず『こんにちは!』と叫んだが、大きなうなり声が聞こえただけで、どんどんこちらに向かってきた。私たち全員は怖くなって、車に向かって走った。そして飛び乗ると、廃墟から数マイル離れるまでスピードを緩めることなく、全速力で車を走らせた」
また、ジェイ・Bと名乗る目撃者が2009年に「Creepy Cleveland」に投稿した証言も不気味だ。子供の頃、彼はオハイオ州ウィスナー・ロードの森のそば、「ラングレンの納屋」と呼ばれる場所付近に住んでいたが、そこで珍しい遭遇をした。
「初秋の夜10時頃、飼い犬が吠える声が聞こえたので何事かと外に飛び出ると、愛犬が血を流して倒れていた。森の方を見ると、青白い肌と大きな頭をした小さな人影が見えた。その生き物は私を見ると、森の中に走っていった。翌朝外に出て足跡を追ったが、小川の近くで止まっていた」
さらに、オハイオ州カークランドのウィスナー・ロードは、メロンヘッド目撃のホットスポットとして悪名高い。実際にそこでは目撃情報が多く、切断された動物が周辺に散乱していることもあるらしい。
そして、おそらく「メロンヘッド・ロード」の中で最も有名なのが、コネチカット州トランブルとモンローを走るベルベット・ストリートと呼ばれる道路で、「ドラキュラ・ドライブ」という不吉なニックネームで知られる。この道路沿いでメロンヘッド遭遇事件は数多く発生しているが、中でもジョセフ・シトロの著書『Weird New England』に書かれた事件は劇的だった。
この証言は1980年代のもので、ミーガン、スー、キム、デブ、ジェン、カレンという若い女子が、ある金曜の夜にドライブに出かけたときのことだ。一行は、メロンヘッドにまつわる言い伝えをよく知っていたため、刺激を求めてドラキュラ・ドライブを通ってみることにした。人里離れた道を曲がったとき、本当に怪物に出会ってしまうが、しかしその興奮はすぐに後悔に変わった。
車から降りた彼らが、わくわくしながら道を歩いていると、さっき全員降りたはずの車のドアが開く音がした。そしてヘッドライトが灯り、こちらを照らしてきた。誰が車に乗り込んだのか、よく見えなかったが、やがて車は彼らに向かって突進してきた。彼らは道路脇の林に飛び降りて助かったが、車が通り過ぎたときにようやく車内を見ることができた。なんと、ボロボロの服を着て、巨大な頭とオレンジ色に光る大きな目、胴体は子供サイズのヒューマノイドが乗っていたのだ。その生き物は狂ったように笑いながら、車とともに夜闇へと消えていった。
確かに、青白く凶暴な人食い人種の部族が暗い森に潜んで動物や人間を殺しているという奇妙な概念は、純粋な都市伝説であり、不条理であるに違いない。都市伝説であれ何であれ、メロンヘッドが世に存在する奇妙なミステリー·モンスターのひとつであることは間違いない。
Brent Swancer(ブレント・スワンサー)
豪ミステリーサイト「Mysterious Universe」をはじめ数々の海外メディアに寄稿する世界的ライター。人気YouTubeチャンネルの脚本、米国の有名ラジオ番組「Coast to Coast」への出演など、多方面で活躍。あらゆる“普通ではない”事象について調査・執筆・ディスカッションを重ねる情熱と好奇心を持ちあわせる。日本在住25年。『ムー』への寄稿は日本メディアで初となる。
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