世界中に実在する呪われた建物「幽霊屋敷」の怪/世界ミステリー入門
どこの国にも、幽霊が出没したり、不思議な音や心霊現象が発生したりする、いわゆる「幽霊屋敷」が存在する。 それらの現象は、かつてそこに住んだ人間が残した強い怨念が引き起こすのか——? 世界有数の幽霊屋敷
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米国各地で発生した怪奇現象に、再現ドラマで迫るホラー・ドキュメンタリー。 悪魔、死霊、生者の怨念……人々を襲う恐怖の姿がリアルに描かれる!
『マイ・ホーンテッド・ハウス』に筆者なりのストレートなキャッチコピーをつけるなら、「リアルライフ・パラノーマル・ドキュメンタリー」ということになるだろうか。体験者自身がナレーターを務めるドキュドラマというフォーマットで進む各エピソードは、派手なホラー映画のような展開こそないものの、独特の〝ひたひた感〞を発しながら身近な場所で生まれる怖さのリアリティが伝わってくる。
いわゆる憑依現象は、建物にも人にも、そして物を対象にしても起きるようだ。〝憑くもの〞自体はある種のエネルギーなのだろうが、それは想念とか思念という言葉で表すのが一番事実に近いと思う。
番組内のエピソードについて具体的に触れていこう。「ルームメイト」というエピソードの主人公は湾岸戦争から帰国してPTSDに悩む元兵士の治療を担当した女性精神科医だ。彼女は自宅兼オフィスで患者に会っていたが、元兵士がとんでもない憑きものを連れてきて、想像もできない恐ろしい目に逢うことになる。
このエピソードのテーマは霊体ではなく、原始宗教における禍々しい存在と形容するのが正しと思う。ラヴクラフトのクトゥルー神話を彷彿とさせる。憑依現象のスコープを知る上でも興味深い。
「不幸の手紙」は物質世界と精神世界のつながりや、それぞれの世界に属する者たちの思いが交差する様子を描く。主人公は父母を交通事故で亡くした若い女性。しかしこの事故には特殊な事情があった。運転していた母親がドラッグでハイになった状態で事故を起こし、同乗していた父親まで命を奪われることになってしまった。
叔母と同居するようになったこの女性のもとに、不幸の手紙が届くようになる。最初は無視していたが、ある日決定的なことが起きる。そして彼女も手紙を書くことにした。肉体が滅びた後でも、想念や思念は確実に残るという事実を見せつけられたように感じた。そして真摯な態度で向き合えば、ポジティブなコミュニケーションが生まれる。
「非通知着信」は、まだ生きている者の想念、生き霊の恐ろしさを描くエピソードだ。生き霊の発信源、つまりだれかに災厄をもたらしている本人は、現象の原因が自分にあるとはまったく気づいていない。さらにいうなら、「想念を物質的な現象に変える」能力が自分に備わっていることにも気づいていない。不幸な偶然が重なると、きわめてまれなケースが現実のものとなる。
心霊写真は、写っている人ではなく、シャッターを押す人の波長と霊の波長が感応した結果であるという説がある。これは本当かもしれない。そして、こうした現象にはお互いの過去世といった要素も深く関係するような気がしてならない。この世に偶然というものなどなく、すべてが必然であるという考え方があるが、これは物質世界と精神世界のつながりに関してもいえることだと思うのだ。
だからこそ、この番組で自らの体験を自らの言葉で語る出演者たちのように「気のせい」であるとか「疲れている」という理由で、説明がつかない現象に対する不思議な気持ちを無理やり抑え込もうなどとしないほうがいい。すべての現象には必ず理由がある。出演者たちも、最終的には自ら能動的に現象の原因を解き明かそうとする。不思議な現象は、直接関わっている者の手でしか解決できない。
そうそうないシチュエーションだろうが、身の回りで超常現象が起きているときは、この番組が大きなヒントになるはずだ。
●CRIME+INVESTIGATION●
マイ・ホーンテッド・ハウス
原題:My Haunted House
つい手に入れた夢のマイホームが実は幽霊屋敷だったら? 安息の場所であるはずのわが家に襲いかかる、科学では説明のできない超常現象の数々。人々が実際に味わった、恐怖に血の凍るような体験談を完全映像化し、その恐怖と謎の真相に迫る、ホラー・ドキュメンタリー!
Amazonプライムビデオ、Hulu、U-NEXTほか各種動画配信サイトで配信中。
(月刊「ムー」2023年12月号より)
宇佐和通
翻訳家、作家、都市伝説研究家。海外情報に通じ、並木伸一郎氏のバディとしてロズウェルをはじめ現地取材にも参加している。
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