三度も出現した「トイレのイグアナさん」の話など/南山宏のちょっと不思議な話
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20年にわたる長い逃亡の末、シシリアンマフィアの殺し屋ジョアッキーノ・ガミーノ(60歳)がとうとう逮捕された。
「いったいどうやって、この俺を見つけたんだ? 家族にだって10年も前に電話したきりなのに」
「タイムズ」紙2022年1月6日付によれば、イタリア警察の捜査担当者が別の理由でグーグルのストリートビューを見ているうちに、偶然ガミーノがスペインの片田舎ガラパガルのとある食料雑貨店の前に佇んでいるのを発見した。それからは密かな追跡調査の末、逮捕にまで漕ぎつけた。
台風などのないイギリスで2022年1月、珍しく大暴風アーウェンが吹き荒れて、広域大停電が発生した数日後、西ヨークシャー州ヘブデンブリッジのギャレス・ヒューズ氏(44歳)のもとへ、突然とてつもない金額の補償小切手が振り込まれた。
なんとその額面2兆3242億5209万と110ポンド(約396兆3477億円超)!
もちろん当地の配電会社ノーザンパワーグリッド社のコンピューターが突然バグって、トンデモ計算ミスを犯したのだ。残念!?
ロシアはエカテリンブルク市の「エリツィン記念アートギャラリー」に民間警備会社から派遣された警備員アレクサンドル・ワシリエフ(63歳)が、芸術に対するとんでもない冒涜行為を働いた。
派遣された初日早々、展示中のとある肖像画の意図的にノッペラボウに描かれた男女ふたりの人物それぞれの顔の部分に、退屈しのぎにボールペンで両目を悪戯描きしてしまったのだ。
この肖像画は1930年代に制作された女流画家アンナ・レポルスカヤの『3人の人物』と題する歴史的に重要な名画で、本来はモスクワの国立トレチャコフ美術館の所蔵物だが、この抽象芸術展の目玉作品のひとつとして貸し出されていたもの。
当然ながら盗難・破損など万一の場合に備えて、7500万ルーブル(約1億9000万円)の保険もかけられていた。
この落書き事件はその日のうちに来場者が気がついて、アートギャラリーのスタッフに知らせたことから発覚し、ワシリエフは器物損壊容疑で逮捕された。
事件を報じた昨年2月14日付「アートニュース」紙によれば、ワシリエフはこの絵の保険額に相当する罰金、並びに最長1年の懲役刑または3か月の禁錮刑に処される可能性があるという。
もっとも、美術品修復の専門家筋の話では、この絵の損害損傷の程度は思ったよりも軽微で、保険がかけられていることもあり、必要な修復費用はせいぜい25万ルーブル(約62万5000円)前後で済みそうだとか。
かつて地球上を闊歩した最大の生物は、中生代白亜紀後期(1億年~6600万年前)に現在の南米大陸コロンビアからアルゼンチンのパタゴニアにかけて棲息していた〝パタゴタイタンマヨラム〟という超巨大草食恐竜らしい。
体重は少なくとも62トン、現代のアフリカゾウ10頭分はあり、また鼻先から尻尾の先までの全長40メートルは、現代最大の動物シロナガスクジラの全長30メートルをゆうに上回る大きさだ。
その化石骨が史上初めて発見されたのは、11年前の2012年、アルゼンチンはチュブ州のとある牧場敷地内の石切り場だった。
化石全体の発掘にはそれからさらに3年かかり、研究分析にはもう2年が費やされた。
パタゴタイタンマヨラムの脛骨だけでも、長さ2メートル40センチ、重量が半トンもあり、そこから推定される全体重は、最大70トンにも達する。
この数字はこれまで脛骨と前腕が発見されて〝タイタン竜〟と呼ばれていたドレッドノウトゥスより、15パーセントほど重い。
また同じパタゴニアで発見された別のタイタン竜アルゼンティノサウルスも〝地上最大〟とされてきたが、パタゴタイタンマヨラムに比べると、10パーセントほど小さいのだ。
古生物学者たちは、大洪水後の氾濫原の泥中に埋もれて保存されていた、少なくとも6頭のパタゴタイタンマヨラムに属する化石約150個の発見に成功した。
なお、パタゴタイタンマヨラムの〝マヨラム〟は、化石の発掘場所の牧場所有者マヨラム家の名前を記念してつけられている。
米ノースカロライナ州ウッドランドの行政当局は、住民たちの反対を考慮して、すでに同じ地域内の3農場がソーラーパネルの設置を承諾していたにも拘らず、当面見送ることに決定した。
「デイリーミラー」紙2020年8月29日付によれば、
「ソーラーパネルは太陽のエネルギーを全部吸い取ってしまうのでは?」という心配と、「さまざまな有力企業がこの地方への投資を控えるようになるのでは?」という恐れを地元の住民たちが抱いたからだった。
方向感覚を失った1頭のセイウチが、南米チリの首都サンティアゴ南方1500キロの海港プエルトシスネスに上陸して、街頭を必死の表情で(?)うろうろ彷徨っているのが発見された。
この海獣が海岸にいるのは見慣れている市民たちも、さすがに街の大通りのど真ん中をうろつく姿を観るのは初めてだった。
セイウチは市民に対して攻撃的な姿勢を見せるどころか、ひどくうろたえ怯えて、途方に暮れているように見えた。
だが、警察と海軍と市民有志が協力して、黒い大判のターポリンを広げ持ちながら、セイウチが回れ右して少しずつ海岸のほうへ向かうように誘導し事なきを得た。
チリ海軍のスポークスマンが報道陣にこう弁明する。
「街の皆さんのご協力に感謝します。今後はわれわれがパトロールを強化して、同じようなことが2度と起きないよう注意します」
南山宏
作家、翻訳家。怪奇現象研究家。「ムー」にて連載「ちょっと不思議な話」「南山宏の綺想科学論」を連載。
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