三度も出現した「トイレのイグアナさん」の話など/南山宏のちょっと不思議な話

文=南山宏 絵=下谷二助

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    「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2023年6月号、第470回目の内容です。

    救国のUFO

     米宗教放送局CBN(クリスチャン放送ネットワーク)は、ウクライナ支局長コスチャンティン・リトヴィネンコ氏から寄せられた以下のような〝世にも不思議な〟レポートを報道した。
     2022年3月3日付「CBNホームページ」に掲載されたその記事によれば、ウクライナ最前線の某所に展開中のウクライナ軍に従軍する同支局長の知人の息子から、突然、その父親にスマートフォンがかかってきた。
     支局長の知人の息子が配属されたウクライナ軍部隊は、月のないある真っ暗な夜、質量ともにはるかに優勢なロシア機動部隊の戦車群の猛攻撃に曝されて、苦境の真っ只中にあった。
    「父さん、苦戦中なんだ。今すぐ俺たちのために祈ってくれ!」
     そこで父親は教会に親しい友人仲間を呼び集め、息子とその部隊のために必死に祈りを捧げた。
     リトヴィネンコ氏によれば、知人の息子は後日、再び父親に電話をかけてきてこう説明した。
    「奇跡が起きたよ。どうやら宇宙船がロシア軍を攻撃してくれたみたいなんだ。闇夜の空から稲妻みたいな光がほとばしって、火花がそこら中に拡がった!」
     事実、夜が明けると、ロシア軍の戦車部隊は壊滅していて、わずかに生き残ったロシア兵は全員退却していた。

    天敵は人間

     近着の専門誌「現代生物学」に報告された最新研究によれば、人類はその活動によって、自然界の500倍の速さで、たくさんの植物種を絶滅させてきたという。
     そのため植物界も対抗して、人類にできるだけ採取されないように進化する植物種が出現する。
     中国の高山の岩石地帯に生息する学名フリティラリア・デラヴァイアイというユリ科の植物は、球根が漢方薬として重宝されるユリ科の高山植物だが、近年高額で取引されるようになり、大量に採取されるようになった。
     すると不思議なことに、できるだけ採取されないように、本来は緑色の体色が、岩石地帯では目立たない地味な灰色や茶色に変化するようになったのだ。
     この不思議な変化について、中国科学院昆明植物研究所の研究者ヤン・ニウ氏は説明する。
    「私たちは当初、この体色の変化は草食動物による旺盛な捕食が原因だろうと考えた。だが、そのような草食動物の存在を見つけることはできなかった。さまざまな可能性を検討した結果、最後に残ったのは、人間による過度の採集が原因だという結論だった!」

    お土産テロ

     イスラエルのベングリオン国際空港で、母国へ帰るアメリカ人のトーマス・ベーカー氏(40歳、仮名)という夫婦が、思わぬ大騒動を巻き起こした。
     彼らは出国時の税関検査で、バックパックから大きな不発弾を取り出して、保安員に訊いたのだ。
    「これをスーツケースのほうに移してもかまいませんか?」
     保安員はただちに付近にいた人たちを全員避難させたが、遠くで騒ぎを聞きつけた別の乗客が、勘違いして騒ぎだした。
    「テロリストが襲ってきた! 銃を乱射してるぞ!」
     現場は上を下への大パニックになり、怪我人まで出てしまった。
     この不発弾はイスラエル占領下のゴラン高原で拾われたもので、この高原では1967年に起きたイスラエル対シリアの「6日間戦争」の遺物や遺品が、いまだに数多く眠っている。
     不発弾のお土産は、その場でただちに保安部隊に没収され、ベーカー夫妻はきつくお灸を据えられたうえで、即時放免された。

    洗いだし

     コソ泥常習犯のテリー・ハントリー(45歳)は、英レスター市外に見つけたとある留守宅に侵入すると、ノートパソコンその他の小物ばかりを盗んで逃げだした。
     だが、居間に放りだしてあった汚れた衣類を見つけると、よせばいいのについ親切心から、洗濯機に放り込んだのが運の尽き。
     泥棒が触ったその衣類から、すでに手配済みだったハントリーのDNAが検出された。それが手がかりとなり、警察はとうとうハントリーを洗いだして逮捕した。

    噛みつき女

    ドイツはテューリンゲンで、27歳の女性Aが愛犬と散歩中、やはり犬と散歩していた57歳の女性Bと掴み合いになった。
     Bが犬を叩いているのを見て、Aが止めに入ったのが原因で、ついには若いAが年配のBを蹴り倒してしまった。
     すると頭に血が昇ったBが、地面を這いずり寄って、Aのふくらはぎにがっと噛みついた。
     飼い主たちの醜い争いを、2匹の犬は大人しく見守っていた。

    恐怖のトイレ

    「最初のときは(何てこった)と、笑ってしまった。2度目のときは(おいおい、またかよ)と、ウンザリした。でも、3度目のときには(どうしてだ?)と、恐怖を覚えた!」
     米フロリダ州ハリウッドのブルース・ブライヤー氏は、ここ1年のうちに自宅のトイレで、3度もたて続けに、世にも不思議な出来事に遭遇した。そのうち2度は同じ週のうちだった。
     便座の蓋を引き開けると、なぜか大きなイグアナが蹲って、こちらを見上げていたからだ!
     3度ともこの動物が専門の「イグアナ・ライフスタイルズ」社がブライヤー氏からイグアナを引き取ったが、同社の現場調査でも、イグアナがどうしてブライヤー氏宅のトイレに入り込めたのかはまったく謎だった。
    「通気口から入ったのではないことは確かです……家の周辺の下水道のどこかに穴でもあるのではと捜してみましたが、結局どこにも穴はありませんでした」
     同社はそう結論した。2022年7月14日付のUPI電によれば、ブライヤー氏は溜め息交じりでこう語っている。
    「イグアナが出るようになった最初のときから、私はトイレに入るときは、あらかじめイグアナがいないのをよく確かめてから、入ることにしている」

    南山宏

    作家、翻訳家。怪奇現象研究家。「ムー」にて連載「ちょっと不思議な話」「南山宏の綺想科学論」を連載。

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