インドネシアのムラピ火山でUFO続発! 火口から地底基地に至るホットスポットなのか?/遠野そら
UFO多発地帯は世界各地にあるが、地形でいえば「火山」での出現は多い。メキシコやコスタリカをはじめ、世界各地の火山で目撃が相次いでいるのだ。インドネシアにあるムラピ山(メラピ山とも呼ばれる)もまた、U
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日本に8つある巨大カルデラ火山が巨大噴火を起こしたら、どうなってしまうのか? 最新の分析結果から見えてきた恐怖の現実!
日本は地震と火山の国だ。休火山になったり活火山が増えたりするため順位はよく変わるが、トップはアメリカ(161)で、日本は5位(111)。日本の国土面積がアメリカの25分の1しかないことを考えれば、異常に多い。
2014年、神戸大学の巽好幸教授は今後100年間に日本で巨大カルデラ噴火が起きる発生確率を1パーセントと見積もった。この確率は「兵庫県南部地震 (阪神・淡路大震災) 発生前日における30年発生確率と同程度」(同大リリース)なので、決して杞憂とは言えない現実的な話である。
巨大カルデラ噴火は一般的な火山の噴火と違って、山が丸ごと消し飛んで、直径数十キロメートル、深さ数百メートルの凹地(=巨大なカルデラ)を作る噴火のことだ。日本には、そのような噴火を起こしかねない巨大カルデラ火山が8つある。
では、もしも巨大カルデラ噴火が現代の日本で起きるとどうなるか。なんと日本人は全滅、日本という国は消滅するという。
石黒耀の小説『死都日本』は巨大カルデラ噴火により、日本に人が住めなくなる話で、その中に「破局噴火」という言い回しが出てくる。噴火の被害をイメージしやすいということで、日本のローカルルールながら、学者も巨大カルデラ噴火を破局噴火と言い換えることが多い。
巽教授のシミュレーションでは、現代に阿蘇山が巨大カルデラ噴火を起こしたとすると、数百度の火砕流が九州全域を呑み込み、700万人が死亡、風に乗った火山灰が日本全土を覆い尽くす。大阪で50センチ、東京で20センチの火山灰が降り積もる。
火山噴火では直接の被害も恐ろしいが、火山灰は想像を超える被害をもたらす。雪と違って、火山灰は溶けない。それが数十センチも降り積もったら交通インフラは壊滅する。自動車はもちろん、電車も動かなくなる。火山灰を少々除去しても、スリップして動けない。
上下水道もストップする。取水口が埋まってしまうので、水が取り込めなくなる。農地は壊滅し、物流が止まることも合わせ、すぐに食糧危機になる。
さらに雨が降ったら最悪だ。水分を含んだ火山灰は重くなり、重みで電線や通信ケーブルが断線する。火山灰は非常に軽く粒子が小さいため、コンピュータ内部にも容易に侵入する。火山灰は絶縁体で電気を通さないが、わずかでも水分を帯びれば、電気が通るようになる。回路に付着すれば、ショートさせてしまう。
物流が止まり、電気水道が止まり、通信もネットも断絶したら、果たして人間は生きていけるのだろうか。
1週間以上、ライフラインが完全に断絶したとしたら、日本中で餓死者や病死者の山ができるだろう。最悪の場合、日本人が全滅する可能性もある。
鹿児島県の沖合に、縄文時代に噴火したという海底の休火山、鬼界カルデラがある。噴火したのは7300年前で、南九州一帯にはアカホヤと呼ばれる当時の火山噴出物が薄く堆積にしている。アカホヤの層を境に、発掘される土器類がまったく別のものになっている。噴火により、九州に住んでいた縄文人は全滅し、新たに大陸から人が渡って来たらしい。
縄文人の遺跡が関東から東北地方に多く、九州にほとんど見られないのは、鬼界カルデラ噴火で九州の縄文人が死に絶えたせいだと考えられる。
噴火に伴う火砕流は、想像以上に恐ろしい。
シュリーマンの発見で有名なポンペイは、2000年前にイタリア・ベスビオ火山の噴火で埋まった町で、火山灰堆積層に多くの遺体が残っている。遺体を分析した結果、火砕流の高熱で血液が沸騰、頭蓋骨が割れて死んだことがわかったという。縄文人も同じように、熱に焼かれて体が沸騰して滅んだのだ。
噴火での噴出量と噴火雲の大きさなどから、火山噴火を数値化したものが火山爆発指数(VEI)であり、その最大値がVEI8だ。VEI8のカテゴリーの火山は超巨大火山=スーパーボルケーノと呼ばれ、爆発すると文字通りに世界が終わる。地球の気候が変わり、生物相も一変するからだ。
7万5000年前に起きたスマトラ島のトバ火山の噴火では、大量の噴煙が地球を覆い尽くし、寒冷化が起こったという。地球の気温は平均で5度下がり、寒冷期は6000年続いた。この当時、人類はさまざまな種類に分岐していたが、今の人類とネアンデルタール人を除き、ほとんどが絶滅した(デニソワ人など一部の生き残りの痕跡は見つかっている)。
遺骨の化石とともに布につくコロモジラミの化石が見つかっていることから、この頃に布は発明されたらしい。寒冷化が衣服の発明を促したと推測される。
VEI8の火山はトバ火山以外にアメリカのイエローストーン公園やイタリア・セージア渓谷など世界に7つある。このどれかが噴火しても、現在の文明は致命的に破壊されるだろう。
特にイエローストーン公園は東京都と同サイズの巨大なカルデラで、64万年前に起きた噴出量はVEI8の基準となる1000立方キロメートルをはるかに上回る2500立方キロメートルと見られる。イエローストーン公園は過去60~70万年周期で3回噴火してきたことがわかっている。それほど遠くないうちに噴火する可能性は高い。
観測技術の発達で、米国地質調査所はイエローストーン公園のマグマだまりが、これまで予想されていた量のおよそ2倍あると発表した。
ロンドン市立大学のクリストファー・キルバーン博士が行ったシミュレーションでは、イエローストーン公園が噴火すると、周辺地域の9万人が火砕流で即死、半径1000キロメートル以内の90パーセントの人たちが火山灰で窒息死し、成層圏に達した噴煙は地球を覆い尽くし、トバ火山の噴火以上の寒冷化が起きるという。平均気温は10度下がり、火山灰でアメリカの耕作地が全滅することで、世界中で大量の餓死者が出る。
火山がいつ爆発するのか、正確な予想をすることは難しい。
2014年の御嶽山火山災害を受け、文科省では次世代火山研究・人材育成総合プロジェクトを発足、最先端の火山研究を進めている。
同プロジェクトで新たな観測方法として注目されているのがミュオグラフィだ。ミューオンという成層圏から降ってくる非常に透過力の強い素粒子を使って、X線撮影のように火山の内部を透視して撮影する。マグマだまりの様子や山体の内部変化をモニターできるので、噴火予測の精度を上げることが期待されている。
科学的なアプローチからの噴火予測も重点分野のひとつで、たとえば東工大では、火山ガスを分析してマグマの変化を捉えたり、AIを使って火山灰を解析し、精度の高い噴火活動のシミュレーションを可能にするなどの研究を行っている。
人工衛星を使った高精度の計測と、車載型や手動型など地勢に応じた機動的なレーダー計測を組み合わせ、地殻や地熱の変動から噴火予測を行う研究も進んでいる。
火山の噴火を止めることは人類には不可能だが、予測精度を上げることで被害を最小限にすることはできる。
カタストロフィに怯えるのではなく、どのように備えていくかが人類の知恵だろう。火山と地震の国であり、最先端の科学技術も備えた日本は、世界の災害対策のリーダーシップをとる責任を負っている。
久野友萬(ひさのゆーまん)
サイエンスライター。1966年生まれ。富山大学理学部卒。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。
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