正座して両手を合わせる「霊動発現法」で心身が安定し、精神が磨かれる! 大宮司朗の霊動法・実践編

文=大宮司朗 イラスト=青木宣人

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    霊学、古神道、神仙道の研究家であり、大東流合気柔術玄修会を主宰する大宮司朗師が指南する霊術、霊動法の第2回。座って簡単な動作を行うだけで自然に体が動きだし、心身強健と霊的能力の向上がかなうという!

    前回記事・基本編はこちら

    畳または床に座って行う「霊動発現法」

     霊動法には、座って行う座式、立って行う立式、寝て行う臥式など、いろいろとある。また、座式ひとつにしても、胡座をかいてなす場合、結跏趺座、半跏趺坐、正座、あるいは石上神宮で行われている石上鎮魂法のように、左右の足裏を合わせてなす場合などもある。

     ここでは、オーソドックスな正座式による霊動発現法のひとつをまず紹介しよう。

    ①畳や床に正座し、背筋を伸ばし、両手を下腹近くの膝の上にのせ、目を閉じる。
     正座の仕方を知らない人はいないだろうと思うが、簡単に記せば、両足を折り畳み、かかとの上に腰を落とすのである。男性は右膝と左膝の間を握り拳ひとつくらい空け、女性は両膝を合わせる。畳や床が固い場合は座布団を使用してもよい。
     起床してすぐ、または就寝前に行うというような人は、布団の上、あるいはベッドの上で実践してもよい。足が悪くて正座ができない人は胡座でもいいし、それも厳しいという人は、椅子に座ってでもいい。だが、人によっては激しく身体が動いて、その結果、椅子が倒れてしまう恐れがないともいえないので、そういう方は臥式(手足をリラックスさせて伸ばし、仰向けになる方法。手の動きは正座法に準じる)で行ってほしい。
    ②息を吸いながら、両手をまっすぐ前方に伸ばす。
     このとき、左右の手を開き、平行にする。
    ③伸ばしきったら、その両手をピッタリと合わせる。
    ④合わせた両手を密着させたまま、息をゆっくりと吐きながら、胸元(両乳首を結んだ線の中央あたり)に引きつける。引きつけたときに、両手の指先が天を向いているようにする。

    畳や床に正座し、背筋を伸ばし、両手を下腹近くの膝の上にのせ、目を閉じる。
    息を吸いながら両手を前方に伸ばし、伸ばしきったところでピッタリと合わせる。
    両手を密着させたまま、息をゆっくりと吐きながら胸元に引きつける。引きつけたときに、両手の指先が天を向いているようにする。

     霊的感受性の強い人の場合は、これだけで手が前後あるいは上下などに動きはじめる。
     この後の手順はふたつに分かれる。手が動きはじめた人と、動かない人である。

    パターン1:手が動きはじめた場合

     手が動きはじめた人は、その動きに任せる。最初は手が前後左右上下に動くだけだが、人によっては全身が振動しはじめ、膝が浮き、畳から身体が浮き上がるくらいになって跳躍し、部屋中を飛び回る人もいる。そうなっても無意識に危険を感じ取ることができるため、物にぶつかったりすることはほとんどないので安心してほしい。
     とはいえ、そこまで動くようならば、安全には安全を考えて、鋭い角があってぶつかると危険なものや、ガラスや陶器類のように簡単に割れるものなどは、できるだけそばに置かないようにすることが大切だ。人によっては数十センチ以上も跳躍することがあるようだが、そうした人はまれで、普通は手が振動したり、身体が前後左右に動いたり、左旋右旋するくらいである。

     さて、ここで重要なのは、その霊動のとめ方である。何も知らずにこんな状態になると、普通の人であればパニックに陥りがちであるが、じつは霊動のほとんどは、何もしなくとも5分か10分、あるいは20分もすれば、自然ととまるものである。
     とまったならば、深呼吸を3回ほどして「わが心身強化され、さわやかなり」と強く心に思い、ゆっくりと目をあける。目を開けたとき、非常にさわやかな感じがするはずだ。

     もっとも、所要があったり、人が訪ねてきたり、電話が鳴りだしたりすれば、霊動をとめなければならないときもある。よって、霊動のとめ方をここに伝授しておく。
     霊動をとめようと思ったならば、目を開き、下腹にグッと力を入れて、「とまれ」と強く思えばよい。通常の人はそれでとまるものである。

    パターン2:手が動かない場合

     手が動かない人は、先述した手順の②③④を、今度は思いきり手に力を入れて実行してみてほしい。つまり、両手を膝に置き、次に、両手をまっすぐ前方に伸ばし(このとき左右の手を平行にする)、伸ばしきったら、力を入れて両手を合わせ、次いで、合わせた両手を密着させたまま、息をゆっくりと吐きながら、いっそう力を入れつつ胸元に引きつけていき、すっかり引きつけたときに両手の指先が天を向いているようにする。

     これでも振動が起きない場合は、両手を引きつけたままの姿勢で深呼吸を3回し、4回目に吸った息を下腹に入れて息をとめ、両手に思いきり力を入れて「手が振動する」と、息のつづく限り思念しつづける。一度で霊動が発現しない場合は、何度でもくり返す。強く押しあうことによって、その力の作用で自然と手が振動してくる。

     私の知りあいなどには、霊的な修行をしたわけではないのに、「エッ、そんな押しあわなくたって、手と手を胸元で合わせれば、自然と震えてくるじゃないか」というような人物もいるが、まあ、軽く手を合わせるだけでは霊動が起こらない人もいる。そうした場合には、先述したように手に力を入れて押しあうと、霊動が出やすいようである。

     最初に説明した霊動発動法の②③④も、じつは軽く押しあうかたちであり、霊動を誘発しやすくなっているのである。  ともあれ、手が動きだしたなら、あとはパターン1の「手が動きはじめた場合」を参照していただきたい。

    パターン3:それでも動かない場合

     ここで問題となるのは、パターン2の「手が動かない場合」で紹介した方法を試みたにもかかわらず、少しも霊動を生じない人である。私の経験では、ほとんどそうした人はいないのであるが、絶対にいないとはいえないので、次のことを記しておこう。

     太霊道といって、一時、霊術界を席捲した団体がある。その団体では、霊動を修養の枢軸に置いていたのであるが、表に現れて目で見ることができる顕動作用と、内的にはあるのだが表には現れない潜動作用とに分けて、人によっては表に動きが現れていなくとも、内的霊動によって不可思議な現象を起こせるものとしていた。

     確かに、激しく振動していっさいのものを破壊する地震のように、そのエネルギーが目に見えるものもあるが、静かにたゆたうと見える海も、そこに膨大なエネルギーを有しており、それを利用するならば、莫大なエネルギーを得ることができる。
     霊動も同じで、見るからに猛烈で激しい人がいる一方で、表面的な霊動が見えなくとも、その内部に大きな振動を有する人がいてもおかしくはない。であるから、人に見せて「こんなことができる」と自慢したい人でもなければ、身体が動かなくとも、じつはかまわない。

     先に述べた大東流の先生の話ではないが、その姿勢を保っているだけでも心身によい影響を与えているわけで、その姿勢を一日のうち朝と晩、あるいは、時間の空いているときに5分でも10分でも行えばいいのだ。背筋を伸ばし、正座し、合掌するだけでも心身の安定を得ることができるのである。

     かつて「岡田式静坐法」というものが流行し、それをすることによって心身の安定と健康を得て、人格養成もできるとされていた。また、この静坐法では必ずしも求めてはいないのであるが、人によっては霊動が起きることもあった。
     だが、岡田式静坐法では、霊動が起きるか起きないかは問題とされなかった。ただ身体を正して座ることが大切で、それだけで慢性病が癒され、肥満した人は筋肉が引き締まり、痩せた人は肉がつき、頭脳が明快となり、度量広大にして環境を支配する気迫が養われたという。

    岡田式静坐法の姿勢を示す、創始者の岡田虎二郎。

     たんに心身強健を望むだけなら、一日に1度でも2度でも合掌して、一定時間、正座すればよい。それだけで、どなたでも今までより快適な毎日を送れることは間違いない。

     霊術の大家で、霊術界の大御所、ご意見番として著名な松本道別という人物は、霊動が起きるのは、人体放射能(気・霊気)が強力になった結果であるとした。つまり、霊動法を行っていると、霊気が激しく人体から放射されるようになるのである。こうした霊気は、霊符などを書いたり、特定の器物などに御魂入れをする場合に非常に有効で、霊気の強い人が書いた霊符や御魂入れした器物は、霊験が顕著となる。

     霊的なことに関心のある人であれば、必ずしも健康を求めるわけではなくとも、霊動法を実践することは有効だ。これにより、今までどうしても入ることのできなかった神秘の境涯を体験することが可能となるかもしれない。また、鍼灸や整体などで人の病気を治している人なども、霊動法の実践によって霊気を強く放射するようになり、その霊気の力で、これまで体験したこともないような、大きな成果を上げることができるのではないかとも思う。

     次回は、霊動法の応用について述べる。

    大宮司朗

    霊学、古神道、神仙道の研究家。幼少のころより霊学、古神道を研鑽し、各地の古社霊山を訪ね、霊格向上、神明との霊的気線感通に努める。玄学修道会、大東流合気柔術玄修会主宰。著書に『太古真法玄義』『古神道玄秘修法奥伝』『神法道術秘伝』『霊符全書』などがある。

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