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魔女にして魔術師・ヘイズ中村さんによる開運魔術の第2回。今回は、「ムー」10月号の付録になっている5つのシンボルの意味と効能についてお伝えしていきます。
オーディンを主神とする北欧神話には、神々の世界アスガルド、人々の世界ミッドガルドをはじめ、合計9つの世界が存在する。それらをひとつにまとめているのは一本の巨大なトネリコの木、ユグドラシルだ。 9つの世界は、複雑に絡みあうユグドラシルの根や枝によってまとめられているため、神々はそれを上手に使って異世界を行き来するという。 神話の世界には「世界樹」というものがある。この木は各神話において世界の中心にあり、世界をひとつにまとめ、生命の象徴として扱われる。ユグドラシルは、その典型だ。冷え冷えとした北欧の地に伸びやかに葉を茂らせるユグドラシルは、命や豊穣、恵みの象徴である。 このシンボルは、使用者に豊かさを与えるとされてきた。ただし、「何もしないで棚ボタを」と望んでも、効果はあまり期待できない。日ごろの労働や努力に応じてオーディンが恵みを与えてくれると考えるほうが無難である。
全知全能で知られるオーディンだが、彼とて何もしないで世界のすべてを把握しているわけではない。彼に詳細な情報を提供しているのが、その両肩に止まるフギンとムニンという一対のワタリガラスである。 フギンは「思考」を、ムニンは「記憶」を意味する。2羽は夜明けに外へ放されると世界中を飛び回って最新の情報を集め、夜に帰ってくる。そしてオーディンの肩に止まり、その耳にさまざまなニュースを囁く。 オーディンの逸話には、なかなか帰ってこないフギンとムニンを心配するものもあって、ほほえましい。 このシンボルは、オーディンに匹敵するような知力をもたらすとされている。とはいえ、もとになった伝説を考えれば、全方向に頭がよくなるというよりは、必要な情報を入手して的確に使いこなすといった、現代的な頭脳の使い方ができると考えたほうがよいだろう。
北欧神話に登場する神獣であり、8本足で疾走するオーディンの愛馬。彼が戦場に赴くときには、必ずスレイプニルにまたがっている。 そして、神獣たる所以が興味深い。このスレイプニル、じつはメス馬に化けたオーディンの息子ロキと、巨人が所有していた魔法のオス馬スヴァジルファリの子供だというのだ。桁外れのパワーがあるのは当然だろう。非常に速く走るうえ、空を飛ぶこともできたという。 このシンボルは、迅速に行動する力をもたらすとされている。スウェーデンの軍隊も、それを願ってか、スレイプニルを紋章に使っているほどだ。 日ごろからなかなか思いを行動に移せない人や、仕事のテキパキとこなしたい人に適した護符といえそうだ。スポーツなどで記録を出したい場合は、1か月使ったらしばらく休むなど、緩急をつけて使用すると、体の消耗を防げるだろう。
息子ロキがオーディンに献上した特別な槍である。黄金に輝き、持つ者に必ず勝利をもたらすとされている。 グングニルという言葉は古ノルド語で「揺れ動くもの」という意味だ。戦に使う槍が揺れ動くとは、少々解せないかもしれない。グングニルの性質については「その槍は正しい場所にとまったままでいない」と説明されている。この不思議な文章の意味は、「決して的を外さない」と「敵を貫いた後に自動的に手元に戻る」という2種類があるとされている。 つまり、持ち主の手元にどっしりといつづけるのではなく、素早く敵を貫き、持ち主の元に戻ってくるという、とても能動的な性質を持っているようだ。 このシンボルに勝利のパワーが込められているのは当然だろう。ライバルとの競争に勝つ、イジメなどに打ち勝つといった相手のいる戦いはもちろん、ダイエットや禁煙といった自分自身との戦いにも有効なのは間違いない。
「オーディンの角」ともいわれるこのシンボルは、ヴァイキングだけでなく、広く世界中に見られる古代紋様「トリスケル」の一種だ。このシンボルの発祥自体はヴァイキング文化よりもはるか古代にさかのぼるが、ここではオーディンの角と解釈して、効用を説明しよう。 絡みあっているのは3つの角盃である。そう、ヴァイキングたちが酒を飲むために使った、あの独特な盃だ。それが3つあるのは、オーディンが「詩の酒」を守る巨人グンロズを騙して、3杯の蜂蜜酒を飲み、霊感を得たことに由来する。 この逸話から、トリプルホーンには人間の霊感を強める作用があるとされてきた。詩の神に由来する霊感なので、何かを創造するための霊感やひらめきなどの降臨を願うとよい。 また、まんまと詩神を騙しおおせたという逸話を見れば、危機を切り抜けるための霊感を得るという効果も期待できる。
ヘイズ中村
魔女・魔術師・占い師・翻訳家。中学生頃から本格的に西洋密儀思想の研究を開始。その後、複数の欧米魔術団体に参入し、学習と修行の道に入る。現在はタロットを使った魔術的技法に関する本を執筆しながら、講座などでの身近な人との触れあいを大切に活動中。
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