正体はわれわれの祖先か、絶滅した異人類か? 獣人UMAビッグフット研究最前線/南山宏
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UMAの代表格として世界的な知名度を誇るネッシー。果たしてその正体は何か。作家・中沢健が今、改めて過去の情報を整理しつつ、新しい可能性を提唱する!(第3回/全3回)
前回、前々回とお伝えしてきたように、ネッシーの正体として多くの人が最初にイメージするのはプレシオサウルスのような姿である。その説を信じるか信じないかは別として、ネッシーのビジュアルイメージと言えば、長い首と四つのヒレを持つ巨大な爬虫類なのである。
だが、実はネッシー目撃の歴史について調べていくと、元々ネッシーのビジュアルイメージはプレシオサウルスとは別の古代生物であったことが分かる。
ネス湖で巨大生物の目撃がいつ頃からあったのかは不明であるが、首の長い巨大生物の目撃として最初に記録されているのは1933年の夏のことである。ロンドンからネス湖にドライブに来ていたジョージ・スパイサーとその妻が、ネス湖畔の道路を横切る長い首を持った巨大生物を目撃したのだ。
巨大生物はそのままネス湖に入り、姿を消した。
初期のネッシー目撃報告は、このように陸地にいるところを目撃されたケースも少なくはないのだが、この事件が後に書籍などでイラスト化される際、プレシオサウルスが4つのヒレを使って陸上を進んでいたように描かれることが多かった。
だが、そもそもの目撃者であるジョージ・スパイサーが、目撃した巨大生物に一番似ていると感じたのはプレシオサウルスとは別の古代生物であった。
それが、恐竜ディプロドクスである!!
「ネッシーは恐竜の生き残りである」といった話を聞く度に、古代生物好きでもある筆者は「もし本当にネッシーの正体がプレシオサウルスだったとしても、そもそも首長竜は恐竜ではないし、ネッシーも恐竜とは別の種類の生き物だろう……」と思っていた。
多くの人にとってはプレシオサウルスのような首長竜も、プテラノドンのような翼竜も、恐竜と一緒くたにされている。
だが、実は最初に目撃された首の長いネッシーは正真正銘「恐竜」だと思われていたのである。
ジョージ・スパイサーがネッシーを目撃した1933年は、映画『キングコング』が公開された年だった。
世界中で大ヒットしたこの映画には、ヒレではなく、4つの立派な足と長い首を持つ(プレシオサウルスよりはディプロドクスに似た)恐竜が水中から出現して人々を襲うシーンがある。
スパイサーも『キングコング』を鑑賞しており、自分が目にした生物は映画に登場した恐竜によく似ていたとも証言している。(ただし、足の部分は見えなかったらしく、目撃した生物が足を持つ生物なのか、ヒレを持っていたのかも不明ではある。蛇のように足もヒレも持たない生物だった可能性もあり得る)
また、スパイサーは「巨大生物は、ヒツジか何かの動物をくわえているようだった」とも証言しているのだが、『キングコング』にも恐竜が人間を口でくわえて振り回すシーンがあった。
他にも巨大生物の動く方向(左から右に移動)など、スパイサーが目撃したシチュエーションは『キングコング』に恐竜が登場したシーンとあまりにも類似点が多い。
この情報は、ネッシーの実在に否定的な人にとっては、首長竜のようなネッシーの目撃談が生まれたのは、映画の影響による幻覚やインチキであった証拠として捉えられている。
だが本当にそうなのだろうか?
もし、スパイサーの目撃談が完全な嘘だったとしたら、映画の影響を受けていたとしても、映画そのままのような描写で語るだろうか?
嘘を吐くなら、元ネタになった映画とは敢えて距離を置いた描写も追加するのが普通ではないか? それに、首の長いネッシーの目撃は、この事件以降、現代になっても途切れず続いているのだ。
一体これをどう説明する? その謎を解く鍵は、筆者自身がネス湖に足を運んだときの体験にあった。
筆者は2018年に初めてネス湖まで足を運んだ。
物心ついたときには、「ネッシーのいる場所」として脳内にインプットされていた場所だ。もちろんワクワクでいっぱいであったが、その一方で「どうせならもう20年くらい前に行っておきたかったな」とも思っていた。
どういうことかと言うと、多くの情報を知ることでネッシーの正体がプレシオサウルスとはもう信じられなくなっていたからだ。(プレシオサウルス生存説の厳しさについては前々回の記事をご参照いただきたい)
「ネス湖に行ってもプレシオサウルスのような怪獣を目撃することはできない」という意識で、ネス湖に向かうことになってしまったことが寂しくもあった。
もはや「通常より若干大きいサイズのアザラシやウナギでも目撃できたら最高にラッキーだな」などと思いつつ、最寄りの空港から車で湖へと向かっていた。
だが、そんな筆者の考えはネス湖を前にした途端に吹き飛んだ。
ネス湖を前にした筆者は、ウナギでもアザラシでもなくプレシオサウルスが湖面から頭を出すことを本気で期待していた。そこには生物学的な常識など関係なかった。
ネス湖には、筆者のようにプレシオサウルスを見たいという人たちが世界中から大勢集まり、湖面を見つめ続ける。これだけ多くの人々の意識が一つのことに集中し続ける場所は、世界でもほとんど存在しないだろう。
ここで、ネッシーの正体について紐解くうえで一つの鍵となるかもしれない「ある計画」について簡単にご紹介したい。プリンストン大学のロジャー・ネルソン氏が中心となって進めている「地球意識プロジェクト」である。
これは、人間の意識や思いが地球に何らかの影響を与えるのでは? という仮説の下に進められている実験だ。
「乱数発生装置」という機械がある。乱数とは無作為に並んだ数字列のことであるが、この装置は0と1が並ぶ乱数を1秒間に数百というスピードで、自動的に作り出すことができる。
ここで重要なのは、乱数を生み出すにあたっては量子の動きが重要な役割を果たす設計となっているということだ。量子とは、すべての物理現象における物理量の最小単位を意味する。
「地球意識プロジェクト」では、この「乱数発生装置」を大勢の人々の意識が集中する場所(大型イベントの会場)に設置する。すると、常に乱数を発生し続ける機械のはずが、その数値に偏りが生まれると言うのだ。このデータが正しいのならば、量子が人間の意識に影響を受けた――つまり、人々の強い意識が一点に集中すると、この世界に何らかの変化を与えている可能性があるのだ。
このような実験成果が出ていることを知ったうえで、もう一つ聞いてほしい仮説がある。
と言っても、それはネッシーの正体に関する仮説ではなく、UFOについての仮説だ。
超常現象研究家のジョン・A・キールは、UFOの正体は、UFOの出現を願う人々の思念が実体化した物であるという「精神投影説」を唱えていた。
この仮説は、超常現象否定派はもちろん、肯定派の間でも大きな支持は得られなかった。
だが、「地球意識プロジェクト」の実験成果も併せて考えると、この仮説はそこまで荒唐無稽なものではない。人間の意識や思念が実際にこの世界に影響を与えているのだから、UFOを実体化させてしまうことだってあり得るのではないか?
ここで、ジョージ・スパイサーが目撃した『キングコング』に登場する恐竜そっくりの生物の目撃談について再び考えてみたい。
スパイサーが目撃したのは、『キングコング』を観た影響から自分自身が精神投影現象によって生み出してしまった存在だとしたらどうだろう?
その後、ネッシーの目撃談がディプロドクスのような恐竜からプレシオサウルスのような首長竜タイプに変わっていったのは、その時代の人々が抱くネス湖の巨大生物像に合わせて、精神投影のビジョンも変わっていった可能性がある。
ネス湖ほど世界中の人々の好奇心が集まる場所はない。生物学的な常識などは忘れて、この場所に来た人たちはプレシオサウルスの出現を心の底から期待して湖面を見つめる。(地球意識プロジェクトもネス湖で行うべきだ)
そう、世界中の人々の意識のパワーによって、ネス湖は世界で最も精神投影現象が起きやすいスポットと化したのだ!!
ただし筆者は、ネス湖にはプレシオサウルスとは別の未確認生物も生息していると考えている。スパイサーが首の長い生物を目撃する前から、ネス湖では謎の生物の目撃はあった。そんな場所であったからこそ、彼らは湖には怪物が潜んでいるかもしれないと思ってしまった。それが結果的に『キングコング』の恐竜を実体化させてしまうことに繋がったのだろう。
そして、その未確認生物は今もネス湖に潜んでいるに違いない。
ネッシーの目撃情報には、未知の生物によるものと、プレシオサウルスの存在を願う人々による精神投影現象の2タイプが存在している。これが、現時点で筆者が考えるネッシーの正体である。
おそらく、「いや違う! ネッシーの正体は〇〇〇だ!」と無数の反論や別の仮説も出てくることだろう。だが、それで良い。
人々がネス湖にいる「何か」に思いを寄せる度に、ネス湖が持つパワーは増殖していき、ネッシーの目撃も続いていくことだろう!!
中沢健
作家、UMA研究家。UMAのお土産を集めるのが最大の趣味で、町興しや観光に利用されているUMAが特に好き。
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