太古の大地が宇宙生命体を呼んだ!?「四国カルスト」の奇妙なUFO写真/寺田真理子

文=寺田真理子 画像提供=松木建二

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    太古の地形「四国カルスト」上空にUFOが出現?! 天体写真家が収めた一連の「奇妙なもの」は、成層圏に潜むプラズマ生命体か?

    石灰岩の台地「四国カルスト」

     四国カルストは、山口県秋吉台・福岡県平尾台と並ぶ日本三大カルストのひとつ。愛媛県と高知県の県境、四国山地の稜線に沿った標高約1,000m〜1,500mの高原に、東西約25km、幅約1kmにわたる石灰岩の台地だ。

    日本三大カルストの中では、最も標高の高い地点にある四国カルスト。
    天空に飛び出す滑走路のような絶景が広がる。毎年4月〜11月の間、かわいい牛たちの姿を間近で見ることができる。

     なだらかな高原を東西に走る四国カルスト公園縦断線は、ドライブやサイクリングにも人気のルート。あちこちに点在する白い岩が石灰岩だ。雄大な牧草地には牛が放牧され、まるでスイスの高原地帯ような光景。キャンパーたちにも人気のスポットで、夜になると手が届きそうな星空が出現!条件が揃えば、肉眼でも天の川が見られるとあって、望遠鏡やカメラを携えた天体ファンも数多く訪れる。

     この四国カルストで「奇妙なもの」が撮影されたという情報を得て、撮影者のもとへ走った!

    アマチュアの天体写真家が偶然撮影

    「奇妙なもの」を撮影したのは、愛媛県新居浜市で歯科医を営む松木建二氏。本格的な機材を使って、2017年頃から趣味で天体写真を撮影してきた。
     月や天候の条件とスケジュールさえ揃えば、迷わずカメラと天体望遠鏡を携え、四国各地の星空スポットに出かける。中でも人工の光が少なく、抜群の星空が楽しめる四国カルストは大のお気に入りスポットだという。

    松木建二氏。愛用の天体望遠鏡は、老舗メーカー高橋製作所のオーダーメイドFSQ-130EDのラストワン。
    撮影機材とテントの様子。

     以下、松木氏が撮影をした写真を追いながら、「奇妙なもの」を見ていこう。

     それは、2019年5月3日から4日未明にかけてのことだった。
     快晴の四国カルストで、いつものようにテント脇にカメラを据え、初夏の天の川を狙って南の空に向けてカメラをセッティング。20秒ずつレンズを開放しながら連続でシャッターが切られるように機材を設定し、暗くなるのを待って撮影開始。
     松木氏は夜明けまでの間、テントの中で仮眠をとっていた。

     この写真は、自動設定の連続撮影のうちの1枚。
     20秒露光で撮影した南の空、いて座方向の天の川。中央付近に赤く光るのは干潟星雲(M8)。左端に写っている光の筋は人工衛星だろうか。

     5月4日、夜明けを待ってカメラを回収し、バッテリー充電のために一旦帰宅。撮影画像をチェックすることなく翌日も四国カルストへ出かけたため、異変に気づいたのは5月5日になってのことだった。

    「なんだこれは? まさか…UFO?!」

    不可解な7つのカッ

     松木氏が写真を調べたところ、5月4日午前4時頃に撮影された7つのカットに異変が確認できたというのだ。

     その一連の「奇妙なもの」を説明しよう。カメラの設定は20秒露光の連続撮影である。以下に紹介する写真で、光の軌跡に見えるものは、露光中の20秒間にその光が動いたことを示す。

    「奇妙なもの」の最初はこの1枚。不規則な動きをする光の軌跡が確認できる。動きは似ているがそれぞれ少しずつ軌道が異なっている複数の光のように見える。

     さらに驚くことに、以下に続く4枚のカットには、閃光とともにオレンジや緑に発光しながら縦横無尽に踊る発光体たちが写り、画面は白い光に覆われてしまっていた。先ほど上空に現れた「何か」がカメラの前に急接近したような感覚も覚えるが……。

     しかも不思議なことに、この強烈な光の2カット目だけが、撮影データが実際の6日後、5月10日午前0時頃のタイムスタンプになっていた。ファイル名は連番になっており、間違いなく連続撮影された写真のはずなのだが……。「何か」の接近でデジタル機器に異常が生じたというのだろうか。

     強烈な発光の4カットに続く次のカットでは、閃光の向こうに…まるで遠ざかっていくかのような光の軌跡と赤い光の帯が確認できる。

     そして「奇妙なもの」最後の7枚目。強い光は収まり、再び夜空には複数の光の軌跡が確認できる。
     不可解なことに、このカットの直後、なぜか連続撮影はストップしていた。松木氏は夜明け前に気付き、首を傾げながら再度カメラをセットし直したそうだ。

     いずれも20秒ずつレンズを開放しながら自動で連続撮影される設定で、シャッターが切られるごとに約1秒間のインターバルがある。つまり1分間におよそ3カット撮影されたことになる。異変があったのは7カットなので、約2分半〜3分間にわたり、上空を不規則に飛行する発光体や、強い光を放つ物体、赤や緑の光などがテント真横に据えられたカメラに収められたということになる。

     撮影者の松木氏はこの間テント内で仮眠中であったためか、なにも覚えていないのだという。

    「(何かが)近くに降りてきたのは間違いなさそうですよね。でも覚えていないのが残念なんですよね。その時何かがテントの近くにいたのでは、と思っているんですがね……。みんなが言うには『それは記憶を消されてるんじゃないの?』とかね(笑)。もしもUFOだったとしたら、この目で見てみたかったな〜!」

     撮影当時、宇宙科学博物館コスモアイル羽咋にも画像の鑑定を依頼してみたが、謎の解明には至らなかったそうだ。

     撮影日はゴールデンウィーク中であったため、夜中に車の往来があったのではないか、つまりヘッドライトなのでは……と思う向きもあろうが、天体の撮影にはほんの少しの光も大敵である。松木氏は、車の往来などありえない急崖の方角に向けてカメラをセットしていたため、車のライトが写り込んだとは考えられない。
     となると…あの日撮影された光の群れはいったい…?!

    鍵は「太古の地球」にある

     撮影された発光現象の謎を解くには、「四国カルスト」の大地に鍵があるかも知れない。そのなりたちを紐解いてみると、超大陸パンゲアが存在していたとされる約3億年前にさかのぼる。

    「四国カルスト」の成り立ちを振り返っていこう。

    ①約3億年前、赤道付近で海底火山が、噴火を始めた。
    ②約2.5億年前、噴火の止んだ火山の山頂付近にサンゴ礁が発生し、厚く積み重なって石灰岩の地層を作った。
    ③約1.5億年前、サンゴ礁をのせた海底火山は、移動するプレートに運ばれて、海溝に沈み込み堆積物と混合し、山体が削り取られた。
    ④約200万年前、四国山地の隆起にともなって、石灰岩が地上に顔を出し、雨による侵食をうけてカルスト地形を作った。

     四国カルストに露呈している石灰岩は、およそ2.5億年前より南の海で形成され、地殻変動などにより海中から、四国の標高1,000m〜1,500mの高原地帯に隆起したものである。つまり四国カルストは、「太古の地球」が剥き出しになっているエリアなのだ。現地の石灰岩をよく観察すると、フズリナやサンゴなど古生代二畳紀(ペルム紀)の化石も見られる。

    こちらは巻貝の化石。四国カルストがかつて海であった痕跡のひとつだ。
    画像提供:松本勝氏
    雨水などに溶食された石灰岩が羊の群れのように立ち並ぶ地形を「カレンフェルト」と呼ぶ。

     四国の高原地帯に広がるこの天空の大地はその昔、南の海の底だった。悠久の時を刻んできた地球の神秘そのものだ。

     松木氏のカメラが捉えた奇妙な光の一団の正体はわからない。ただ、この四国カルストの古い古い歴史と関連があるとすれば……。筆者としては、一連の奇妙な発光体から、太古の地球で発生し、成層圏にすむというプラズマ生命体「クリッター」を連想してしまう。母なる大地が彼らを呼び寄せ、ふるさと四国カルストに里帰りしたのかも知れない。タイムスタンプの異常や、直後に撮影がストップしていたのは、彼らが発したプラズマエネルギーが撮影機材に及ぼした影響とも考えられる。

    「あれ以来、四国カルストに行く度に、またUFOが写らないかなと思いながら撮ってるんだけど、なかなか写らないですね」と松木氏。冬季の四国カルストへのルートは、積雪や凍結のため通行止めになっている。次の撮影チャンスは、またゴールデウィーク頃までおあずけだ。

     太古の地球と宇宙をつなぐ天空の大地、四国カルスト。運が良ければあなたも…UFOやクリッターに出会えるかも知れない。

    寺田真理子

    ライター、デザイナー、動植物と自然を愛するオカルト・ミステリー研究家。日々キョロキョロと、主に四国の謎を追う。

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