英国UFO事件トップ10に数えられる「イルクリー荒野の異星人遭遇事件」とは?/遠野そら・MYSTERYPRESS
1987年12月、イングランド北部・ヨークシャー地方イルクリーの荒涼地帯に異星人が現れ、目撃者によって撮影されるという事件が起きた。
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毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、アメリカ北東部のシャンプレーン湖で目撃され、実在の可能性が高いといわれる謎の巨大水棲UMAを取りあげる。ネイティブ・アメリカンに伝わる「角の生えた大きなヘビ」の正体とは?
今では日本人の日常会話にも登場する「UMA」という言葉は、「未確認動物」を意味する和製英語「Unidentified Mysterious Animal」の略であり、海外では通用しない。
一口にUMAといってもさまざまなものがあり、一部のテレビ番組などでは、本来妖怪とされていたものや伝説上の存在、さらにはビデオ撮影された正体不明の物体までUMAに分類して面白がる傾向もあるようだ。
また、日本の「ツチノコ」やオーストラリアの「タスマニアタイガー」のように、特定の地域限定のUMAもいれば、世界各地で似たような形状の生物が目撃されるという例もある。この種のUMAとして代表的なのが、「イエティ」や「ビッグフット」に代表される、人間のように二本足で歩行する毛深い生物、そして世界中で目撃されている、長い首を持つ湖の怪獣たちである。
湖に棲むUMAは、英語では「レイク・モンスター」と総称され、日本ではUMAという言葉の生みの親でもある南山宏が「湖底怪獣」という訳を当てている。
アメリカ合衆国にも、この種の湖底怪獣の目撃報告が多数ある。たとえば、モンタナ州フラットヘッド湖では「ハーキンマー」という怪獣が目撃されており、五大湖のひとつエリー湖にも「ベッシー」という怪獣が棲むという。
そして、こうしたアメリカの湖底怪獣の中でも知名度が特に高く、目撃数も多いのが、シャンプレーン湖で目撃される「チャンプ」であろう。
シャンプレーン湖はアメリカ北東部、ニューヨーク州とバーモント州の州境にあり、北岸はカナダ領となっている。長さ約200キロ、幅は最大で約23キロという、南北に細長い形をしており、面積は約1269平方キロ。琵琶湖の2倍近くもある大きな湖だ。

シャンプレーン湖には河川や運河がいくつかつながっており、そうした水路を通じて、カナダを流れるセントローレンス川と南部のハドソン川とを結ぶ水上交通の要衝になっているとともに、魚釣りや海水浴、ウォータースポーツが楽しめる地元の観光名所ともなっている。
湖の南端には、かつてフレンチ・インディアン戦争やアメリカ独立戦争で戦場となり、現在はアメリカ海軍の空母に名を残すタイコンデロガ砦も存在していた。
シャンプレーンという、いくぶんフランス語じみた名称は、フランスの探検家サミュエル・シャンプランにちなんだものだ。
シャンプランは本来船乗りであったが、新大陸での探検を何度も行って、ケベックをはじめ多くの入植地を建設し、最終的には北アメリカにおけるフランス植民地で事実上の総督を務めた人物だ。
シャンプランが白人として初めてシャンプレーン湖を訪れた1609年ごろには、湖の西側にモホーク族、東岸にはアベナキ族が住んでいた。そして、こうしたネイティブ・アメリカンの間には、古くから「角の生えた大きなヘビが湖に棲む」という伝説が伝わっており、モホーク族はこれを「オンヤレコワ」、アベナキ族は「ギタスコグ」と呼んでいた。
そしてこのシャンプランこそ、ヨーロッパ人として初めてチャンプを目撃した人物だと広く信じられている。一部では、シャンプランは長さ6メートルもあるヘビのような怪獣を見たともいわれるが、実際に彼が書き残しているのは、長さが最大で3メートルになる巨大な魚の話であり、彼自身が目撃した個体は長さ1・5メートルほど、太さは彼の太股ほどだったという。
だが1819年7月には、クラム船長という人物が全長57メートルほどもある巨大なヘビのような怪獣を目撃しており、以後現在まで300件以上ともいわれる多くの目撃報告が寄せられている。
たとえば1883年には、クリントン郡のネイサン・ムーニー保安官が長さ約7・5から9メートルのウミヘビのような生物を目撃し、1936年には石油タンカーの乗員が体長18メートルのチャンプを目撃している。
そして1977年7月5日、サンドラ・マンシーという主婦がチャンプの写真を撮影したことで関心が一挙に高まった。
この日、休暇中のマンシーは、家族とともに車でたまたまシャンプレーン湖東岸にあるセント・アルバンスに立ち寄り、4メートルほど離れた湖岸に浮かぶ奇妙なものを撮影したのだ。

彼女が撮影した写真には、湖面に浮いている生物の背中のようなもの、そして湖から突きだした長い首のようなものがはっきりと写っている。

この写真については専門家による分析が行われたが、加工の痕跡はいっさい見つからなかった。カナダの未知動物学者ポール・レブロンドは、写真から被写体の大きさを割りだし、長さ4・8メートル以上、17・2メートル以下と推計した。
チャンプの報告は、21世紀に入ってからもいくつも寄せられている。
まず2003年には、「ディスカバリー・チャンネル」の番組のため、ノースカロライナの動物相コミュニケーション研究所がシャンプレーン湖の調査を実施したところ、水中で奇妙な鳴き声のようなものを録音した。これはイルカやベルーガが発する音波に似ていたという。
2005年にはディック・アフォルターという漁師がチャンプのビデオ撮影に成功しており、さらに2019年8月、「チャンプ・サーチ」というグループを主宰するケイティ・エリザベスが、水上から船舶のソナーを使って、7・5メートルほどの長さがある、長い首を持つ生物のような物体を探知した。


こうした数々の目撃証言を総合すると、チャンプは他の多くの湖底怪獣と同じく長い首を持ち、体長4・5メートルから最大で57メートルほど。色は黒もしくはそれに近い暗色で、角や耳、たてがみを見たという証言もある。
またチャンプについては、前述のチャンプ・サーチのほか、1982年にヨセフ・ザージンスキーが結成した「シャンプレーン湖現象調査局(LCPI)」も研究を続けているが、その正体についてはさまざまな説が唱えられている。
チャンプに限らず、長い首を持つ湖底怪獣の正体については、中生代の生物プレシオサウルスの生き残りという説が人気のようだ。
確かにその形態や大きさを考えると、チャンプはプレシオサウルスに似ているが、最新の研究によるとプレシオサウルスは水面上に高く首を持ちあげることができなかったという。つまりマンシー写真のようなポーズをとることはできないのだ。
また、プレシオサウルスは今から6600万年前の白亜紀の終わりに絶滅しており、以後生存の痕跡は確認されていない。
そして、現存する湖でそのころから存在していたものはひとつもない。イギリスのネス湖やシャンプレーン湖などが形成されたのは、わずか1万年ほど前なのだ。
シャンプレーン湖にプレシオサウルスが棲むとすれば、6600万年もの間どこかでひっそりと生き延び、そのうえで陸路を湖まで移動したことになる。
夢のない書き方かもしれないが、広大な海洋ならともかく、内陸の湖にプレシオサウルスが棲んでいることはどうもありそうにない。




イギリスの作家ピーター・コステロは、やはり世界中の湖底怪獣に共通する正体として「首の長いアザラシのような哺乳類」という説を唱えている。しかし、今のところこれも実在が確認されていない。
そもそもアザラシに限らず、肉食哺乳類には「長い」といえるような首を持つものが存在しない。このあたりは肉食哺乳類という生物の構造上の制約があるのかもしれない。
ほかにもクジラの先祖に当たるゼウグロドンの生き残りだとか、原始的な無脊椎動物タリモンストラム・グレガリウムの生き残りとする説、チョウザメやガーのような大型魚類がその正体であるとする説もある。
これらはいずれも、他の湖底怪獣にも共通して唱えられるものであるが、サミュエル・シャンプランが目撃したものなどは、ガーのような魚の一種であろう。
ほかに、チャンプ・サーチのケイティ・エリザベスとデニス・ホールは、シャンプレーン湖近くでワニのような足跡が見つかっているとして、ワニの仲間ではないかと提唱したこともある。だが、この足跡についてはカメのものだという反論もなされている。
一方で、流木や鳥、魚の群れを誤認したのではないかというチャンプ実在否定説もある。
マンシー写真についても、懐疑主義者のジョー・ニッケルなどは、流木を撮影したものではないかと異を唱えている。
ともあれチャンプは、地元の観光振興にも多大な貢献をしており、湖畔の住民にとって愛すべき存在となっているようだ。
1982年には東岸にあるバーモント州の州議会が、チャンプを保護する決議を採択、翌1983年には対岸に位置するニューヨーク州議会も同様の決議を採択した。
また、湖岸にあるニューヨーク州ポート・ヘンリーの町では、岸辺にチャンプの像を建設し、毎年8月の第一土曜日を「チャンプ・デイ(チャンプの日)」として祝っている。今年は8月6日が「チャンプ・デイ」になっている。


●参考資料=『未確認動物UMA大全』(並木伸一郎著/学研)、『UMA事件クロニクル』(ASIOS 著/採図社)、『湖底怪獣』(ピーター・コステロ著/ KK ベストセラーズ)
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