<動画あり>超能力者・清田益章が 絶対に曲がらない 硬度55の特製鋼スプーンを念力で切断!

文=宇佐和通 写真=我妻慶一 取材協力=フェニックスライズ

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    昨年末、都内某所で密かに繰り広げられた「曲がらないスプーンvs念力」というドリームマッチ。現代版「矛盾」対決ともいえるその一戦の結末は!?

    「折れちゃうかもしれない」

     筆者は、リアルタイムかつ皮膚感覚でスプーン曲げという現象に触れた世代のひとりだ。昨年末、サイン・オブ・ザ・タイムズと形容すべきこの現象の主役と同席させていただく光栄な機会を得た。清田益章(きよたますあき)氏である。筆者世代の人間にとって、特別の存在感がある人物にほかならない。

     スプーン曲げは、本当に不思議だ。今回、取材班が準備したスプーンは、ちょっと変わったものだったのだが、結論からいえば、その形はいとも簡単に変わってしまった。それを目の当たりにする時の驚きと、ある種の不満がないまぜになった気持ち。テレビで何回も見て知っているはずなのに、目の前でとなると印象がまったく違う。

    清田益章氏。スプーンを手にするとすぐに金属との「対話」がはじまる。

     清田氏は、スプーンに触れてすぐに何かを感じ取ったようだ。「これは、硬いやつですね。金属としての粘性が低いから、曲がるんじゃなくてポキッと折れちゃうかもしれない」といいながら、スプーンの首のあたりを本当にそっとつまんで持っていた。

     この時点で、取材班は驚きを飲みこみ、清田氏の手元を見守ることになる。

     今回の取材に持っていったスプーンは、青森の金属加工ブランド「フェニックスライズ」が、〝絶対に曲がらない〟というキャッチフレーズを打っている製品だ。通常の食器のような作り方ではなく、包丁と同じ製法で焼きを入れているため、力を加えると曲がるのではなく、折れるはずだという。
     ロックウェル硬さ試験硬度(HRC)という指標では硬度55~56であり、まさに一般的な鉄製の家庭用包丁くらいの硬さだ。HRCの数値が高くなるにつれて硬く曲がりにくくなり、逆に脆く折れやすくなる。HRCの数値が低くなるとより粘性が出て、曲がりやすくなる。具体的な例を挙げれば、自動車整備などに使うスパナやレンチがHRC33、セラミック包丁はHRC74という値になる。

    スプーンの硬度を示すデータ(資料=フェニックスライズ)。
    焼き入れ後のプレス試験の様子(資料=フェニックスライズ)。

    触れなば、落ちん

     筆者が驚いたのは、清田氏がスプーンを持った瞬間に成分にまで言及したことだ。

    「ニッケルがかなり入ってるような質感だね。ニッケルが入っていると硬いんだけど、もろくなるんですよ」

     フェニックスライズのデータでは、ニッケルではなく、カーボンを含んでいるため焼き入れで硬度を高めることができるとある。清田氏をしても分子レベルの区別はつかなかったようだが、「硬いけれどもろくなる」性質を触れただけで見抜いたのには驚いた。

    「一般的な鉄オンリーのスプーンは本質的に粘り気があるんです。純粋な鉄のほうが、いろいろなデザインが可能になります。このスプーンは丁寧にやらないと、パキッと折れますね……」

     スプーンの首の部分を持ったまま、清田氏は動かなかった。
     筆者とわずか30センチくらいしか離れていないスプーンを見ていると、清田氏の指と接している部分の角度が少しずつ変わっていくのがわかった。指をしばらくそのままゆっくりと動かすのを見ていると、数十秒くらい経ったところでスプーンの首の部分がグラグラし始めた。

    清田氏がスプーンに指を添えると間もなく首の部分がグラグラとゆれはじめる。

     清田氏が「これダメだわ」と手を離した瞬間に、スプーンが首のところできれいに折れた。急いで断面を見てみると、滑らかな質感ではなく、ちょっとざらついた感じになっている。

    その直後、先端がぽろんともげるように先が転がり落ちた。

    スプーン曲げは「金属との対話」である

     清田氏は言葉を続ける。
    「ねじるつもりだったんだけど、もろすぎますね。粘り気がないので、ある程度までの力がかかると曲がる前に折れてしまうんです。これは特殊な金属だと思いますね。普通は曲がり具合をコントロールできますが、これはダメでした」

     曲がらないが、折れてしまう。
     製造元のフェニックスライズは「無理やり曲げようとしても折れる」という意味で「曲がらない」と打ち出していたわけだが、清田氏はその特性を触れただけで見抜いたうえで、指でつまんだまま1分ほどで折ってしまった。

    付け根部分でぽっきりと折れたスプーン。重ねるとわずかに角度の変化も確認できた。

     清田氏は、スプーン曲げという行いを〝対話〟という言葉で形容する。
     純度の高い鉄であればゆっくりと対話し、ねじることもできたが、特殊な製法の金属が相手では対話がうまくいかず、意図せず折ってしまった……。文字にすればそういうことになる。

     清田氏が超能力で対話してきた相手はスプーンだけではない。これまで数限りなく繰り返されたに違いない実験に立ち会った多くの人々もそうだし、もっというなら、昭和から始まって令和に至るまでの時代そのものも相手にして対話してきたのではないだろうか。

     今回の取材はごく限られた時間ではあったが、折れたスプーンを通して現象そのものの不思議さ、そして清田氏が背負っているもののごく一部がイメージできた気がする。

    「絶対に曲がらないスプーン」を折る取材時映像を公開

    「絶対に曲がらないスプーン」販売情報

    フェニックスライズ「絶対に曲がらないスプーン」
    3000円(税込み)

    https://phoenixrise.camp/free/mu_spoon
    https://www.phoenixrise.shop/items/68858589

    宇佐和通

    翻訳家、作家、都市伝説研究家。海外情報に通じ、並木伸一郎氏のバディとしてロズウェルをはじめ現地取材にも参加している。

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