超常現象が連発する中国・撫仙湖の謎! UFO・USO・UMA・海底ピラミッドまで…!
湖底に謎の古代遺跡があり、UFO目撃などの超常現象が数多く報告されているスポットが中国・雲南省にあるフーシアン湖である。この謎の湖についてこれまでに何がわかっているのか――。
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毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、数々の念写実験を成功させ、その優れた能力ゆえにトリックの使用も疑われたアメリカの念写能力者を取りあげる。
「念写」とは、人間の想念の力により、フィルムや乾板の上に画像が写しだされる現象である。
能力者が念写を行う際には、カメラを使う場合もあれば、乾板やフィルムに直接念を送る場合もある。精神が感光物質に影響するという観点から、超心理学においてはサイコキネシスの一種とされ、ユリ・ゲラーや清田益章といった念力能力者がしばしば念写のパフォーマンスを見せている。
写真に奇妙なものが写るという現象それ自体は、19世紀末の心霊研究における交霊会の場でもたびたび見られた。その代表的なものが、亡くなった人物や幽霊の姿が現れるというものであるが、ぼんやりとした影のよ
うなものが写ることもあった。 一部では、未感光の乾板を暗室で霊媒に凝視させるなどして、光点のようなものを意図的に写しだす実験も行われている。
ただこのころは、こうした写真はあくまでも霊の力による心霊写真の一種と認識されていたようだ。
術者の念によりイメージを乾板にすり込むという念写の概念を確立し、念写という言葉を発明したのは、日本の福来友吉である。福来は1910年(明治43)、長尾郁子を被験者とした透視実験の一環として、未現像の写真乾板を透視させてみた。
このとき長尾は、見事に透視に成功したのだが、未開封のはずの乾板に感光の跡が見られた。福来はこの現象を、長尾の精神が何らかの作用を及ぼしたものと考え、以後密封した乾板に特定の文字を念写させる実験を開始した。
長尾は翌年2月に病死したが、福来はその後も高橋貞子や三田光一といった念写能力者を発掘して研究を重ね、その成果は欧米でも知られるようになった。
こうした中、1960年代になって、アメリカに卓越した念写能力の持ち主が現れた。それがテッド・セリオス(1918〜2006)である。
セリオスは1918年11月、アメリカのミズーリ州カンザスシティに生まれた。
セリオスは10代のころから念写能力を発揮したという説も一部にあるようだが、実際に彼が念写を始めたのは、1955年、シカゴのホテルでベルボーイとして働いていたときだ。
このとき、同僚が彼に催眠術をかけたところ、彼は催眠にかかりやすく、しかも催眠中、遠方を透視できることがわかった。さらにセリオスはあるとき、催眠下で体外離脱を行って、有名な海賊ジャン・ラフィットの霊と接触した。
このジャン・ラフィットはフランス生まれであるが、主にメキシコ湾で海賊活動を行っており、テキサス州の沖合にあるガルベストン島を事実上支配した人物だ。そして彼の莫大な財宝が、ガルベストン島に隠されているという噂も残っている。
セリオスはラフィットの霊から、この財宝の隠し場所を告げられたというのだが、その場所をうまく説明することができなかった。そこで同僚のひとりが彼にカメラを与え、その場所を写真に写せといったところ、何らかのイメージを写しだすことに成功したという。
だが、結局財宝は見つからず、セリオスのほうも健康状態が悪化して仕事を辞めた。しかし、彼の念写能力は一部で評判になり、この話が1964年になってジュール・アイゼンバッドの耳に入った。
アイゼンバッドは、コロンビア大学医学部で学位を得た精神科医であるが、患者の夢を分析する課程で、テレパシーとしか思えないような事例をいくつも経験し、超心理学にも関心を持っていた。セリオスの噂を聞いた当時は、コロラド大学医学部で助教授をしており、以後セリオスをデンバーの自宅に住まわせて3年間起居をともにし、何千回という念写実験を行った。
当初実験では、さまざまな種類のカメラを用いていたが、結果がすぐにわかるということで、やがてポラロイドカメラが主に用いられるようになった。
具体的なやり方は、アイゼンバッドや立会人がカメラをセリオスの顔に近づけて構え、セリオスの合図でシャッターを切るというものだ。ときにはセリオス本人がシャッターを切ることもあったが、念写すべきテーマの設定や、フィルムの装塡はアイゼンバッドらが行った。
このようにしてシャッターを切れば、通常ならピンボケになったセリオスの顔が大写しになるはずである。実際にそのような失敗作も多くあるが、光学上説明できないようなものも数多く撮影された。
こうした写真のなかでも、全面が真っ黒、あるいは真っ白になっているものが大多数を占めたが、不鮮明ながら何らかのイメージのようなものが写っているものもいくつもあった。
アイゼンバッドは1967年、この研究結果を『テッド・セリオスの世界』という著書にまとめて発表した。これによってセリオスの名は一躍有名になり、世界中のテレビ局から取材が殺到するようになった。
彼の念写能力については、もちろん懐疑論もある。
セリオスは通常、人がよく親切で、ユーモアにあふれていたが、一面強情なところもあり、時折アイゼンバッドの指示に従わないこともあったようだ。しかも念写の実験を行う前には大量のアルコールを摂取し、常に酩酊状態にあった。
何よりも議論の的になっているのが、念写を行う際、セリオスが「ギズモ」と呼ぶ、小さな紙の筒をカメラのレンズにかざしていたことだ。
このギズモは、ポラロイドフィルムの黒い裏紙やフィルムパッケージなど、実験現場で手に入る物品で即席に作られ、時にはトイレットペーパーの芯をギズモとして使用したこともある。
セリオスはあるときからこれを用いるようになり、ギズモを使うと気持ちが落ち着いて実験が気楽にできると主張した。アイゼンバッドのほうも、ギズモの使用に特に問題があるとは思わず、セリオスの機嫌を取って実験をスムーズに行うため、好きなようにさせることにした。
懐疑論者にいわせると、このような紙の筒の片方に凸レンズを、もう片方に切り抜いたスライド画像を仕込んでレンズの前にかざすと、スライドの画像がポラロイドカメラに写るというのだ。
実際、アメリカの雑誌「ポピュラー・フォトグラフィー」(1967年
10月号)は、似たような仕掛けを用いて、セリオスのものと同じような写真を作ることができるという記事を掲載している。
しかし、アイゼンバッドもギズモに何らかの仕掛けが施されることを警戒して、実験に際してはギズモを調べるのが常だった。シャッターを押す瞬間までギズモをセリオスの手から離しておき、シャッターを押した直後にまた取りあげて、改めて調べるというやり方も行われたし、セリオスも初期のころにはギズモなしで念写を行っていた。
また、アイゼンバッドが3年にわたって繰り返したセリオスとの実験に立ち会った人物のなかには、何人もの科学者やプロの奇術師も含まれていたが、こうした人物の前でも、セリオスがトリックを行うところは確認されていない。「ポピュラー・フォトグラフィー」の記事自体も、「セリオスがペテン師であるといい切ることはできない」とはっきり述べている。
さらに、セリオスの写真の中には、あらかじめ対象物のスライドを仕込んでおくというやり方では説明できないものもいくつかある。
たとえば、あるとき彼はピンボケの文字が書かれた2階建ての建物を念写したことがある。書かれた文字から、この建物がカナダ騎馬警察航空部の格納庫であると判明したが、写真には実物と異なるスペルミスが入っていた。
1967年5月には、デンバー自然史博物館で「火を起こす男」の画像を念写するよう求められた。このときは最初、何か判別できないピンボケのイメージが写ったが、何回か撮影を繰り返すうちに次第に形が鮮明になり、最後には上半身裸のしゃがんだ人間のような姿が確認できた。
実験に立ち会ったコロラド大学人文学部のH・マリー・ワーミントン教授は、この画像がシカゴ自然史野外博物館にあるネアンデルタール人の実物模型とそっくりであることにすぐ気がついた。
この模型の絵葉書は簡単に入手できるものではあったが、このとき写された何枚もの写真を調べてみると、それらは立体模型をいくつかの異なるアングルから撮影されていることが判明した。このようなものを生みだそうとすれば、何枚ものスライドを事前に用意し、シャッターを押すたびに入れ替える必要があるだろう。
しかし、この実験後まもなく、セリオスの能力は急速に衰えた。彼自身はその後も実験に応じていたが、1年もたたないうちに識別可能なイメージをまったく含まない真っ黒や真っ白の写真しか写せなくなり、やがて完全に能力を失ったという。
一方、アイゼンバッドのほうは、その後もメイン州ウォーターヴィルのヴェイリュー兄弟などと念写の研究を続けたが、セリオスほどの劇的な結果は得られなかった。
●参考資料=『ムー・ブックス1 超能力』(学研)、『スピリチュアル用語辞典』(春川栖仙著/ナチュラルスピリット)、『X-ZONE』第13 号(DeaGOSTINI)、『心霊研究』(I・グラッタン=ギネス編/技術出版)、「Popular Photography」1967 年10 月号(Ziff-Davis Publishing Company)
羽仁 礼
ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。
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