米国で襲撃相次ぐUMA「フォウク・モンスター」とは!? 3本指の凶悪獣人の恐怖/ブレント・スワンサー
ミステリー分野で世界的な知名度を誇る伝説的ライター、ブレント・スワンサーがついに『ムー』に登場!! 日本人がまだ知らない世界の謎について語る!
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ミステリー分野で世界的な知名度を誇る伝説的ライター、ブレント・スワンサーがついに『ムー』に登場!! 日本人がまだ知らない世界の謎について語る!
ほとんどの場合、川や海や湖でのモンスターの目撃は一瞬であり、その謎多き生物が水底に溶け込む前の、ほんのわずかな時間のことである。このとらえどころのなさこそが、彼らが現代社会でも姿を隠し続けている理由の一つでもある。
しかし、時にはこの隠れた領域から飛び出し、攻撃的で危険な獣へと変貌するケースもある。かつてアメリカで、非常に凶暴かつ正体不明の川の怪物が、温厚な農夫に襲いかかり、死闘を繰り広げた事件も、そんな例の一つと言えるだろう。
この奇妙な物語の舞台は、アイオワ州オスカルーサ郊外の田舎町である。
1884年11月、スカンク川岸近くに養豚場を所有していたジェームス・ライトという農夫が、およそ100頭の豚の様子を見に出かけたが、大きな豚が1頭いなくなっていることに気づいた。豚の数を何度数えても、辺りを探しても、いなくなった豚の痕跡は見つからず、農夫は困惑した。それまで豚がいなくなったことは一度もなかった。パドック(放牧地)の周囲は6フィートごとに巨大な木材の支柱が立ち、有刺鉄線のフェンスで囲まれていたが、奇妙なことにフェンスはまったく無傷で、破壊された形跡もなく、獰猛な番犬も一晩中おとなしくしていた。では一体、豚はどこへ行ったのだろう?
その豚に何が起こったのか、明確で合理的な答えがなかったため、ライトはただ、どうにかして逃げたのだろうと考え、いつものように仕事を続けた。そして翌日、ライトは豚が戻ってきていることを期待して敷地内をざっと探したが、いなくなった豚は見つからず、さらにもう1頭、大事にしていた豚が消えていることに気づいた。最初の豚同様、囲いが傷つけられた形跡はなく、犬が警戒している様子もない。2頭とも、ただ忽然と姿を消したのだ。
それから数日、奇妙なことにさらに多くの豚が消え続け、月末になると20頭もの豚がいなくなってしまった。ライトは誰かが豚を盗んでいるに違いないと思い、それを食い止める決意を固め、夜間に待ち伏せすることにした。しかし、そこで信じられないような出来事に遭遇するのだ。
ある晩、といっても日の出の直前、ライトが檻の近くの川べりに座っていると、川から異様に激しい水飛沫の音が聞こえてきてきた。そこで薄明かりの中、川を覗き込むと、長い首、太い胴体、巨大な歯を持つ、この世のものとは思えない巨大生物が水面から岸に乗り上げているのが見えた。鼻先から尾の先までの長さは78フィート(約23.8メートル)、首の長さは18フィート(約5.5メートル)と推定され、全身がざらざらしたうろこ状の皮膚で覆われていた。
その獣は、川から豚舎に向かって4本足でゆっくりと静かに前進し、後ろ足で立ち上がると、爬虫類のような頭を豚舎に突っ込んだ。そして驚くほどの速さと獰猛さで豚の1頭に噛みつくと、それをいとも簡単に空中へと放り投げて地面に落とし、ぐったりとした豚の死体を暗い泥水の中へと引きずり込んだ。
ライト農夫がこの事件を報告すると、町の人々は最初は信じられない様子だったが、すぐに目撃者の誠実さから信じることとなった。なにしろ、ライトはいつも分別があり信頼できる男として知られていたからだ。そして人々はパニックに陥り、やがて徒歩と馬に乗ったモンスターハンター集団を結成し、農場に行ってその怪物退治を手伝うことになった。
数時間後、水中をゆっくり移動する大きな生物の背中らしきものが発見され、モンスターハンターの集団がライフルを一気に発砲したという。この銃撃の間、どの銃弾も生物の厚い皮膚を貫通することはできず、生物の動きもほとんど鈍らなかった。むしろ怒らせているようで、怪物は男たちのいる方へと泳ぎ始めた。そこから事態は急速にエスカレートしていく。
モンスターハンター集団の一人、ウィリアム・T・スミスという勇敢な男が馬に乗り、他の男たちに離れるように告げ、自分の武器を取り出した次の瞬間のことだ。何の前触れもなく、目にもとまらぬ速さで、牙の生えた怪物の頭が水面から飛び出した。そして怪物はスミスの馬に噛みつくと、力任せに水中に引きずり込み、スミスは泥だらけの地面へと投げ飛ばされたという。皆が恐怖の目で見守る中、怪物はのたうち回る馬をくわえたまま、水底へと姿を消した。この怪物はその後、別のハンターのグループにも発見され、ライフルとリボルバーなど約2000発を被弾したが、なんの異変もなかったと伝えられている。
モンスターハンター集団は、自分たちの武器は役に立たないと悟り、もう少し大きなものを持ち込んだ。12ポンドの大砲と、鉄道のスパイクが樽ごと農場に運ばれ、川の近くに射撃位置が設営された。1時間ほど待つと、浅瀬を泳いでいる怪物の背中が再び見え、発射命令が出された。そして大砲は直撃し、怪物は血で真っ赤に染まった水の中で暴れ、癇癪を起こした。やがて静かになり、怪物は死んだように見えたことから、男たちは24頭の牛を連れてきて、大きな死体を川から岸に運んだ。ここでようやく、その悪夢のような姿を間近で見ることができた。
現場では、ハンツマン博士とアル・スワルムが、怪物の大きさと外見を記録し、内臓の状態まで注意深く調べた。全長は鼻先から尻尾の先まで81フィート(約24.7メートル)。前脚から鼻までの距離は21フィート(約6.4メートル)、前脚から後脚までの距離は40フィート(約12メートル)、後脚から尾の先までの距離は20フィート(約6メートル)であった。皮膚は巨大なトカゲのようで、信じられないほど厚く、鱗があり、濃い灰色をしていた。歯の長さは17.5インチ(約44cm)で、ワニのようだった。肺と他のすべての器官は、とても大きいことを除けば、他の既知の爬虫類と驚くほどよく似ていた。この生物は厳密には肺呼吸をしているように見えたが、目撃者の証言と肺の顕著な大きさから、水中で長時間息を止めることができるものと想定された。心臓の重さは80ポンド(約36kg)で、心室は4つあったという。簡単な検査で、やはり弾丸は厚い皮膚を貫いておらず、唯一の傷は大砲の砲撃によるものだと判明した。
検査が終わると、怪物は皮を剥がされ、剥製師のもとで剥製にされた後、フィラデルフィアにある自然科学アカデミーへと送られて展示されることになっていた。骨格標本も別の展示のために保管され、目的地へと送られたようだ。しかし、その後どうなったかは不明で、それっきり消息は途絶えている。
多くの古い証言がそうであるように、これらのエピソードについてどう考えるべきか判断は難しい。私たちにあるのは、当時の新聞が語った荒唐無稽な話だけで、証拠は何もない。これは歴史上の本当の珍事なのか、それとも、当時流行していたセンセーショナルなニュースの産物なのか? 結局のところ真実を知る術はなく、私たちは謎に思いを巡らせることしかできないのである。
Brent Swancer(ブレント・スワンサー)
豪ミステリーサイト「Mysterious Universe」をはじめ数々の海外メディアに寄稿する世界的ライター。人気YouTubeチャンネルの脚本、米国の有名ラジオ番組「Coast to Coast」への出演など、多方面で活躍。あらゆる“普通ではない”事象について調査・執筆・ディスカッションを重ねる情熱と好奇心を持ちあわせる。日本在住25年。『ムー』への寄稿は日本メディアで初となる。
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