「10年前、南太平洋に落ちた隕石はエイリアンの宇宙船だ」ハーバード大教授が確信、引き上げ計画実現へ!
2014年、南太平洋に落下した隕石に「宇宙人のUFO」疑惑が浮上。本格的調査に名乗りを上げたのは、あの有名ハーバード大学教授だ――果たして今後の展開は!?
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火星への移住が現実味を増してきた昨今、太陽系を飛び出し、はるか彼方の宇宙空間を自由に移動することは可能か? さまざまな航法が考えられているが、空間の変形によって推進力を発生させるフィールド推進は急加速や急停止などの突飛な動きをするUFOの推進理論にも通じるという。 どんなシステムなのか、その理論を紹介しよう。
太陽系さえも人間には広すぎる。
人類が打ち出した最速の探査機ニューホライズンズでも木星まで13か月、冥王星まで9年かかっている。SF映画で夢見たようにロケットを乗り回し、宇宙を駆け巡るには現在のロケットではまるで推進力と速度が足りない。さらに遠く、別の太陽系まで行こうとするなら光の速度を超えなければ、乗組員が生きている間に目的地に着けない。あるいは、乗組員は生きていても地球に人間が残っているかは別の話だ。現在のロケット推進方式では、4.36光年先という一番近いアルファケンタウリ星系までさえ軽く十数万年かかってしまうからだ。
ニュートン力学に従うロケットとはまったく違う推進方式がなければ、私たちは地球近傍から出ることはできないのだ。どうすればいいのか?
今、科学者が考えているのは一般相対性理論や量子力学を宇宙に応用することである。最新の現代物理学や天体物理学の世界で起きる、想像を絶する物理現象をマクロな世界に応用することで時空間を超えようというのだ。
手元に『最新! スターシップ理論』という銀河系へ旅する宇宙推進方法・宇宙航法の本がある。フィールド推進という方法で亜光速航行が可能なのだという。その研究を続けているのが本の著者、南善成氏である。
「異星人がいるかいないかはわかりませんが、いるとしても地球には来られないだろうと一般の学者は考えるわけです。何光年、何十光年も離れた場所からどうやって来られるのか」
人工衛星のエンジニアとして活躍してきた著者がフィールド航法の研究を始めたのは30代半ばである。
「特殊相対性理論を使った準光速航法は昔から考えられていますが、ローレンツ収縮により光速に近づくと飛行体内部の時間は遅くなり、たとえば星へ数年で移動できても地球に帰ってきたら数千年がたっているのでは意味がありません」
よくいわれるのがワームホールを使った瞬間移動だ。
「ワームホールはプランク長以下の大きさですので、原子よりも小さい穴ということになります。そんなところを通過できませんよね。ワームホールがどこにあるのかわからないし、仮にワームホールを通過できたとしても、宇宙のどこに行き、宇宙のどこに戻るのかがわからない。ワームホール任せの航法といえます」
ワームホールの性質上、私たちはワームホールのつながる向こう側を知ることができない。ワームホールは特異点であり、物理法則が通用しないため、こちらの宇宙からは不可知なのだ。
現実的な宇宙航法はあるのか? 物理学の枠組みの中で、新しい推進理論と宇宙航法を打ち立てることはできるのか?
現在、存在する推進方法は2種類。ロケットのように作用反作用(運動量保存則)で飛ぶのか、帆船のように押されて進む圧力推進かだ。フィールド推進は圧力推進の一種だ。
「フィールド推進は名前の通り、フィールド(=空間の場)が風船のようにふくれあがり、その圧力で進む推進方式です。水の中にピンポン玉を沈めて手を離せば、水面に向かって上っていきます。圧力で見れば、ピンポン玉の底と上部では、底の圧力が高く上部の圧力が低いので、その圧力差で上昇するといえるわけです」
ロケットは作用反作用で飛ぶ。後方へ高速で捨てた燃料の重さと捨てた燃料の速度の分だけロケットは前方へ進む。大きな物を載せて地球から飛び出すには大きな推力と速度が必要で、このためたくさんの燃料を積むためには船が大きくなるしかなく、船が大きくなればたくさんの燃料がないと十分な推力と速度が出ない。噴射する燃料の速度で早々に船の速度の限界が来てしまうのだ。
フィールド推進の場合、空間のゆがみを利用する。何らかの方法で空間を膨張させ、空間から押された勢いで進む。化学燃料を使うロケットのような限界はない。理屈上、準光速まで加速可能だ。
空間を膨張させて推進力とするとして、どのように空間をコントロールするのか?
「質量があればその周りの空間は同心円状に曲がります。地球の周りの空間も、地球の質量によって曲がっています。空間は質量だけではなく、質量に相当するエネルギーがあれば曲がります。電場と磁場を使うことになりますが、空間を曲げるということであれば電場よりも磁場が効率よく空間を曲げられます。ですからフィールド推進には磁場を使えばいいと考えました」
強力な磁場を発生させることができれば、空間を曲げてフィールド推進を実現させることができる。
「磁場で空間をゆがませておき、磁場を切った瞬間に空間が元に戻ろうとする間に空間の復元力を受けて宇宙船は前進します。磁場をかけている状態は部屋の中で壁を押しているようなもので、船自体もゆがみの中にあるので進みません。磁場を切ると空間が元に戻って一気に進む。その繰り返しなので、シャクトリムシみたいな感じでしょうか。いわゆるパルス推進ですね」
しかし空間を曲げるにはとんでもない磁場が必要になるはずだ。
「最初の計算では数百億テスラが必要でした」
2018年に東京大学の物性研究所が世界最強度の磁場を発生させたが、それでも1200テスラである。桁が違うどころの話ではない。中性子星レベルの磁場が必要なのだ。
「これはシュワルツシルト解(一般相対性理論から導かれる、質量と重力場の関係を記述する解)に基づいた値で、まったく実現不可能なわけです。そこでもっと弱い磁場や別のエネルギーでフィールド推進は成立しないだろうかと研究し、北京のIAF国際学会で発表して以降は、ド・ジッター解を使う方法で計算しています」
一般相対性理論では宇宙は静的で膨張しない前提だったので、補正項として宇宙定数を含む宇宙項が入っている。補正項がないと宇宙が膨張するからだ。
ところが観測結果から宇宙が膨張していることがわかり、宇宙定数は不要になる。以来、長らく宇宙定数は必要とされなかったのだが、宇宙が加速膨張していることがわかり、加速させているエネルギー(いまだ観測されていない謎のエネルギーであることからダークエネルギーと呼ぶ)を宇宙定数を使って記述できることがわかった。ド・ジッター解は宇宙が膨張するとして一般相対性理論から導かれる解なのだが、これがダークエネルギーを記述するのにうってつけなのだ。
著者はド・ジッター解をフィールド推進の理論に使えば、磁場が必要ないことに気がついた。空間自体が真空エネルギーを含み、膨張しているのだ。その力を使って宇宙船を進ませる。
素粒子研究では、巨大なサイクロトロンで素粒子を加速させ、何もない空間から粒子を発生させる(質量を司るヒッグス粒子はそうして発見された)ことが行われている。真空は何もないわけではなく、物質が物質になる前のエネルギーの状態で満ちているのだ。空間を励起させる(高エネルギー状態に変化させる)には真空にエネルギーを与え、空間のエネルギーポテンシャルを上げる必要がある。励起させることで、数式上、磁場よりずっと小さなエネルギーで空間を高い曲率で曲げられることがわかっている。
「あくまで理論の検討なので、具体的にどうやって空間にエネルギーを与えるかまでは議論は煮詰まっていません。今、わかっているのは、磁場を使用しないド・ジッター解によるフィールド推進は加速性能として最適であるということです」
真空エネルギーを利用する場合、空間の変化は宇宙船自体におよぶ。宇宙船を包み込む空間がそのまま変化するイメージだ。空間自体が変化するので、宇宙船には慣性力が働かない。急停止や急旋回、加速でも宇宙船自体に変化は起きない。
目撃されるUFOは急加速や急停止など地球の飛翔体にはない動きをする。もし中に人間のような生物がいたら、ぺしゃんこに潰れてしまいそうだが、自由落下と同じ推進力を使うフィールド推進なら、それも可能。
著者のアイデアは意外なことにUFOの推進理論としても成立しているのだ。
真空エネルギーを利用して推進する原理はほかにもあり、メキシコ人物理学者のミゲル・アルクビエレが発表したアルクビエレ・ドライブが知られている。フィールド推進と同じく空間のゆがみを使って、前方の空間を収縮、後方の空間を膨張させ、移動する。フィールド推進の考え方とまるで同じだ。アルクビエレ・ドライブは推進というよりはむしろワープ航法=超光速航法を目標としている点に特徴がある。
NASAで次世代技術研究を行うチーム、イーグルワークスはアルクビエレ・ドライブを基本原理とした航空技術が可能になるとして研究を続けている。イーグルワークスによれば、アルクビエレ・ドライブエンジンなら月まで4時間あれば到達できるという。光速にはほど遠いが、化学燃料ロケットではありえない超高速だ。
ゼロポイントエネルギーを利用する方法も考えられている。ゼロポイント、すなわち絶対真空中で、すべての原子が運動を止める絶対零度でも、実は原子は止まらない。不確定性原理に従い、素粒子はゆらぐのだ。すべてのエネルギーがポテンシャルエネルギーとして空間内に閉じ込められている状態でも原子は動いている(実際にゼロポイントで、カシミール力という極微の金属片の間で働く力が観測されている。量子の世界では何もないところから力が生まれるのだ)。
これをゼロポイント振動子といい、宇宙船の進行方向に対して前方よりも後方のゼロポイント振動子の数を増やしてやれば、その輻射圧(ふくしゃあつ)の差で船が進むというもの。空間の膨張ではなく、空間のゆらぎを使うわけだ。
日本では、いつ現実になるとも知れない宇宙航法を大の大人が論議するなんて、と鼻白む雰囲気がある。
しかし、NASAは1996年12月に『Breakthrough Propulsion Physics Project(ブレイクスルー推進物理計画)』をスタートさせた。従来のロケットとはまったく異なる、現状の物理学の常識をブレイクスルーする新技術の調査・研究を開始したのだ。目的は化学ロケット以外の推進方法の発見であり、準光速・超光速推進の実現である。宇宙を行き来するための新技術は絵空事ではなく、宇宙開発における現実的なミッションとなるのだ。
研究者たちの頭にあるのは、仮にUFOが宇宙のどこかから地球へ飛来しているのなら、どのような技術を使っているのか。人間の知る飛行物体にはない、円盤形や葉巻形といった異様な形状と明らかに揚力ではない推進力は、時空間を超える星間航法と密接な関係があるだろう。それが知りたい。
UFOの実在を信じる信じないとは別に、エッジの効いた斬新な理論を生み出すには明確で強いメッセージが必要だ。
そして実際に、理詰めで考えていくとUFOとの類似が浮かび上がる。『最新! スターシップ理論』の著者は、フィールド推進エンジンの特許をイギリスで出願している。磁場を利用するタイプで、ボウリングのピン形の磁界発生装置を対軸上に3〜4基置き、そこで発生させる磁場で空間を膨張させて進むというものだ。
必要となる強磁場には磁束凍結を使う。磁束密度(単位面積あたりの磁力線の数)を上げて、強力な磁場を作る方法だ。磁力を帯びた液体状の金属に四方からレーザーを照射、金属をプラズマ化させて爆発・膨張させ、爆薬を爆発させたような爆縮を起こす。そして磁束をより狭い空間に押し込めて磁束密度を上げ、強磁場を作る。
著者のエンジンは形状だけを見れば、アダムスキー型UFOの底部にある3つのドーム状突起とよく似ている。しかもそれは元米国防総省の科学者で、著者の友人でもあるSTAIF国際会議のセッション座長が著者に紹介した資料『ドーム型宇宙船の重力操作』に出てくる宇宙船のエンジンとそっくりなのだ。星間航法を考えている日米の学者が、ありえるエンジンの形状として同じデザインにたどり着いたのは偶然ではないだろう。
磁気を帯びたプラズマを渦状に回転させることで、渦巻きはロート状に細くなる。レーザーで爆縮させるのと同じ効果が得られるかもしれない。より少ないエネルギーで強磁場を生み出せるだろう。
最後に著者が驚くべきことをいった。
「元米国防総省の科学者がくれた資料には、90年代にロシア領にUFOが墜落したとあるんですね。一度墜落して部品が飛び散り、もう一回飛び上がったところを別のUFOが来て助けていったそうです。その際、地上に飛び散った部品をロシアとアメリカ、ヨーロッパでワーキンググループを作り、研究したそうなんです。材料の調査結果らしきものが資料に一部記載されてます」
異星人のオーバーテクノロジーが示唆するプラズマのボルテックス。ヴィクトル・シャウベルガーの渦こそ生命でありエネルギーの本質であるという考えとプラズマを渦巻かせるというノウハウは共通する気がする。空間を膨張させる技術を異星人は手にしているのか? 現代物理学は大きな見落としをしているのではないか?
そんなことを考えはじめるとワクワクが止まらなくなるのだ。
久野友萬(ひさのゆーまん)
サイエンスライター。1966年生まれ。富山大学理学部卒。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。
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